NTTデータ社員「重い荷物を持たされた」複雑な心境。NTTによる“完全子会社化”方針の課題と懸念

左からNTT社長の島田明氏、NTTデータグループ社長の佐々木裕氏。5月8日の公開買い付け公表の緊急会見ではがっちりと手を握り合った。

5月8日に正式発表され、今日5月9日から始まるNTTグループによる、NTTデータグループの公開買い付け(TOB)。

このTOBが成功すれば、NTTデータGはNTTグループの完全子会社になる見通しだ。NTTグループの大統合ともいえる動きは、一般社員には当然ながら知らされていなかった。

NTTデータGのある中堅社員は「今朝(5月8日)起きたら、上場廃止の可能性がニュースになっていた。職場も結構な騒ぎになっていた」と、寝耳に水の状況だったことを明かした。

NTTデータGの現役社員の中には、「停滞しているNTTグループの成長エンジンとして、(私たちが)重い荷物を持たされた感覚は拭えない」と、TOBが成功した後の完全子会社化が、必ずしも良いことばかりと思えない、と懸念する声も聞かれる。

「こんなにも早いとは思わなかった」

REUTERS/Denis Balibouse

匿名を条件に取材に答えたNTTデータGに長年勤めたあるベテラン社員は、「(2018年にNTT社長に就任した)澤田体制になってから、NTTグループとしての統一化が進んでいることは強く感じていた」と、グループが組織の壁を取り去ろうと進んできたことは肌身に感じていたと振り返る。澤田純氏はこれまで、不動産事業やNTTドコモの子会社化などグループ再編を相次いで進めてきた。

このベテラン社員は、近年のグループ内での給与体制の統一化(NTTデータG側から見れば待遇の悪化)などを含むさまざまな環境の変化のなかで、2024年ごろから「もしかしたら、遠い将来のNTT大統合もありうる」とは思っていたものの、「こんなに早いとは思っていなかった」と取材に応えた。

同社員は、NTTデータGのグローバル化が進行していることと比べ、「ドコモがグローバル化に苦戦するなかで、NTTデータGにグローバルビジネスを任せようという判断は妥当」だと見る。

NTTデータGが5月8日に公表した2025年3月期決算は、最終益1424億円(前年比6.4%増)と堅調に推移している。なかでも海外セグメントは、データセンター事業などの好調によりセグメント売上高は2兆7500億円に達し、これは今期の売上高4兆6300億円の57%を占めるほか、日本セグメント(同1兆9300億円)より1兆円近く大きい。

NTTデータグループのセグメント別の業績。すでに売上高では海外が過半となっている。