年金に月額5620円が上乗せされる?「年金生活者支援給付金」の支給要件と申請方法をわかりやすく解説
対象者・支給額・手続きの流れを整理

年金に月額5620円が上乗せされる?「年金生活者支援給付金」の支給要件と申請方法をわかりやすく解説
春の訪れとともに、新年度がスタートする季節となりました。
新たな生活に期待が膨らむ一方で、年金だけで生活していくことに不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に昨今は物価の上昇が続いており、日々の暮らし向きを心配される声も少なくありません。
そんな中、公的年金に加えて受け取れる可能性がある「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存じでしょうか。
この制度は、年金の収入額が一定の基準を下回る方々の生活を支えるために設けられたものです。
本記事では、どのような方が対象となるのか、具体的にいくら受け取れるのか、そしてどのような手続きが必要なのかを、一つひとつ丁寧に解説していきます。
ご自身が対象になるか、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
年金生活者支援給付金の基本概要

年金生活者支援給付金制度について
公的年金などの収入や所得額が基準に満たない年金受給者の生活を後押しするため、「年金生活者支援給付金」という制度が設けられています。
これは一度きりの給付ではなく、年金に上乗せする形で継続的に支給される点が特徴です。
この給付金は、受給している基礎年金の種類によって、以下の3つに分けられます。
・老齢年金生活者支援給付金
・障害年金生活者支援給付金
・遺族年金生活者支援給付金
受給を開始するには申請が必要ですが、一度手続きをすれば、支給要件を満たしている限り2カ月に一度の頻度で支給されます。
年金生活者支援給付金を受け取るための支給要件
この章では、多くの方が関心を持つ「年金生活者支援給付金の支給要件」について、詳しく見ていきましょう。
障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者について
まず「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金を受給していることが前提です。
加えて、前年の所得が479万4000円以下であることが条件となります。
ここで重要な点は、所得の計算に障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれないということです。
また、扶養親族の人数に応じて所得の基準額が引き上げられる点も覚えておくとよいでしょう。
老齢年金生活者支援給付金の対象者について

年金生活者支援給付金制度について
一方、老齢年金生活者支援給付金の対象となるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
・65歳以上で老齢基礎年金を受給している方
・同じ世帯の全員が市町村民税非課税であること
・前年の公的年金などの収入金額と、給与所得や利子所得といったその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下であること
「老齢年金生活者支援給付金」の場合、ご本人の所得だけでなく世帯全体の状況も要件に含まれる点に注意が必要です。
なお、こちらの判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。
また、所得が基準額をわずかに超えたために給付の対象外となる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みがあります。
この対象となるのは、「昭和31年4月2日以降に生まれた方で所得合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方」、または「昭和31年4月1日以前に生まれた方で所得合計額が80万6700円を超え90万6700円以下の方」です。
年金生活者支援給付金はいくらもらえる?給付額を解説
「年金生活者支援給付金」の給付額は、公的年金と同様に前年の物価変動率などに連動するため、年度ごとに見直されます。
では、今年度の金額はどのくらいなのでしょうか。
2026年度における年金生活者支援給付金の具体的な金額

年金生活者支援給付金の給付額
2026年度の「年金生活者支援給付金」の給付額は、前年度から3.2%増額され、基準額は月額「5620円」となりました。
・老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
・障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
・遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
ただし、老齢年金生活者支援給付金については、この基準額をもとに、個々の保険料納付済期間などを考慮して実際の給付金額が計算されます。
年金生活者支援給付金の請求手続きと申請方法
「年金生活者支援給付金」は自動的に支給されるものではなく、申請手続きが必要です。
手続き漏れがないように注意しましょう。
ここでは、対象となる方が多い2つのケースに分けて、請求手続きの方法を解説します。
ケース1:すでに年金を受け取っており、新たに対象となった方の手続き

支給対象となった場合
・毎年9月の第1営業日から、対象者へ「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。受け取ったら必要事項を記入し、切手を貼って投函してください。
・締切日までに提出すれば10月分まで遡って受け取れますが、提出が遅れると請求した月の翌月分からの支給となります。早めの手続きをおすすめします。
※「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は、マイナポータルを利用した電子申請も可能です。電子申請をした場合、郵送での提出は不要になります。
ケース2:これから老齢年金の受給を開始し、同時に対象となる方の手続き

出典:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
・年金の受給権が発生する3カ月前に、年金を受け取るための「年金請求書(事前送付用)」が日本年金機構から送られてきます。この中に「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。
・必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所へ提出します。
翌年以降の手続きは原則不要になる点について
一度請求書を提出し受給が決定すれば、翌年以降も支給要件を満たし続ける限り、原則として手続きは不要です。
※年金生活者支援給付金は、毎年度、前年の所得情報などに基づいて継続して支給できるかの判定が行われます。その結果は、毎年10月分(12月支払い)から1年間反映されます。
データで見る高齢者世帯の生活実態:「生活が苦しい」と感じる割合
高齢者世帯の半数以上が、日々の生活に「苦しさ」を感じているという調査結果があります。
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を基に、高齢者の生活意識について見ていきましょう。

高齢者の生活意識
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の生活意識は以下の通りです。
高齢者世帯の生活意識
・大変苦しい:25.2%
・やや苦しい:30.6%
・普通:40.1%
・ややゆとりがある:3.6%
・大変ゆとりがある:0.6%
この調査では、「大変苦しい」と「やや苦しい」を合計した「苦しい」と感じている世帯の割合は55.8%と、半数を超えています。
また、「普通」と回答した世帯よりも、生活が「苦しい」と感じている世帯の方が多いという実情がうかがえます。
まとめ
この記事では、公的年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」について、対象となる方の条件や給付額、手続きの方法などを解説しました。
物価の上昇が家計に影響を与える中で、月々数千円でも収入が増えることは、暮らしの安心につながるのではないでしょうか。
この給付金は、ご自身で請求手続きをしないと受け取ることができません。
もし、ご自身が対象かもしれないと感じた方は、まずは日本年金機構から届くお知らせを確認してみましょう。
また、不明な点があれば、給付金専用ダイヤルや近くの年金事務所に相談してみるのも一つの方法です。
利用できる制度を正しく理解し、これからのセカンドライフを少しでも豊かに過ごすための一助としていただければ幸いです。
参考資料
・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
・日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」
・日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
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