60歳以上対象【申請しないと始まらない】老齢年金以外の公的給付まとめ。「自分は対象外」と思い込みやすい給付ほど要注意
- 申請しないと受け取れない→老齢年金と同じく申請が前提の公的給付制度
- 「自分は対象外」と思い込みやすい給付ほど要注意
- 「働いているから対象外」とは限らない
- 「年金をもらっている=もう関係ない」は危険
- 「うちは該当しないだろう」という思い込みが生む差
- 制度の名前ではなく「条件」で判断する
- 老齢年金に“上乗せ”される可能性のある2つの給付!申請しないと始まらない制度
- その1「加給年金」
- 振替加算との関係
- その2「老齢年金生活者支援給付金」
- 60歳代以降の働き方で変わる!雇用保険から支給される3つの給付
- その1:65歳未満がもらえる「再就職手当」
- その2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」
- その3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」
- 毎年変わる年金制度。変化を確認しておこう|働き方・家族構成の変化に対応
- まとめにかえて:制度を知ることが老後の収入を守る
年金本体に上乗せされる可能性ある給付2種&雇用保険から支給される給付3種

60歳以上対象【申請しないと始まらない】 老齢年金以外の公的給付まとめ。「自分は対象外」と思い込みやすい給付ほど要注意
日本の公的年金制度や雇用保険制度は、「条件を満たせば自動的にもらえる仕組み」ではありません。
原則として、本人が請求や届出を行ってはじめて支給が始まる、いわゆる申請主義が採用されています。
そのため、制度そのものを知らなかったり、自分には関係がないと思い込んでいたりした結果、本来であれば受け取れたはずの公的給付を受け取らないままになっているケースも現実には少なくありません。
本記事では、
・夫婦の年齢差などによって年金に加算される給付
・再就職や賃金低下といった就労の変化を支える雇用保険給付
という2つの切り口から、シニア世代が知っておきたい代表的な公的給付を5種類取り上げ、制度の内容と注意点を整理していきます。
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申請しないと受け取れない→老齢年金と同じく申請が前提の公的給付制度
老齢年金・障害年金・遺族年金といった公的年金は、老後や万一の際の生活を下支えする重要な制度です。
しかし、支給要件を満たしたからといって、何もしなくても年金が振り込まれるわけではありません。
年金を受給するためには、所定の「年金請求書」を提出し、正式な請求手続きを行う必要があります。

年金請求書
この「申請が必要」という仕組みは、年金に限ったものではありません。
国や自治体が実施している各種の手当、給付金、補助金の多くも、同様に申請を行ってはじめて支給対象となります。
申請期限を過ぎてしまったり、必要書類が不足していたりすると、本来受け取れるはずだった金額が減額されたり、支給そのものが受けられなくなる場合もあります。
公的な支援制度を必要なタイミングで確実に活用するためには、自分がどの制度の対象になり得るのかを事前に把握し、求められる手続きを一つひとつ確実に進めていくことが欠かせません。
「自分は対象外」と思い込みやすい給付ほど要注意
公的な給付制度について調べるとき、多くの人が最初にやってしまいがちなのが、「これは自分には関係なさそうだ」と早い段階で線を引いてしまうことです。
年齢や働き方、家族構成を理由に判断してしまい、要件を最後まで確認しないまま読み飛ばしてしまうケースも少なくありません。
しかし実際には、給付制度の多くが複数の条件の組み合わせで成り立っており、見た目のイメージだけでは対象かどうかを判断できない仕組みになっています。
「働いているから対象外」とは限らない
「まだ働いている」「収入がある」という理由で、公的給付とは無縁だと考える人は多いでしょう。ところが、就労を前提に設計されている制度も少なくありません。
賃金が下がった場合や、雇用形態が変わった場合など、「働き続けているからこそ対象になる給付」も存在します。就業の有無だけで線を引いてしまうと、こうした制度は視野に入りません。
「年金をもらっている=もう関係ない」は危険
年金の受給が始まると、「年金制度はもう終わった話」と感じる人もいます。しかし、年金を受け取りながら適用される給付や加算制度、あるいは年金と併用する前提で設けられている支援もあります。
特に、配偶者の状況や就労状況によって左右される制度は、本人だけを基準に判断すると見落としやすくなります。
「うちは該当しないだろう」という思い込みが生む差
給付制度は、限られた人のための特別な仕組みではありません。むしろ、「条件に当てはまる人が一定数いる」ことを前提に設計されています。
それでも実際には、「自分は対象外だと思っていた」という理由で申請されないまま終わるケースが少なくありません。
結果として、同じような立場であっても、制度を知っていた人と知らなかった人の間に、受け取れる金額の差が生まれます。
制度の名前ではなく「条件」で判断する
給付制度をチェックするときに重要なのは、制度名の印象や一般的なイメージではなく、具体的な支給要件を一つずつ確認することです。
年齢、被保険者期間、収入の変化、家族構成。こうした条件の組み合わせ次第で、対象となるかどうかは変わります。
次章以降では、「申請しないと振り込まれない」代表的な給付制度について、どのような条件で対象になるのかを整理していきます。
老齢年金に“上乗せ”される可能性のある2つの給付!申請しないと始まらない制度
老齢年金を受給している人の中には、一定の条件を満たすことで、通常の年金額に上乗せして受け取れる公的給付があります。
ここでは、特に見落とされやすい年金関連の2つの制度について確認していきましょう。
その1「加給年金」
加給年金は、老齢厚生年金を受け取る人が、年下の配偶者や子どもを扶養している場合に支給される制度で、「年金版の家族手当」と説明されることもあります。
一定の条件を満たすことで、老齢厚生年金に加算される形で支給されるのが特徴です。
加給年金《支給要件》
・厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
・65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)
(※)共済組合などの期間を除き、40歳以降(女性・坑内員・船員は35歳以降)に15~19年の被保険者期間がある場合も含まれます。
これらのタイミングで、
・65歳未満の配偶者
・18歳到達年度の末日までの子
・1級・2級の障害状態にある20歳未満の子
がいる場合、年金額に加算されます。
ただし、配偶者自身が老齢厚生年金(被保険者期間20年以上)や退職共済年金を受け取る権利を持っている場合、または障害年金等を受給している場合には、配偶者分の加給年金は支給停止となります。
加給年金《2025年度の年金額》

