「ChatGPT」のユーザー数は「Gemini」の4倍以上。それでもグーグルが優勢と言える理由

グーグルのスンダー・ピチャイCEO(左)と、OpenAIのサム・アルトマンCEO。
「生成AI競争の先頭を走るのはどの企業か」という問いに対して、答えはどのデータを見るか、そしてそれをどう解釈するかによって異なる。
OpenAIの「ChatGPT」はグーグルの「Gemini」を圧倒しているか、あるいはずっと遅れているかのどちらかだ。
最終的な勝者は、現在はほぼ同等と言える技術的な質よりも、普及戦略によって決まるだろう。
これを証明する例がある。AIモデルの性能を評価するリーダーボードは、純粋なアプリのデータを見る時と、より広範なプラットフォームでの配布に着目する時とで、結果が劇的に変化する。
ChatGPTの1日のユーザー数はGeminiの4倍以上

ChatGPT(右)とGeminiのDAUを示すグラフ。
ネイティブアプリの使用状況、特に1日のアクティブユーザー(DAU)を基準にすると、ChatGPTは明らかにGeminiをリードしている。
グーグルとアメリカ司法省の和解裁判で共有されたグーグルの内部開示資料によると、3月時点で、GeminiのDAUは約3500万人となっている。
一方で、バークレイズのアナリストが4月24日に投資家に共有した推定値によると、ChatGPTのDAUは約1億6000万人。これは、Geminiの4倍を超える数値だ。
これらの数値は、ChatGPTの実際の規模を過小評価している可能性が高い。
OpenAIのサム・アルトマンCEOは4月、ChatGPTの週間アクティブユーザー数が5億人と明かした。これはDAUよりも範囲の広い指標だが、さらに高い利用率を示唆している。
また、GeminiのリリーススケジュールはChatGPTに比べて遅れている。iOSへのグローバル展開は2024年11月までかかり、ChatGPTのiPhone向けアプリが登場してからほぼ1年半を要した。
グーグルは当初「Bard」という名称でサービスを開始し、調整を重ねて最終的に名称をGeminiに変えたが、この混乱は消費者にとってあまり良い印象を与えなかった可能性がある。
グーグルのエコシステムを考慮すると状況が変わる

ChatGPT(左)と「Google 検索」のDAUを示すグラフ。
しかし、単独のアプリから離れ、グーグルの全体的なエコシステムを考慮すると、OpenAIとグーグルの状況は劇的に変わってくる。
「Google 検索」は依然としてChatGPTを圧倒し、月間アクティブユーザー(MAU)は20億人を超える。また、DAUは約15億人だ。
ChatGPTのユーザー基盤が伸び、3月までにGoogle検索のDAUの約1割に達しても、グーグルが検索サービスやAndroidへの統合を通じて培ってきた存在感は唯一無二であり続けている。
実際、2024年10月以降でDAUがほぼ4倍に増加したGeminiの最近の成長は、主にAndroidデバイスへのプリインストール契約によるもの。アプリストアなどからのオーガニックダウンロードではない。
これは、Google検索が過去に見せた、サービス普及の優位性と類似している。Google検索は、iPhoneを含む数十億台のデバイスでデフォルト(初期設定)のサービスになり、多くのユーザーに届いたことが成功の鍵になった。
グーグルが持つ「強力な配布チャネル」

グーグルの新型スマートフォン「Pixel 9a」。
そして、グーグルが持つサービス普及の優位性こそが、OpenAIとグーグルの比較を困難にしている要因だ。
ChatGPTのユーザー数は、市場に一番乗りした先駆者としての優位性と、OpenAIが新機能をスピーディーに展開する能力に支えられている。例えば、OpenAIが2025年に入って驚異的な画像生成機能をリリースしたように。
一方、GeminiのAIチャットボット機能は、Google検索に組み込まれている。これは、(Google検索の)月間20億人以上のユーザーと1日15億人以上のユーザーがほぼ即時でアクセス可能であることを意味している。西欧諸国においては、最も強力なオンライン配布チャネルの1つと言えるだろう。