賃金アップのトレンドの中「氷河期世代」はまたカヤの外 全世代中「50代前半」だけがマイナスに…背景は
就職氷河期世代といわれる50~54歳の名目賃金の伸びが5年前と比べ、全世代の中で唯一マイナスとなっていることを民間シンクタンクが試算した。賃金水準の抑制が入社時から今も続いている上に、若手の処遇改善や定年延長による人件費確保などのしわ寄せも生じた形だ。
◆この5年間、20代前半は15.8%の伸び
第一生命経済研究所の熊野英生氏が、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を用いて試算した。雇用される労働者の賃金を性別や年齢、職種などで分類される同調査から大卒、男女計、一般労働者の所定内給与の変化を調べた。

賃金アップのトレンドの中「氷河期世代」はまたカヤの外 全世代中「50代前半」だけがマイナスに…背景は
2020年と2025年を比較すると20~30代の賃金水準はいずれも10%超上昇。中でも20~24歳は15.8%と最も高い伸びを示し、それ以降は緩やかに下降線をたどり、45~49歳は5.0%の上昇だった。50~54歳は唯一マイナス1.3%に落ち込んだ。55~64歳は再び上昇しており、50~54歳だけ賃上げの恩恵を受けていないことが裏付けられた。
◆うちらはいつも割を食っている
熊野氏によると、50~54歳の賃金が伸びない理由として、氷河期世代で、かつ長期不況のため若い頃から昇給が鈍い状態が続き、今も賃金水準が抑え込まれやすい構造にある。人手不足が深刻になっても、この世代は既に年齢を重ね、転職も限られていたことから、企業は処遇改善に積極的にならなかったという。

さらに65歳までの雇用確保を努力義務化されたことも影響。団塊世代の退職金確保から始まり、定年延長などで雇用されたシニアの人件費を確保する必要もあった。役職ごとに定年を設け、そこに達した後は役職を外す「役職定年」などによる手当削減も加わり、50代以降の現役世代の賃上げを遅らせたと分析する。
東京都内の女性会社員(52)は「昔は先輩、今は若手に手厚い。いつか賃上げを実感できると頑張ってきたが、このまま定年を迎えそう。うちらはいつも割を食っている」と嘆く。
◆「給与のピーク」は55歳後半に後ずれ
その上の世代である55~59歳の賃金が試算で上昇しているのは、企業が給与水準のピークを2020年は50~54歳にしていたが、2025年は55~59歳に後ずれさせていることが影響した可能性があるとみている。

(イメージ写真)
世代間の賃金格差は、氷河期世代の問題にとどまらない。熊野氏は「住宅ローンや教育費など負担が重い時期と重なる世代の賃金が伸びなければ、消費は冷え込み、日本経済の底上げに影を落としかねない」と危ぶんでいる。(市川千晴)
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