軽EV「サクラ」の現状とマイナーチェンジの狙いは? 日産に聞く

日産自動車が軽自動車の電気自動車(軽EV)「サクラ」をマイナーチェンジして2026年夏ごろに発売する。注文の受け付けは開始済みだ。サクラはどれだけ売れているのか。マイナーチェンジで(実質的に)値下げする狙いは? 改良のポイントは!

日産「サクラ」ユーザーがホンダ「N-ONE e:」に乗って感じた2つの「相違点」

日産 日本マーケティング部 チーフマーケティングマネージャーオフィス マーケティングマネージャーの戸井田聡さんに聞いてきた。

軽EV、そもそも売れている?, サクラを買っているのはどんな人?, マイナーチェンジでどう変わる?, 【フォトギャラリー】サクラのマイナーチェンジモデル

日産「サクラ」のマイナーチェンジモデル

日産が軽EV「サクラ」をマイナーチェンジ! どう変わる?

軽EV、そもそも売れている?

日産がサクラを発売したのは2022年6月のこと。それ以来、国内のEV販売台数では4年連続のNo.1を獲得しているという。

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日産「サクラ」のマイナーチェンジモデル

EV販売台数の推移とサクラの実績

日本におけるEVの累計販売台数のうち、31%はサクラだと日産は説明する。

2024年度にEV全体もサクラも販売台数を大きく落としているのは、欧米を中心にEVの普及についての懐疑的な声(報道)が増え始めたため。それまでは「車両の価格が高い」「航続距離に不安がある」といった具体的な理由でEV購入を控える人が多かったが、この頃は「EVは普及しないのでは」といったような漠然とした不安からEVを避ける人が増えたそうだ。

2025年度になってEV販売台数は回復。全需に占めるEVの割合も向上してきており、2025年度第4四半期には2.4%まで伸びたそうだ。戸井田さんは「日本のEV需要が増加フェーズに入ってきた感触がある」と話す。

ただ、全体の回復基調とサクラの販売台数は連動していない。その点について戸井田さんは「悔しい」と率直に認めつつ、「マイナーチェンジに向けた生産調整の期間が、部品供給などの関係で少し長引いた。もう少し実力はあると思う」とした。

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日産「サクラ」のマイナーチェンジモデル

「サクラ」のマイナーチェンジモデル(Gグレード)。普通のクルマだとピンク系のボディカラーを選ぶ人は少なく、販売割合は数%にとどまるそうだが、サクラは車名の影響もあってかピンク系の相場が「二桁%で安定」していると戸井田さん。写真のボディカラーは新色の「水面乃桜-ミナモノサクラ-」と「スターリングシルバー」の「プレミアム2トーン」だ。2トーンはホイールアーチを含むクルマの下回りまでボディと別の色で塗装する

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日産「サクラ」のマイナーチェンジモデル

グリーン系の色はサクラ初登場

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日産「サクラ」のマイナーチェンジモデル

こちらはマイナーチェンジ前(現行)の「サクラ」

サクラを買っているのはどんな人?

サクラの発売当初は、購入者の多くが「EVの試し乗り」をしてみたいという人、いわゆる「アーリーアダプター」だったものの、2023年には購入者の性質が変わったと戸井田さんは振り返る。

購入者の性質の変化は、「下取り車が何か」に如実に表れる。当初はサクラを名指しで買って、大きなクルマを下取りに出す人もいたそうだが、2023年以降は一般的な軽のガソリン車からの乗り換えが6割くらいに。この状況、日産の軽ガソリン車「デイズ」「ルークス」とほとんど変わらないそうだ。

つまり、サクラの購入者は「軽EVの新しさに魅力を感じた人たち」から、「軽自動車の購入を検討する中で、サクラを選んだ人たち」に変わっていったというわけだ。

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日産「サクラ」のマイナーチェンジモデル

ハードウェアに大きな変更なし。例えばバッテリー容量はマイナーチェンジ前と同等で、航続距離(WLTCモード)も最大180kmと変わっていない

マイナーチェンジでどう変わる?

軽EV市場で築いた地位と獲得したシェアを維持・拡大していくため、今回のマイナーチェンジではグレード展開と価格設定にこだわったという。

これまで、一般ユーザー向け(事業用ではなく)には上級グレード「G」と量販グレード「X」の2種類で展開していたサクラだが、今回のマイナーチェンジではエントリーグレード「S」を用意。G/X/Sの3グレード展開とした。

GとXでは新たな外観を採用。これまでも好評を博していた上質さと先進性に更なる磨きをかけた。具体的にはフロントマスクが変わっており、新外観はボディカラーと同色のカラードグリル、カッパー色をあしらったフロントバンパーを採用している。Sの外観は従来のままだ。

GグレードはNissanConnectナビを標準装備。15インチの新アルミホイール(従来は14インチ)を装着しており、プレミアム2トーンのボディカラーが選べる。価格はマイナーチェンジ前が308.2万円、マイチェン後が299.9万円。「軽なのに300万円超?」という心理的ハードルの下をくぐった格好だ。

Xグレードは人気装備を標準化して価格を259.9万円で据え置いた。具体的にはインテリジェント アラウンドビューモニター、前席ヒーター付シート、ステアリングヒーターなど、マイチェン前のユーザーの「7~8割が選んでいた」(戸井田さん)人気の装備が標準となっている。

Sグレードは「軽自動車検討層向けに」新設。バックビューモニターが標準装備で価格は244.9万円だ。2026年度のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)58万円を活用すれば、実質価格は186.9万円に。これなら軽自動車検討客のカートに入っても価格的にそこまで高く見えないはずだ。

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日産「サクラ」のマイナーチェンジモデル

充電ポートのロック機能、100V AC電源、助手席カップホルダー、後席リマインダー、接近時アンロック/降車時オートロック、エアコンの風向き改良、ドライブモードスイッチの位置変更など、今回のマイナーチェンジでは細部のブラッシュアップも実施した

Gグレードは値下げ、Xグレードは装備追加で値段据え置き……。何もかもが値上がりする世の中にあって、日産はどうやってこの値付けを実現したのだろうか。見えないコストダウン施策を盛り込んだ? 以下、戸井田さんのコメントだ。

「コスト削減の努力はしていますが、この価格は、コスト削減で叶えたわけではありません。サクラは(日産の長期ビジョンで)成長を狙うモデルという位置づけです。日本のEV市場は伸びる兆しが出てきており、欧米のように、全需の1割といったような水準も、ないシナリオではありません。サクラは軽EVのパイオニアとして高いシェアを持っており、リーダーポジションは常に持っていきたいので、戦略的に、頑張って値段を付けました」

軽EVの世界にはホンダ「N-ONE e:」が登場しており、今後はスズキや中国のBYDも入ってくる。日産としては、先行者としてこれまでに獲得したシェアを「面積で」持ち続けたいという強い意向があり、1台当たりの利益が圧縮されたとしても台数で稼ぐ、というような意気込みで、マイナーチェンジモデルの価格設定を「頑張った」ということらしい。

軽EVは短距離・高頻度なクルマの使い方にばっちりフィットする乗り物だ。ガソリンスタンドが減少傾向にある今、軽EVに利便性を感じられる自動車ユーザーはますます増えているものと思われる。日本の新車販売の37%を占めるという巨大な軽自動車市場で、どれだけEVのシェアが伸びるかに注目していきたい。

【フォトギャラリー】サクラのマイナーチェンジモデル

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