【フィリピン】日系外食チェーンの出店加速[サービス] 大戸屋が1号店、鳥貴族も秋ごろ

MITSUKOSHI BGCに開業した鶏肉料理店の「鶏三和」のフィリピン1号店=6日、首都圏タギッグ市(NNA撮影)

日本の大手外食店のフィリピン進出が相次いでいる。定食チェーン「大戸屋」を展開する大戸屋ホールディングスが2月末にフィリピン1号店を開業したほか、居酒屋チェーン「鳥貴族」を運営するエターナルホスピタリティグループも地場の外食企業とのフランチャイズ(FC)契約を発表。今年秋ごろの出店に向けて準備を進めている。フィリピンでは元々、日本食に対するニーズは高かったが、経済成長に伴う所得水準の上昇などを背景に大手チェーン店などの進出が加速している。

大戸屋ホールディングス(横浜市)は2月末、マニラ首都圏タギッグ市の新興開発地区ボニファシオ・グローバル・シティー(BGC)にある高級コンドミニアムの1、2階に、定食チェーン「大戸屋ごはん処」のフィリピン1号店をオープンさせた。

店舗面積は375平方メートル、総席数114席。

人気メニューは「鶏の黒酢あん」「牛すき焼き鍋」「シマホッケ炭火焼き」。広報担当者によると、同社の海外店舗では通常、鶏の黒酢あんは日本ほど人気はないが、甘くて酸味のある味が好まれるフィリピンではトップクラスの注文があるという。

価格設定にこだわったという牛すき焼き鍋については、近隣店舗の価格調査を行い、どこよりも安く設定したことで「かなり多くの注文を獲得できている」と説明した。

1号店の出店に当たって、不動産大手フェデラル・ランド・グループの小売り部門フェデラル・ブレント・リテールと提携。首都圏を皮切りに全国展開を検討している。

大戸屋のフィリピン1号店は2月末に営業を開始した=6日、首都圏タギッグ市(NNA撮影)

「鳥貴族」を展開するエターナルホスピタリティは昨年10月、ミンダナオ地方ダバオ市に本拠を置くJTCグループ・オブ・カンパニーズとのFC契約を発表。今年秋ごろの1号店のオープンに向けて準備を進めている。

エターナルホスピタリティは今月4日にベトナム1号店を出店したほか、2月末にはシンガポールの現地企業とのFC契約を結ぶなど東南アジアでの展開に力を入れている。広報担当者は、NNAに対し「東南アジア市場は今後の成長が期待され、当社としても次の進出先の1つとして注目している」と説明した。

さんわグループのオールドリバー(愛知県大治町)は3月、タギッグ市の商業施設「MITSUKOSHI BGC(三越BGC)」内に、鶏肉料理店の「鶏三和」のフィリピン1号店を開業。主力商品の「親子丼」のほか、「鶏のひつまぶし」「鶏ステーキ」「水炊き鍋」などを提供している。

地場企業ムゲン・グループとのFC契約の下、将来的にフィリピンで10~20店舗の展開を検討している。

このほか、カレー専門店「日乃屋カレー」を展開するノアランド(東京都千代田区)が5月に首都圏マカティ市に出店する。100%日本法人が出資する企業とのFC契約。「名物カツカレー」をはじめとするカレーメニューを提供する。当面はフィリピンで3~4店舗の展開を見込む。

丼チェーン店「伝説のすた丼屋」を展開するアントワークス(東京都杉並区)は中部セブ州にフィリピン1号店を開業した。看板メニューの豚バラ肉を使った「すた丼」のほか、「スパイシーすた丼」「鶏唐揚げ丼」や「肉そばらーめん」などを提供している。

フィリピン進出に当たっては、地場UZU PHエンタープライズとFC契約を締結。今後は首都圏での展開に向けて、新たなFC先も検討している。

■日系外食の進出機運高まる

日本の農林水産省が2025年11月に発表した国・地域別の日本食レストランに関する報告によると、フィリピンは940店舗で23年から23.7%増えた。一方で、インドネシアの6,580店やタイの5,920店など、他の東南アジア主要国と比べて日本食レストランの店舗数の少なさが目立つ。

日本貿易振興機構(ジェトロ)・マニラ事務所の担当者は、同調査について、国・地域ごとに調査条件が異なるため単純な比較はできないとしつつ、フィリピンの人口や経済規模の割に日本食レストランが少ないのは事実と話した。

一方で、2年ほど前から日本食レストランの進出が増えているとも指摘。元々フィリピンには本格的な日本食レストランを求める消費者は少なくなかったが、23年に首都圏タギッグ市に三越BGCが開業したことも日本食レストラン進出の追い風になっていると分析する。

また、以前に比べて、鮮魚や牛肉、調味料といった食材が日本から輸入しやすくなり、日本国内の店舗と変わらないメニューを提供できるようになったことも日本食レストランの進出に拍車をかけているとみている。

経済成長が著しく、国民所得も向上しているフィリピン。地理的にも日本に近く、訪日旅行などを通じて「本物の日本食」を求める国民も増えている。日本食レストランが一気に増加する条件は整いつつある。