中東8カ国から日本は11.3兆円分を輸入-アルミや大理石、養殖用の餌も
(ブルームバーグ): 米国・イスラエルとイランの衝突を受けペルシャ湾を巡る緊張が高まり、日本がエネルギー分野で中東に依存する実態が改めて浮き彫りになった。原油以外にも大理石や養殖用の魚粉、潤滑油など、産業や食料生産を支えるさまざまな品目を輸入しており、供給が滞れば影響は幅広い分野に及ぶ。
貿易統計からイラン、イラク、バーレーン、サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)を抽出すると、これらの国からの輸入額は約11兆2700億円で中東全体の98%を占める。数量ベースでは原油への依存が94%と突出している。

日本は原油や原油由来の化学製品でペルシャ湾岸に依存
自動車のエンジンオイルや工作機械に不可欠な「潤滑油及びグリース」もその一つだ。自動車のエンジンオイルや工作機械に使われる。原油を精製してできる基油をさらに加工して製造される。中東から16.5%を調達するが、潤滑油協会によると、現時点では加工品の輸入減よりも原油の供給の減少で国内生産が細る危機感が強いという。ホルムズ海峡が事実上閉鎖したことで、中東からの原油輸入は3月下旬から大幅に減少している。
日本水産油脂協会によると、魚粉はブリやタイなどの養殖に使う飼料が主な用途だ。中南米からの輸入が多いため、現時点で供給懸念は高まっていないという。オマーンから輸入するニッスイの広報担当者によると、計画していた分は2月末までに出港したため影響がなく、現地の漁期の関係で次に調達を検討するのは11月以降だという。複数国との取引で調達バランスを調整しており、周辺国の情勢を引き続き注視するとした。
大理石は1月に輸入が集中した。石材商社の関ヶ原石材は、中東産は欧州産より安価で、都市開発のために大規模な需要が生じた可能性を指摘する。
世界の依存
複雑化した供給網では、日本と湾岸諸国の間に貿易がなくても間接的に打撃を与える恐れもある。みずほリサーチ&テクノロジーズ(MHRT)がまとめた資料によれば、原油や液化天然ガス(LNG)以外でも素材系を中心に世界の中東依存度が高い品目がある。アジアでは特にインドの依存度が高い。

中東依存は他国を介して日本に影響する可能性もある
例えば、ペットボトルやインクなどの原料になるジエチレングリコールは、世界全体で55.6%、インドは90%を中東に依存する。肥料やゴム製品の製造に使われる硫黄も、インドでは中東からの輸入比率が96%と極めて高い。
日本も多く輸入するアルミニウムも中東依存度が高い製品だ。ペルシャ湾岸で世界生産の1割を占め、アジアの自動車メーカーはロシア産への切り替えも検討し始めた。MHRTシニア日本経済エコノミストの越山祐資氏は、日本が材料や製品を輸入する国が原材料を中東に依存している場合、波及的に供給が滞るケースも十分考えられると述べた。
輸出は自動車関連
日本から湾岸8カ国への輸出額は約4兆2400億円で、輸入に比べると規模は小さい。過半を占めるのが自動車の約2兆2000億円だ。原動機(エンジン)、自動車部品と続き、自動車産業が中心となっている。
越山氏らの試算では、中東貿易への懸念が高まる局面では、国内総生産(GDP)は0.6%程度押し下げられ、その大部分が輸入によるものだ。影響の度合いは、エネルギーを多く利用する金属業界や、原油由来製品を扱う化学品業界で強いという。
帝国データバンクの調査によると、中東13カ国と取引のある日本企業は1月時点で少なくとも1137社ある。国別ではUAEの452社が最も多かった。中古車の輸出入を行う企業のほか、石油や天然ガス開発企業の拠点も多いという。

中東で貿易事業を展開する企業は1137社
中東で稼いでいるのは、千代田化工建設や日揮ホールディングスなどのプラント建設企業だ。両社の発表資料によれば、千代田化工では、売上高に占めるカタールの割合が46%、日揮HDでは中東の割合が34%となっており、中東情勢の混乱の影響を受ける可能性がある。
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