三井不、野村不ら大手デベが「シェアハウス」に続々参入。「安さ」押しはもう時代遅れなワケ

大手デベロッパーが相次いでシェアハウス事業に参入している。2月25日、シェアハウス事業を展開する野村不動産、三井不動産レジデンシャル、大和ハウスグループのコスモスイニシアの担当者が対談した。
シェアハウスはもう、ただの「安い住まい」ではない――。
野村不動産、三井不動産レジデンシャル、大和ハウスグループ。大手デベロッパー各社によるシェアハウス事業の参入が相次いでいる。
背景にあるのは、都市部の住宅事情と働き方の変化だ。都心では住宅の狭小化が進み、単身世帯の増加も続く。さらにコロナ禍を契機に在宅勤務が広がり、住まいに対して「仕事場」としての機能も求められるようになった。
こうした環境変化を受け、各社は従来のワンルームマンションとは異なる新たな都市型居住の選択肢としてシェアハウスを位置付けている。
都心に続々開業

野村不動産が展開するコリビング型賃貸「TOMORE(トモア)」。
野村不動産は2025年2月、東京都品川区にコリビング型賃貸「TOMORE(トモア)」を開業した。全135戸の大型シェアハウスで、ワークスペースをはじめとする共用部の充実が特徴だ。3月には田端で2号物件を開業する。将来的には400室超の供給を目指すという。
三井不動産レジデンシャルもこの領域に参入している。2024年3月、文京区春日に女性専用のシェアリング型賃貸レジデンス「SOCO HAUS」を開業。76戸の物件で、共用部にはシアタールームやトレーニングルームを備える。
大和ハウスグループのコスモスイニシアは、両社より一足早い2021年から参入した。「nears」ブランドで展開し、現在は川崎と横浜白楽の2物件を運営する。2026年5月には五反田で新規開業を予定しており、2027年までに8棟体制へ拡大する計画だ。
変わるシェアハウスのイメージ
各社は「コリビング」「シェアレジデンス」など独自の名称を用いているが、この記事では便宜上「シェアハウス」と統一する。私も数年前までシェアハウスに住んでいたが、居住者の体感としては、その違いはブランド戦略上の呼称差であり、居住形態の本質は大きく変わらないからだ。
もちろん、水回りが専有か共用か、共用部の充実度、入居者属性など、物件ごとの仕様には違いがある。ただ、「シェアハウス」という大きな枠組みの中で、グレードやコンセプトが少し違うという程度だ。
一方で、「シェアハウス」という言葉から想起されるイメージには、世代や居住経験によって乖離(かいり)があるのも事実だろう。かつての低価格・簡易型の物件を思い浮かべる人もいれば、ホテルライクな共用空間やワークスペースを備えた新世代型の住まいを想定する人もいる。
私が数年前にシェアハウスに住んでいた際も、「個室がない住居」を想像されるなど、実態とのギャップに驚かれることが少なくなかった。実際には、個室が確保され、プライバシーと共用空間の利便性が両立された物件が増えている。
大手デベロッパーが相次いで参入する現在、シェアハウスは“若者が安価な家賃を求めて選ぶ住居”から、都市型ライフスタイルの一形態へと再定義されつつある。
家賃はそれほど安くない

コスモスイニシアが提供する「nears」の居室イメージ。川崎に開業した1号物件は平均して9割程度の稼働率で推移しているという。
「シェアハウスは安い住まい」。そうしたイメージは、現在供給が進む大手デベロッパーの物件には必ずしも当てはまらない。
例えば、品川区中延にある野村不動産の「TOMORE」は、専有面積12〜15平方メートルの居室(7〜9帖)で月額11万8750円から(共益費、水道光熱費込み)。周辺の単身者向け賃貸マンション(新築)の家賃相場は、住宅賃貸情報サイト大手のSUUMOによると1Rで10万2000円、1Kで10万3000円程度。大きく変わらない水準だ。