加給年金《2025年度の年金額》
「加給年金」の年金額(2025年度の年額)は以下のとおりです。
・配偶者:23万9300円
・1人目・2人目の子:各23万9300円
・3人目以降の子:各7万9800円
また、老齢厚生年金を受給する人の生年月日によっては、配偶者分に3万5400円~17万6600円の特別加算が上乗せされます。
振替加算との関係
加給年金は、対象となる配偶者が65歳になると支給が終了します。その後、配偶者が老齢基礎年金を受給する場合には、一定の要件を満たすことで「振替加算」が老齢基礎年金に加算されます。
その2「老齢年金生活者支援給付金」
年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給している人のうち、所得水準が一定以下の場合に支給される給付金です。「老齢」「障害」「遺族」の3区分がありますが、ここでは老齢年金生活者支援給付金を取り上げます。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件

支給要件
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)である
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

給付基準額
2025年度の給付基準額は月額5450円で、前年度より2.7%引き上げられました。
実際の給付額は、以下2つの合計で算出されます。
老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算式
①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5450円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1151円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月
たとえば、国民年金保険料を40年間すべて納付している場合、2025年度は月額5450円(年額6万5400円)が支給されます(昭和16年4月1日生まれまでの人は計算が異なります)。
なお、免除期間に用いられる金額は、毎年の年金額改定に応じて見直されます。
60歳代以降の働き方で変わる!雇用保険から支給される3つの給付
シニア世代が働き続けるうえで、就労に関する給付制度も重要な位置を占めます。
高年齢者向けの就労支援制度は整備が進んでいるものの、60歳を境に収入が下がる人が多いのが実情です(※)。

出所:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
・50代後半:男性735万円・女性356万円
・60代前半:男性604万円・女性294万円
・60代後半:男性472万円・女性240万円
また、再就職や就業継続が若い頃と同じように進むとは限りません。
こうした状況を支えるため、雇用保険にはシニア向けの給付制度が用意されています。ここでは、特に知っておきたい3つの給付を確認します。
その1:65歳未満がもらえる「再就職手当」
再就職手当は、失業後できるだけ早く再就職した人に対して支給される給付です。失業期間が短く、基本手当の支給残日数が多いほど、受け取れる金額も大きくなります。
再就職手当【支給要件】
・対象者:雇用保険受給資格者で基本手当の受給資格がある人
・支給要件:対象者が雇用保険の被保険者となる、または事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合で、基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給
再就職手当【給付率】
・手当の額:就職等をする前日までの失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数により下記のとおり給付率が異なります。(1円未満の端数は切り捨て)
所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して就職した場合は「支給残日数の60%」
所定給付日数の3分の2以上の支給日数を残して就職した場合は「支給残日数の70%」

