【日本市況】円が再び下落、植田総裁会見中-中期債安、株6万円割れ
(ブルームバーグ): 28日の日本市場は、植田和男日本銀行総裁の会見中に円相場が対ドルで再び下落に転じた。発言が特にタカ派ではなかったとの見方から円が売られた。債券は中期債が下落(金利は上昇)、株式は日経平均株価が6万円を割り込んだ。
日銀は金融政策決定会合で利上げ見送りを決定したが、反対が3人(前回1人)に増えた。金融市場の翌日物金利スワップ(OIS)では会合前に60%台だった6月利上げの確率が70%前後に上昇、円は一時158円台まで上げていた。その後の総裁会見は、今後の利上げ時期について明確な言及がなかったと受けとめられ、6月利上げ確率が元に戻った。原油価格の上昇を受けたドル買いも加わり、円下落が加速した。

Yen Notes As Japan Warns Market Intervention
日銀は次回以降の会合に向けて経済的側面ばかりでなく、利上げに前向きではない発言が散見される高市早苗内閣との政治的やりとりを含めて6月会合で難しいかじ取りを迫られる。
三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、「植田総裁のスタンスは特にタカ派的というわけではなかった」と評価した。「6月会合やその後の会合での利上げの可能性には言及しているものの、利上げの判断はその時々の状況に依存することを強調しているようだ」として「これは円安圧力と受け止められる可能性が高い」と述べた。
市場が注目していた会合後の会見で日銀の植田和男総裁は、物価上昇の上振れリスクが顕在化し経済に影響する可能性に注意を示した。その上で、政策が後手に回るビハインド・ザ・カーブを回避するため、次回会合で適切に判断する考えを示した。また大きな景気調整リスクがある程度制限されれば利上げの可能性などとも言及した。
| 円は対ドルでニューヨーク終値比で0.1%安の159円57銭 |
| 日経平均株価の終値は前日比1.0%安の5万9917円46銭東証株価指数(TOPIX)は1.0%高の3772.19 |
| 長期国債先物6月物の終値は変わらずの129円70銭新発10年国債利回りは0.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い2.465% |
為替
円相場は対ドルで159円半ばと再び下落している。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、原油価格の上昇を受けたドル買いが円の重しになったと指摘。ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクへの言及などを通じて利上げへの期待は維持されたものの、会見は展望レポートで示された内容を上回るものではなかったと話した。
ピクテ・ジャパンの田中純平投資戦略部長は、エネルギー不足や財政悪化懸念などが円安圧力としてくすぶり続けることが想定され、日銀のタカ派姿勢を受けた円高は長続きしない可能性があると話していた。

ドル・円相場の日中足チャート | 円が再び下落に転じる
株式
株式では日経平均が前日に最高値を更新して過熱感が意識される中、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の19営業日ぶり反落を受けて、半導体関連株中心に下げ、ソフトバンクグループなど人工知能(AI)関連株も売られた。
決算を材料にした物色も顕著で、今期(2027年3月期)営業利益が市場予想を下回ったアドバンテストは一時6.9%安まで下落した。一方、日銀決定会合を受けて銀行株は上げ幅を広げ、東証株価指数(TOPIX)はプラスで取引を終えた。日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は7営業日ぶりに低下した。
大和証券の津田遼太シニアストラテジストは銀行株について、ここまで相場が強い中で若干軟調に推移していたため、日銀会合をきっかけに見直し買いが入っていると指摘。利ざや改善による収益拡大の見通しが続けば、銀行株にとってはポジティブと話した。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフストラテジストは日銀会合について、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」ではエネルギーを除いた消費者物価(コアコアCPI)も上方修正され、反対票も増えるなど「6月の利上げを道筋として示した形」と指摘した。円高が輸出関連株の重しになり、日経平均株価は6万円を挟んでの攻防となるだろうとしている。

日経平均株価の日中足チャート | 6万円割り込む
債券
債券では、政策金利の動向に反応しやすい中期債が下落する一方、日銀の政策対応が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」への懸念の後退を背景に超長期債は上昇した。
全国信用協同組合連合会の資金運用部の山下周チーフエコノミストは日銀会合の結果について「タカ派的な据え置きだ」と指摘。物価の上振れリスクを抑える姿勢が、結果的に経済の安定につながるとの見方が市場で意識されていると述べた。その上で、日銀の展望リポートを受け、イールドカーブはフラット化の動きとなっていると指摘した。
太陽生命保険の清友美貴常務はコアCPI見通しの上昇は見込んでいたが「想定以上の引き上げ幅。次回会合での利上げが確実視され、市場の織り込みが進んでいる」と述べた。
また、中東情勢で不透明感が高まる中で、政策金利の維持への反対票が3人に増えたことも驚きとしたうえで、長期投資家である生命保険会社としては「すぐに何か動くことはない」とし、市場動向を見極める構えとした。
国債利回り(午後3時時点)
| 1.375% | 1.860% | 2.465% | 3.310% | 3.640% | 3.865% | |
| 前日比 | +1.5bp | +1.0bp | -0.5bp | -2.0bp | -3.5bp | -2.0bp |

債券先物の日中足チャート
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:我妻綾、松山かの子、佐野七緒、ジョン・チェン、深瀬敦子.
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