【インドネシア】上質な即席麺を手頃価格で[食品]日清食品、プレミアム層に照準

今年発売されたカップヌードルシーフード味を紹介するインドネシア日清の武田社長(NNA撮影)
世界第4位、2億8,000万人超の人口を抱えるインドネシアは、中国に次ぐ世界第2位のインスタントラーメン市場を有する。日清食品の現地法人インドネシア日清は、市場を席巻する地場大手2社が主導する低価格市場とは一線を画し、中間価格帯のプレミアム市場の開拓を進める。輸入品よりも手頃な価格で高品質の商品を提供し、価格と品質のバランスを重視する中間層の需要を取り込む。経済成長に伴い需要拡大が見込まれるカップ麺にも注力している。【山本麻紀子】
世界ラーメン協会によると、2024年のインドネシアのインスタントラーメン需要は約146億8,000万食と、日本(約59億食)の2.5倍規模。一方で市場構造は大きく異なる。インドネシア日清の武田宣利社長によれば、同国におけるカップ麺の構成比は全体の約5%にとどまり、カップ麺が全体の約3分の2を占める日本とは対照的だ。

背景には消費者意識の違いがある。インドネシアではカップ麺は依然として「移動時などに食べるもの」との認識が根強く、イスラム教の断食明け大祭(レバラン)時の帰省移動中などに消費されるイメージが定着している。
■カップ麺需要、都市部で変化
もっとも、都市部では変化の兆しもある。ジャカルタ首都圏でオフィスビルの階下やアパートの階下で営業するコンビニでは、カップ麺の品ぞろえが多い。武田氏は「経済成長に伴いコンビニの店舗数が増えるにつれてカップ麺市場も成長が続く」との見方を示す。
16年に投入した「カップヌードル」は、19年にパッケージを刷新して新たにビーフスープ味とチキンスープ味を発売。今年初めにはシーフード味も投入した。カップ麺事業の強化を進めており、過去4年間で売上高を約2倍に伸ばした。
ただ、普及には課題も残る。カップ麺は「容器分だけ割高」との認識が依然として強く、武田氏は「こうした先入観の払拭が必要。袋麺とは別の価値があることを訴求していきたい」と語る。
■ハラル対応で商品開発
商品開発は現地法人が主導する。主力のカップヌードルのシーフード味は、日本ではポークと魚介のスープを用いるが、インドネシアではハラル対応のため豚由来原料を使用せず、鶏白湯ベースに改良した。魚介の風味も強すぎると敬遠されるため、現地の嗜好(しこう)に合わせた味の調整を重ねた。具材を充実させて栄養価と満足度を高めた。
辛味志向の強いローカル商品との差別化も図る。「国際的でありながら現地に受け入れられる味」を打ち出す戦略を採る。
袋麺事業では、シンガポールなどで実績を持つ「出前一丁」や「日清らーめん」は、ハラル認証を取得してインドネシア市場にも投入し、商品ラインアップを拡充。2000年代初頭は、伝統市場を中心とする低価格帯の「Top Ramen」を主力としてきたが、現在は袋麺・カップ麺ともに、低価格のローカル商品と高価格な輸入品の間に位置づける中価格帯へと軸足を移している。

インドネシア日清が製造販売する袋麺の一部商品(NNA撮影)
今後は、品質を重視する中間層の拡大を見据え、輸入品に匹敵する品質を手頃な価格で提供する戦略を強化する。インドネシアの経済成長に伴い、即席麺市場が価格重視から質重視へと転換すれば、同社にとって追い風となる可能性もある。

オフィスビル階下のコンビニエンスストアの商品棚にはカップ麺がずらりと並ぶ=ジャカルタ(NNA撮影)
<会社概要>
インドネシア日清(NISSIN FOODS INDONESIA):1992年設立(当初の社名はNISSINMAS)。当時はインドネシア企業との合弁会社だったが、2014年に現地資本との提携を解消し、日清食品ホールディングスの完全子会社となった。西ジャワ州のジャバベカ工業団地で工場を操業している。