65歳以上、ひとり暮らしの年金生活。ひと月の生活費はざっくりどのくらい必要か。仕事をやめたら「赤字家計」でふつうなの?
- 【65歳以上 老齢年金シニア】ひとり暮らしなら、月の生活費はいくら必要?
- 65歳以上《単身》無職世帯ひと月の家計収支
- 65歳以上《単身》無職世帯の家計収支。仕事をやめたら「赤字家計」でふつうなの?
- 【2026年度の年金改定】厚生年金(報酬比例部分)+2.0%、国民年金+1.9%《4月分より》
- 【2026年度】国民年金と厚生年金の年金額例
- 厚生年金「平均収入35.6万円×33.4年働いた女性」65歳からの年金額とは?《概算》
- パターン①:男性・厚生年金期間中心
- パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
- パターン③:女性・厚生年金期間中心
- パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
- パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心
- 《年金制度改正法の見直しポイント》2026年度以降、年金のルールが段階的に変わります
厚生年金「平均収入35.6万円×33.4年働いた女性」65歳からの年金額とは?《概算》

65歳以上、ひとり暮らしの年金生活。ひと月の生活費はざっくりどのくらい必要か。仕事をやめたら「赤字家計」でふつうなの?
公的年金は老後の生活を支える重要な柱ですが、一人暮らしの場合、年金だけで日々の暮らしを賄えるのでしょうか。
総務省の家計調査によると、標準的な65歳以上の単身無職世帯の家計収支は毎月約2万を超える赤字という結果が出ています。
2026年度の年金額は、4年連続プラス改定となりますが、食費を中心とする日常生活費の負担や、老後も続く税金・社会保険料の支払いを考慮すると、手放しでは安心できません。
受給額は現役時代の働き方で大きく異なるからこそ、平均的な収支状況を把握し、自身の備えと比較することが大切です。
本記事では、データから読み解くシニアの家計実態をはじめ、2026年度の年金改定額や働き方別の受給額例、年金制度改正のポイントを詳しく解説します。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【65歳以上 老齢年金シニア】ひとり暮らしなら、月の生活費はいくら必要?
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の単身無職世帯のひと月の家計収支データを見ていきます。
65歳以上《単身》無職世帯ひと月の家計収支

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
毎月の実収入:13万4116円
■うち社会保障給付(主に年金):12万1629円
毎月の支出:16万1933円
■うち消費支出:14万9286円
・食料:4万2085円
・住居:1万2693円
・光熱・水道:1万4490円
・家具・家事用品:6596円
・被服及び履物:3385円
・保健医療:8640円
・交通・通信:1万4935円
・教育:15円
・教養娯楽:1万5492円
・その他の消費支出:3万956円
■うち非消費支出:1万2647円
・直接税:6585円
・社会保険料:6001円
65歳以上《単身》無職世帯の家計収支。仕事をやめたら「赤字家計」でふつうなの?
・ひと月の赤字:2万7817円
・エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
・平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):122.9%
老齢年金を受給して一人暮らしをするシニア世帯の家計は、どのような状況なのでしょうか。
この単身世帯のひと月の支出合計は16万1933円です。その内訳は、税金や社会保険料などの「非消費支出」が1万2647円、食費や住居費などの「消費支出」が14万9286円を占めます。
一方、ひと月の収入は13万4116円で、その約9割(12万1629円)は主に公的年金です。
エンゲル係数は28.2%、平均消費性向は122.9%。結果的に、この単身世帯は毎月2万7817円の赤字を抱えています。
ただし、この家計収支データには注意すべき点があります。まず、支出に「介護費用」が含まれておらず、住居費も1万円台と低めです。健康状態や住居環境によっては、これらの費用がさらに上乗せされることも考慮する必要があるでしょう。
また、「非消費支出」が示す通り、老後の年金暮らしが始まっても、税金や社会保険料の支払いは生涯続きます。
多くのシニアがこれらの費用を年金から天引きで納めている現実も踏まえ、年金収入と日常生活費だけではなく、こうした、固定費も考慮した生活設計が大切となるでしょう。
【2026年度の年金改定】厚生年金(報酬比例部分)+2.0%、国民年金+1.9%《4月分より》
公的年金の金額は、物価や現役世代の賃金動向を踏まえ、毎年改定がおこなわれます。
2026年度の年金額は前年度より国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられており、厚生労働省は以下の年金例を公表しています。
【2026年度】国民年金と厚生年金の年金額例
・国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円(+1308円)
・厚生年金(夫婦2人分):23万7279円(+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万9408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
国民年金の年金保険料は全員一律ですが、厚生年金は会社員や公務員などが加入し、収入に応じた保険料を納めるため個人差が表れやすくなります。
働き方や生き方が多様化する今、「将来、自分はどのくらいの年金を受け取れるんだろう?」と気になっている人もいるでしょう。次では、現役時代の働き方別に年金額例を見ていきましょう。
厚生年金「平均収入35.6万円×33.4年働いた女性」65歳からの年金額とは?《概算》
厚生労働省は、今回の年金改定の発表と同時に、多様なライフコースに応じた年金額例も示しています。
ここでは、年金加入経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分類し、「2026年度に65歳になる人」を想定した年金額の概算が提示されています。

