トランプ関税ショック再び。この新たな「貿易戦争」を勝ち抜く「投資戦略」をプロに訊いた

1. AIへの注力を維持する, 2. 業績不振セクターに焦点を当てる, 3. 貴金属や商品(コモディティ)を検討する, 4. コンシュマー向け輸入業者の反発を追いかけるな

ニューヨーク証券取引所のフロアでドナルド・トランプ大統領の演説を聴くトレーダーたち。

  • 米最高裁がトランプ大統領による関税を無効としたことで、アメリカの貿易戦争は新章に突入した。
  • トランプ大統領は先週末、世界的な関税を15%に引き上げ、新たな不確実性を生み出している。
  • そんななかでも投資家はAIと好調なセクターに引き続き注目すべきだと、マーケットの専門家はBusiness Insiderに対して語った。

ドナルド・トランプ大統領の貿易戦争は、新たな混沌とした局面に入り、投資家のあいだで不確実性を高めている。

トランプ大統領による関税の大部分を米最高裁が無効としたことで、マーケットは新しい不安定な動きを見せた。これは貿易紛争における新たな混乱の章の始まりを示しているようだ。

20日(米時間)の関税に関する判決の発表後、米株式市場は一時上昇。トランプ大統領が全世界を対象に新たな10%の関税を課すと脅したにもかかわらずだ。しかし、週明け23日に指数は急落。全世界対象関税をさらに15%へ引き上げると、トランプ大統領が追加発表を行い、それにトレーダーが反応したためだ。

関税をめぐる不透明感が市場に長く漂っており、特に関税還付をめぐる争いがどう決着するか不透明だ。そのため、新たな関税政策がどのような展開を見せるかは不明だと、B.ライリー・ウェルス・マネジメント(B. Riley Wealth Management)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、アート・ホーガン氏は指摘する。

「最高裁の判決とプランBへの急速な転換によって、関税をめぐる不確実性が大きく払拭されたとは思えない」と、Business Insiderに対してホーガン氏は語る。「依然として逆風となっている」

貿易戦争が新たな局面を迎えるなか、マーケットのプロが投資家に推奨するポジションの取り方は以下の通りだ。

1. AIへの注力を維持する

1. AIへの注力を維持する, 2. 業績不振セクターに焦点を当てる, 3. 貴金属や商品(コモディティ)を検討する, 4. コンシュマー向け輸入業者の反発を追いかけるな

BCAリサーチのベレジン氏は、市場の全体的な焦点はAIにあると述べた。

関税問題の話題は、マーケットがAIに注ぐ圧倒的な関心を大きくそらすものであると、BCAリサーチ(BCA Research)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、ピーター・ベレジン氏は語る。

「現時点において関税問題は、脇役的な存在になっていると思う」と、ベレジンは述べた。「マーケットにとって今は、まさにAIが主役だ」

トランプ大統領が21日に発表した以上の関税引き上げを行う可能性は低いと、ベレジン氏は述べる。大統領はまた、中間選挙を前に低所得者向け政策の推進に集中しているように見えるという。

さらに、トランプ大統領は関税がインフレを引き起こすことを認識しており、それを回避しようとしている可能性が高いと、ベレジン氏は述べる。大統領のチームメンバーは、関税による価格上昇を軽視しているものの、それを避けようとしていると、ベレジン氏は指摘した。その根拠として、トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウム製品への関税の一部撤廃を計画しているという最近のフィナンシャル・タイムズの報道を示したが、ホワイトハウスは後にこれを否定している。

2. 業績不振セクターに焦点を当てる

1. AIへの注力を維持する, 2. 業績不振セクターに焦点を当てる, 3. 貴金属や商品(コモディティ)を検討する, 4. コンシュマー向け輸入業者の反発を追いかけるな

ホーガン氏は投資家に対し、金属や工業株など、過去1年間で利益を上げた取引に固執するよう助言した。

今回の関税に関する判決は、マーケットの現状を変えるものではないと、ホーガン氏は考えているという。トランプ大統領が15%に及ぶ世界的な関税を課したとしても、米国の新たな貿易政策は投資環境を以前と大きく変えるとは思えないと、同氏は述べた。

中国やブラジルなど一部の国は、米最高裁の判決以前には、はるかに大きな関税に直面しており、新たな関税制度の下では「勝者」となった。だが、セクター別の観点からは投資の見通しは変化していないと、ベレジン氏は語る。

数年のあいだマーケット全体を下回っていたものの、最近好調なパフォーマンスを見せているセクターに注力するよう、ホーガン氏は投資家に対して助言した。これには素材、工業、エネルギー株が含まれる。これらの分野は2026年に入り、S&P500で最も高いパフォーマンスを記録したセクターとなっている。

S&P 500の年初来で最も好調なセクター

  • エネルギー:+22%
  • 材料:+16%
  • 工業株:+14%
  • 生活必需品:+13%
  • ユーティリティ:+8%

3. 貴金属や商品(コモディティ)を検討する

1. AIへの注力を維持する, 2. 業績不振セクターに焦点を当てる, 3. 貴金属や商品(コモディティ)を検討する, 4. コンシュマー向け輸入業者の反発を追いかけるな

Sven Hoppe/picture alliance via Getty Images

貴金属や商品(コモディティ)も新たな貿易摩擦の恩恵を受ける可能性があると、トレード・ネイション(Trade Nation)のシニア・マーケット・ストラテジスト、デビッド・モリソン氏は語る。投資家は「関税によるマーケットストレス」を経験すると、実物資産やその他の安全資産に殺到するためだと、モリソン氏はBusiness Insiderに語った。

1月下旬の歴史的な売り圧力にもかかわらず、貴金属や商品は今年に入ってからこれまでに大幅な上昇を記録している。

年初来のパフォーマンス

  • ゴールド:+20%
  • シルバー:+22%
  • ブレント原油:+18%
  • バンガード・コモディティ・ストラテジー・ファンド:+9%

4. コンシュマー向け輸入業者の反発を追いかけるな

1. AIへの注力を維持する, 2. 業績不振セクターに焦点を当てる, 3. 貴金属や商品(コモディティ)を検討する, 4. コンシュマー向け輸入業者の反発を追いかけるな

Associated Press

家具やアパレル小売など、外国製品の主要輸入業者であるコンシュマー向け企業の株価が20日に一時上昇したことを、ホーガン氏は指摘する。

米国が関税を返還すれば、企業刺激策の効果に楽観的な投資家もいるかもしれない。しかし、返還が行われるかどうかは不透明であり、仮に返還が行われた場合、政府は手続きを長引かせる可能性が高いとホーガン氏は述べた。

コンシュマー部門の最近の回復について、「政府による返済をめぐる訴訟が続いているなかで、この措置がどれほど堅調に推移するかは分からない」と、同氏は付け加える。

LPLファイナンシャル(LPL Financial)は、輸入中心のコンシュマー向け小売業者の株価上昇を追うつもりはないと、同社のチーフ・ストック・ストラテジスト、ジェフ・ブッフビンダー氏も指摘。