再就職手当の額
なお、再就職後6カ月以上雇用され、かつ賃金が離職前より低い場合には、「就業促進定着手当」の対象となることがあります。
その2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」
高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満で働き続ける人が、60歳到達時と比べて賃金が下がった場合に支給されます。
高年齢雇用継続給付【支給要件】
・対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者
・支給条件:賃金が60歳時到達時の75%未満となった状態で働き続ける場合
高年齢雇用継続給付【支給率】
・支給額:最高で賃金額の10%(※)相当額
※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は15%

【早見表】高年齢雇用継続給付(2025年4月1日以降)
老齢年金を受給しながらこの給付を受ける場合、在職老齢年金による調整に加え、最大で標準報酬月額の4%(※)相当が支給停止される点にも注意が必要です。
※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は6%
その3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」
高年齢求職者給付金は、65歳以上の人が失業した際に支給される給付金です。
高年齢求職者給付金【支給要件】
・対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業した人
・支給要件:下記の全ての要件を満たした人

高年齢求職者給付金の額
支給額
・被保険者であった期間が1年未満:30日分の基本手当相当額
・被保険者であった期間が1年以上:50日分の基本手当相当額
なお、65歳未満の失業手当が分割支給されるのに対し、この給付金は一括支給される点が大きな違いです。
毎年変わる年金制度。変化を確認しておこう|働き方・家族構成の変化に対応
2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しました。
年金制度は「受け取る段階」だけでなく、「働き方や生き方」そのものに目を向けた見直しが行われることになったのです。
今回成立した法改正は、特定の世代だけを対象にしたものではなく、現役世代からシニアまで、幅広い人の将来設計に影響を及ぼす内容です。
まずは、制度改正の全体像を整理しておきましょう。
主な改正内容

主な改正内容
社会保険の加入対象の拡大
これまで年金制度は、フルタイムで長く働く人を軸に設計されてきました。
今回の改正ではその前提が見直され、短時間勤務や中小企業で働く人も、厚生年金や健康保険の対象に含まれやすくなります。
これにより、将来受け取る年金額が増える可能性がある一方、現役時代の保険料負担とのバランスをどう考えるかが、これまで以上に重要になります。
在職老齢年金の見直し
在職老齢年金についても見直しが行われました。年金を受給しながら働くと、一定以上の収入で年金が減額される仕組みは、多くのシニアにとって就労意欲を下げる要因になっていました。

在職老齢年金制度の見直し
今回の改正では、この減額が起きにくくなり、年金と収入を両立しながら働き続けやすい制度へと方向転換しています。
遺族年金の見直し
遺族年金については、これまで指摘されてきた男女差の是正が進められます。あわせて、子どもが遺族基礎年金を受給しやすくなるよう、制度の考え方そのものが整理されました。
家族構成が多様化するなかで、「従来型の世帯」を前提としない制度へ移行しつつある点は、今回の改正の大きな特徴といえます。
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
保険料や年金額を算定する際に使われる賃金の上限も引き上げられます。これにより、収入が一定以上ある人は、現役時代の賃金により近い形で保険料を負担し、その分、将来の年金額にも反映されやすくなります。
負担と給付の関係を明確にすることで、制度の納得感を高める狙いがあります。
その他の見直し
そのほか、子どもに関する加算や脱退一時金の見直し、iDeCoの加入年齢上限引き上げなど、私的年金を含めた制度全体の調整も行われました。
これらを踏まえると、公的年金はもはや「老後にもらうお金」だけの話ではありません。
現役時代の働き方、収入の得方、そして老後にどのような生活を描くかまで含めて、早い段階から考える必要がある制度へと変わりつつあります。
まとめにかえて:制度を知ることが老後の収入を守る
本記事では、公的年金に上乗せされる給付金制度と、その背景にある制度改正について整理してきました。
多くの給付は、条件を満たしていても申請しなければ受け取れない仕組みです。「自分は関係ないだろう」と思い込まず、該当の可能性がないかを一度立ち止まって確認することが重要です。
また、年金だけで老後の生活すべてを賄うのが難しくなっている現実も見逃せません。物価上昇に加え、医療費や介護費の負担増も続いています。
公的制度を正しく理解したうえで、資産形成や保険なども組み合わせながら、将来に備える視点がこれまで以上に求められているといえるでしょう。
参考資料
・日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号
・日本年金機構「か行 加給年金額」
・日本年金機構「加給年金額と振替加算」
・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
・日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
・厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」
・厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
・日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」
・厚生労働省「再就職手当のご案内」
・厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
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