中古高級品の市場拡大、収益化の道筋描けぬブランド

リアルリアルの店舗に並ぶ高級ハンドバッグ

高級品企業はまるでヘッドライトに照らされたうさぎのように凍り付いている。中古高級品市場は転換点に差し掛かっているが、多くのブランドはどちらに飛び出すべきか決めかねている。

ベイン・アンド・カンパニーの推計によると、中古高級品市場の規模は昨年初めて500億ユーロ(約9兆1800億円)に達した。伸びは一次市場を上回り、高級ブランドがアウトレットを通じて行う取引全体と同じ規模に成長した。アウトレットは売上高で3番目に大きい販路だ。

高級品の販路別売上高(2025年)

高級品企業は、「ファッションファイル(Fashionphile)」「リアルリアル(RealReal)」などの大手再販プラットフォームと不安定な休戦状態にある。シャネルなどのトップブランドは、再販業者にどこまで容認するかを巡って訴訟を起こしてきた。

再販業者は訴えられないよう、ブランドの商標の利用を最小限にする必要がある。ロゴは商品の説明に使うことはできるが、広告やソーシャルメディアをロゴだらけにすることはできない。また、高級ブランドと実際に提携していなければ、あたかも提携関係があるかのような誤解を招きかねないマーケティングも避ける。

問題は、小規模の再販業者が毎年多数出てくることだ。中古高級品は、ソーシャルメディアのライブ配信やショッピファイのアカウント、「ベスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)」のようなピアツーピア(個人間)再販サイトで出品されており、イメージを重視するブランドが自社製品の見せ方をコントロールすることができない。

百貨店がこの分野に参入したことで、高級品の新品と中古品が同じ店舗で販売されるケースが増えている。ファッションファイルは米高級百貨店ニーマン・マーカスと提携している。顧客は店舗で中古高級品を下取りに出してポイントをもらい、そのポイントを使って同店舗で新品を購入できる。

ボストン・コンサルティング・グループによると、個人が所有する服飾品に占める中古品の割合は28%と、2020年から7ポイント上昇した。従来の小売業や、比較的新しいレンタルやサブスクリプションといった事業モデルは劣勢に立たされている。高級ブランドにとって特に実入りのいいハンドバッグがとりわけこの潮流の変化にさらされている。現在、若いZ世代がバッグを購入するのは半分近くが中古小売業者からだ。

顕微鏡カメラでハンドバッグの表面素材を調べて真贋(しんがん)を鑑定する

高級ブランドが再販プラットフォームと協業を試みたケースもある。グッチはベスティエール・コレクティブと一時提携していた。クロエとコーチは、購入者が商品を手放したくなった場合に手軽に出品できる仕組みに取り組む。商品のデジタルパスポートを読み込むと、正規品証明書と仕様を中古品販売リストに登録できる。

直営店で中古品を販売するブランドもあるが、少数にとどまる。ラルフローレンはウェブサイトでビンテージ品を高価で販売しており、1990年代の野球帽には295ドルの値が付いている。LVMH傘下のリモワでは、顧客が使用済みスーツケースを持ち込むとポイントに交換でき、同社商品の購入にそのポイントを使える。回収したスーツケースは修理され、再販される。

ロレックスはこの市場の手本になるかもしれない。データ分析会社ウォッチチャーツの推計によると、同社は認定中古品プログラムを通じて昨年5億ドル超を売り上げた。プログラムの運営はロレックスが厳格に管理しているが、販売と価格設定は全て第三者の小売業者に委託している。これにより無許可の転売業者と線引きでき、自社製品をどう再販するかを徐々にコントロールできるようになった。

他の高級ブランドがこれに倣うなら、ファッションファイルのように運営が安定した再販プラットフォームや高級百貨店と、正式に認定中古品プログラムを立ち上げるのが選択肢になりそうだ。ブランド側は正規品であることを保証する代わりに、運営方法を決める権限を要求できる。

高級ブランドが中古品販売という厄介なビジネスに手を出すのをためらってきたのも不思議ではない。ただ問題は、それが消費者に大人気だということが明らかになり、傍観し続ければ市場シェアを失うリスクがあるということだ。