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
パターン①:男性・厚生年金期間中心
年金月額:17万6793円
・平均厚生年金期間:39.8年
・平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
・基礎年金:6万9951円
・厚生年金:10万6842円
パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額:6万3513円
・平均厚生年金期間:7.6年
・平均収入:36万4000円
・基礎年金:4万8896円
・厚生年金:1万4617円
パターン③:女性・厚生年金期間中心
年金月額:13万4640円
・平均厚生年金期間:33.4年
・平均収入:35万6000円
・基礎年金:7万1881円
・厚生年金:6万2759円
パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額:6万1771円
・平均厚生年金期間:6.5年
・平均収入:25万1000円
・基礎年金:5万3119円
・厚生年金:8652円
パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心
年金月額:7万8249円
・平均厚生年金期間:6.7年
・平均収入:26万3000円
・基礎年金:6万9016円
・厚生年金:9234円
本記事のサブタイトルにもある「平均収入35.6万円で33.4年働いた女性」は、まさにこの【パターン③】に該当し、65歳からの年金月額は約13万4640円となることがわかります。
上記のデータからは、厚生年金に長く加入し、かつ収入が高かった人ほど、老後の年金額は多くなる傾向があることが分かります。
実際に各パターンを比較してみると、会社員として厚生年金に長く加入していたパターン③に対し、自営業など国民年金(第1号)が中心だったパターン④(月額約6.1万円)では、月々7万円以上もの大きな差が生じています。
また、専業主婦などの国民年金(第3号)が中心だったパターン⑤(月額約7.8万円)と比べても、厚生年金への加入期間とその間の収入が、いかに老後の給付額を大きく押し上げるかが浮き彫りになります。
現役時代に「国民年金の期間が中心だったか」「厚生年金の期間が中心だったか」により、老後の年金水準が大きく変わるわけですね。
働き盛りの現役世代にとって、いまの働き方や収入は、目前の家計だけではなく、遠い将来の年金額を左右する重要な要素となるのです。
《年金制度改正法の見直しポイント》2026年度以降、年金のルールが段階的に変わります
2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しました。
この改正は多様化する働き方や家族構成、ライフスタイルを踏まえた年金制度を目指すものです。また、私的年金制度の拡充や所得再分配の強化などによって、シニアの暮らしの安定に繋げることなども大切な狙いです。
今回の改正の全体像を見ておきましょう。
主な改正内容

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
社会保険の加入対象の拡大
・中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする
在職老齢年金の見直し
・年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする
遺族年金の見直し
・遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
・月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする
その他の見直し
・子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
・私的年金の見直し:iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど
上記の改正内容からも、公的年金は「老後の受給額」だけの話ではなく、現役世代の働き方やキャリアプラン、人生設計とも深い関わりを持つことが分かります。
まとめにかえて
シニア単身世帯の家計は月約2.8万円の赤字が生じており、貯蓄や就労によるカバーが前提となっています。
2026年度の年金はプラス改定ですが、受給額は現役時代の収入等で個人差が出ます。そのため、日々の生活費だけでなく、税や社会保険料の負担も含めた見積もりがとても大切です。
2025年の年金制度改正は多様な生き方を後押しするものです。制度を正しく理解し、ねんきん定期便等を活用して、自身のライフコースに合わせた早めの生活設計を行いましょう。
参考資料
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2024年)」
・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
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