データセンター冷却需要伸び予想、DeepSeek後も不変-三菱重は増産へ
(ブルームバーグ): 三菱重工業などの大手産業機器メーカーは、人工知能(AI)の利用拡大やデータセンターの増設が進む中でサーバールームの温度を冷却する設備や空調サービスの需要が高まると予測し、増産体制などを整備している。
冷却は、データセンターのエネルギー消費の約40%を占めるとされる。AIの技術進化によるデータセンター関連需要への影響が見通しにくい中、中国の新興AI企業DeepSeek(ディープシーク)が膨大な量のデータを高速で処理する画像処理半導体(GPU)の使用量が少ないAIモデルを開発した後も、各社は消費電力抑制に向けた効率化も含めた冷却需要への対応を急いでいる。
三菱重工の100%子会社で、ターボ冷凍機製造で国内シェア約7割を持つ三菱重工サーマルシステムズでは、データセンターや半導体工場からの需要が増えているため、ターボ冷凍機事業全体の売り上げを2026年度末までに23年度以前と比較して1.5倍に増やすことを計画。昨年9月に神戸製作所(神戸市)で新工場を稼働した。これまで同製作所の複数の工場で行っていた製造プロセスを集約・効率化し、増産体制を整えた。

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GPUは熱を放出し、高温状態が続くと部品の劣化や誤作動のリスクが高まる。現在主流の冷却方法は、オフィスビルやショッピングモール、工場などの冷房にも使用されるターボ冷凍機をデータセンターに設置し、生成した冷水を空調機に送り込んでサーバールームの空気を冷やすというものだ。
三菱重工サーマルシステムズの伊藤喜啓社長は、データセンター向けを中心に「北米の需要が増えている」とし、海外向けは国内と電源設備が異なり、そのための設備投資も必要になる可能性があると話す。
日本でも急成長
フォーチュン・ビジネス・インサイトのリポートによると、データセンター向けを含むターボ冷凍機のグローバル市場は、24年の17億4000万ドル(約2500億円)から、32年までに21億7000万ドルに拡大する見通しだ。24年にはアジア太平洋地域が市場シェアの約45%を占めた。
データセンター冷却需要は日本でも急成長が見込まれている。150カ国以上で空調やセキュリティー関連のソリューションを提供するジョンソンコントロールズインターナショナル(JCI)でも、日本国内のデータセンターからの受注件数が昨年、前年比で20-30%増加した。
昨年6月にグローバルでデータセンター事業に特化したソリューション事業部を設立。12月には日本の首都圏のデータセンター事業者向けに中国や欧州から輸入した同社の冷凍機や空調機の予備部品を保管するサービスセンターを茨城県に開所するなど対応を進めている。同社はグローバル規模のクラウド事業者へのサービス提供を強みとする。
IT調査会社IDCジャパンによれば、日本のデータセンターサービス市場規模は、23年の約2兆7400億円から28年には5兆円を超えると予想されている。
技術進化と不確実性
データセンターの増設に伴って消費電力も拡大が予想される。データセンターや半導体工場の新増設による影響として、全国の最大電力需要の24年度比の増加分は25年度に推計56万キロワットとなり、34年度には715万キロワットまで増えると電力広域的運営推進機関は予測しており、冷却向け電力消費の抑制も課題だ。
JCIは、水を冷やす際にファンで空気を送り込む空冷式で、他のシステムと比較して年間電力使用量を約40%削減できるターボ冷凍機を23年に米国で発表。今年欧州や中東で提供を開始し、アジア市場への導入に向け準備を進めている。
AIは技術進化が急速に進む分野であるため事業見通しには不確実性が伴う。ディープシークが1月に発表した新たなAIモデルは、これまでと比較してGPUの使用量が少ないため発熱量が減り、冷却を含むデータセンター関連サービスの需要や消費エネルギーの抑制につながるのではないかとの見方が広がった。
JCIのグローバルデータセンターソリューション担当プレジデントのトッド・グラボウスキー氏は、ディープシークのようなAIモデルの開発はデータセンター業界への参入障壁を下げるものであり、冷却需要も増加すると予想。需要予測の想定内で、計画の変更などは予定していないと述べた。
デロイトトーマツコンサルティングの執行役員、越智隆之氏は、データセンター関連の需要は基本的に伸びるとみられるが、技術進化によって需要の伸びがどれだけ抑制されるかは不確実性が高く、ディープシークショックのようなケースは今後も起こり得ると指摘。技術進化によりコスト面で選択肢が広がりユーザーやデータ量が増えれば、冷却を含む関連需要が拡大する可能性は十分にあるとの見方を示した。
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