来月6月15日の年金支給日に、厚生年金+国民年金が「30万円(月額15万円)以上支給される人」は何%いるのか?

年金制度・年金保険料など《年金のよくある誤解》をFPが解説!

厚生年金の支給額、月30万円(2カ月で60万円)以上は全体の1%未満という現実, 厚生年金、受給額別の割合をデータで確認, FPが解説する年金のよくある誤解①「年金制度はいずれ破綻する」は本当か, FPが解説する年金のよくある誤解②「年金保険料は将来もっと上がる」は本当か, FPが解説する年金のよくある誤解③「年金は元が取れない」は本当か, 自身の年金水準を把握し将来設計に活かす

来月6月15日の年金支給日に、厚生年金+国民年金が「30万円(月額15万円)以上支給される人」は何%いるのか?

2026年も4月下旬となり、新年度の慌ただしさも少し落ち着いた頃でしょうか。

まもなく迎える連休を前に、ご自身の将来の生活やお金について、じっくり考える時間を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

現役のファイナンシャルプランナーとして、多くの方から家計や老後資金に関するご相談をいただきますが、特に「年金」への関心は非常に高いです。

公的年金は2カ月に一度支給されますが、来月6月15日に「2カ月で60万円、つまり月30万円以上もらえる人は、一体どのくらいいるのだろう」と疑問に思う方もいるようです。

この記事では、厚生労働省年金局が公表している最新の統計データを基に、厚生年金のリアルな受給額分布を解説します。

あわせて、年金制度に関するよくある誤解についても、分かりやすく紐解いていきます。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

厚生年金の支給額、月30万円(2カ月で60万円)以上は全体の1%未満という現実

現在のシニア世代が実際に受け取っている年金額はどのくらいなのでしょうか。

厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金(老齢基礎年金を含む)の受給額は、男女全体で平均月額15万289円となっています。

それでは、受給額ごとの詳しい分布はどのようになっているのか見ていきましょう。

厚生年金、受給額別の割合をデータで確認

厚生労働省の公表データに基づくと、厚生年金の受給額別の割合は以下の通りです。

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厚生年金の受給額

・10万円未満を受け取っている人の割合:19.0%

・10万円以上を受け取っている人の割合:81.0%

・15万円以上を受け取っている人の割合:49.8%

・20万円以上を受け取っている人の割合:18.8%

・20万円未満を受け取っている人の割合:81.2%

・30万円以上を受け取っている人の割合:0.12%

このデータから、2カ月に一度の支給で60万円(月額換算で30万円)以上を受け取っている人は、全体のわずか0.12%と、極めて少数派であることがわかります。

平均受給額が15万円台であることを考慮すると、月額30万円以上の年金を受け取るのは、ごく一部の人に限られる水準だといえそうです。

FPが解説する年金のよくある誤解①「年金制度はいずれ破綻する」は本当か

日本の公的年金制度には、「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されています。

これは、社会情勢の変化、例えば人口構造や平均寿命の変動に応じて給付水準を自動的に調整するものです。

この仕組みによって、制度の長期的な財政の安定性を確保しています。

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マクロ経済スライドを導入

さらに、賃金の上昇や働く人の増加といった経済の成長も、年金財政の安定に深く関わっています。

そのため、年金制度について考える際は「破綻するのか」という点だけでなく、「どのようにして維持されているのか」という仕組みを理解することが重要です。

FPが解説する年金のよくある誤解②「年金保険料は将来もっと上がる」は本当か

少子高齢化が進行する日本において、「将来、保険料の負担がさらに増えるのではないか」と心配する方も少なくないでしょう。

しかし、実際には女性や高齢者の就業参加が進んだことで、年金制度を支える側の就業者数は、当初の想定を上回って増加しています。

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働く人が増えている

この結果、年金財政の状況は改善に向かい、積立金の残高は予測よりも約70兆円多くなる見通しです。

これは、将来受け取る年金額が大幅に増えるというわけではありませんが、制度を将来にわたって維持していく力、つまり持続可能性を大きく向上させる良い材料といえます。

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積立金残高は約70兆円を上回る

厚生年金の保険料率は、2017年に上限である18.3%で固定されました。

これにより、現役世代の負担が無限に増え続けることのない仕組みが作られています。

また、自営業者などが加入する国民年金の保険料についても、賃金や物価の変動に応じた調整は行われますが、少子高齢化だけを理由に際限なく引き上げられることにはなっていません。

このように、現役世代の負担増を抑制しながら、年金積立金の運用収益などを活用することで、制度全体の基盤が強化されているのです。

FPが解説する年金のよくある誤解③「年金は元が取れない」は本当か

公的年金は、老後の生活資金となる老齢年金だけではありません。

病気やけがで障害が残った場合の障害年金や、一家の働き手を亡くした際に支給される遺族年金といった保障も含まれる、総合的な社会保険制度です。

この制度は、私たちが支払う保険料と国からの負担金によって成り立っており、世代間で支え合うという考え方が基本にあります。

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世代と世代の支えあい

公的年金には所得を再分配する機能も備わっています。

これにより、現役時代の収入の差が、そのまま年金額の大きな格差につながらないように調整されています。

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公的年金の所得再分配機能

したがって、「支払った保険料に対して、将来受け取る年金額は元が取れるのか」という損得だけで判断してしまうと、制度が持つ本来の役割を見誤るかもしれません。

公的年金は単なる貯蓄ではなく、生涯にわたって保障が続く「終身保険」に近い性質を持っています。

長生きするリスクや、予期せぬ病気や事故、万が一のことがあった際のリスクに備える「保険」として捉えることで、その本当の価値を理解しやすくなるでしょう。

自身の年金水準を把握し将来設計に活かす

今回は、厚生年金を2カ月で60万円(月額30万円)以上受け取っている人が、実際にどのくらいの割合で存在するのかを、最新の統計データに基づいて解説しました。

厚生年金の平均月額は約15万円であり、月額30万円以上を受給している人は全体の0.12%と、ごく一部であることがわかりました。

公的年金は、支払った保険料の元が取れるかどうかという視点で見る貯蓄ではなく、社会全体で世代を超えて支え合う仕組みの社会保険です。

こうした実際のデータを知ることは、ご自身の将来の年金受給額を客観的に予測する上で役立ちます。

年金の支給日などをきっかけとして、これからの収入やライフプランについて、改めて考えてみるのも良いかもしれません。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

・厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料①」

・厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料②ー年金額の分布推計ー」

・厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー令和6(2024)年財政検証結果 ー」

・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

・日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」

・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

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