ANAが2030年度に営利3100億円へ。芝田社長「実質赤字」国内線は「収支構造見直す」、「成長領域は国際線と貨物」と言及

中期経営戦略を発表したANA。
ANAホールディングスが2026年度から2028年度までの中期経営戦略(中計)を発表した。2028年度には過去最高となる2500億円の営業利益を掲げ、2030年度に営業利益3100億円、営業利益率10%を目指す。
芝田浩二社長は会見で「成長領域は国際線と貨物。この2事業へ経営資源を優先的に配分する」とする一方、「実質赤字」が続く国内線は「収支構造を見直す」と語った。コロナ禍で浮き彫りになったデジタル化への遅れに対応するため、今後5年間で過去最大規模となる2700億円を投資し、収益力向上と生産性向上にもつなげるという。

日本郵船から取得したNCA(上)とともに貨物事業を強化する。
国際線事業、2030年度に1.3倍に。成田は1.7倍に
同社が今回の中計で最も重視しているのが、国際線事業の拡大だ。2025年の訪日観光客数が4268万人(対前年比15.8%増)と過去最高を更新するなどインバウンド需要の好調や、成田空港の機能強化を背景に、2030年度に国際線事業規模を現在の1.3倍に拡大する計画を打ち出した。
事業拡大は2段階で進める。中計最終年度の2028年度までは既存路線の増便を軸とし、ANAが最大シェアを持つ羽田空港の発着枠をフル活用。客単価が高いビジネス需要を確実に捉える。
2029年度以降は成田空港が建設を進める新滑走路を活用し、北米線やアジア線を増強する。成田空港は2029年に発着回数を現状から約1.5倍の50万回へ増やす計画で、ANAの成田での事業規模は2030年度に2025年度の1.7倍へ大きく拡大する見通しだ。

国際線事業の方向性。
芝田社長は「世界の航空需要は今後も堅調に伸びることが見込まれている。特に成田の拡張は今後5年間で最大のビジネスチャンス。羽田と成田を合わせれば2030年に発着回数は約100万回となり、アジアでの存在感が高まる」と期待を寄せる。
実際、2024年末から2025年初めにかけて就航した欧州方面の新規3路線(ミラノ・ストックホルム・イスタンブール)については「非常に好調」(柴田社長)という。
中でも2月6日に開幕するミラノ五輪の影響で「ミラノ線はなお一層好調。需要を見つつ、機材のリソースとも相談しながら、できるだけ早い時期に毎日運航に持っていきたい」と意欲を示す。
LCCのピーチは関西国際空港を中心に国際線を拡大する方針だが、成田での展開は「現時点では考えていない」(芝田社長)という。2026年3月末で運航を休止する「AirJapan」(エアージャパン)ブランドの復活も「中期経営期間中には考えていない」とした。
貨物事業は事業規模3倍。NCAとの統合シナジー300億円
もう一つの成長の柱が国際貨物事業だ。2025年8月に日本郵船から取得したNCA(日本貨物航空)との事業を軸に、事業規模を2030年度に現在の1.3倍に拡大する。
これまでANAの輸送可能量は、アジア・中国と日本の間は80万トンあったが、日本と欧米の間は40万トンと不足していた。そのため、アジア・中国と欧米の間の貨物需要を十分に取り込めていなかった。

貨物事業の方向性。
これを欧米圏でのネットワークに強みを持つNCAの大型フレーター(貨物専用機)を活用して解消する。ベリー(旅客機の貨物室)とフレーターの強みを生かした強力なネットワークを構築し、成長が著しいアジア・中国と欧米との間の需要を最大限に取り込む方針だ。