PayPayと三井住友カードが組むと何が変わるか? キャッシュレス決済大手だからできる7つのメリット

写真左からPayPay代表取締役社長執行役員CEOの中山一郎氏、ソフトバンク代表取締役社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏、三井住友フィナンシャルグループ取締役執行役社長グループCEOの中島達氏、三井住友カード代表取締役社長執行役員CEOの大西幸彦氏。
「やはり強い人と組まないと意味がない。強者連合を作りたいつもりが元からあり、基本的にはPayPayさんしか組む相手がいなかった」
ソフトバンクとPayPay、そして三井住友カード(SMCC)の業務提携が5月15日に正式発表された。当日の会見で、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)の中島達社長はこう語った。

強者連合を作りたいと語る中島氏。
ユーザー数6900万人(2025年5月時点)で国内コード決済最大手のPayPayと、カード会員3900万人(2025年3月末時点)・GMV 39兆円で国内カード事業者大手のSMCCが手を組むニュースは発表前日の各社報道から注目を集めていた。
決済の巨人2社が組むことでどんな影響や利便性が発生するのか。これから変わることを7つに分けて解説する。
なお、以下のいずれもサービス提供時期は「今後順次」(PayPay広報)というステータスで、確定したスケジュールはない。
1. PayPayでSMCCのクレカが「利用料なし」で使える

PayPayのクレジットカードの取り扱い。
PayPayとSMCCそれぞれの会員にとって、1番の関心事は「SMCC発行のクレカとPayPayを持っていると何が便利になるか」という点だろう。
まず、PayPayの利用シーンで言えば、PayPayの支払い元として三井住友カード発行のクレジットカードが使いやすくなる。
現時点までも、PayPayは自社傘下のPayPayカードが発行するクレジットカードの他、他社のクレジットカードを紐付け、店頭などでのPayPay決済時に利用することができる。
ただし、PayPayはカード決済時に発生する国際ブランド(VisaやMastercard、JCBなど)の手数料をPayPay自身が負担していることから、他社カードを登録して使うユーザーに「利用料をご負担いただく可能性」があるとアナウンスしている。
PayPayはこの利用料負担の可能性を含む「新たな利用方式」を2025年春に発表すると話していたが、5月15日時点ではまだ非開示となっている。

PayPayが2024年12月に示した「新しい方式」の方向性。
ただ、先んじてSMCCとの提携を発表したため、今後利用料を取るかどうかまだ正式に決まっていないが、少なくともSMCCが発行するクレジットカードは「今後も利用料をとらない形で利用できる」ことが確定した形になる。
なお、対象のクレジットカードはSMCCブランドの「三井住友カード」や、三井住友銀行と提供している「Olive フレキシブルペイ」だけではなく、「ANAカード(Visa/Mastercard)」各種や「Amazon Mastercard」などの提携カードも順次対象になる。

PayPayの中山社長。
注意点としては、あくまで利用料が発生しないだけでPayPayにとっての純正カードである「PayPayカード/PayPayカード ゴールド」と扱いが同じになるわけではないという点だ。
代表的なところで言えば、PayPayカードはPayPayの決済回数や決済額に応じて翌月のポイント還元率が変動する「PayPay STEP」などの各種還元キャンペーンの対象になるが、SMCC発行カードを含む他社カードは今後も対象外になる見込みだ。
15日に登壇したPayPayの中山一郎社長は「(PayPay STEPの対象化は)条件次第では考えられる」と含みを持たせたものの、「具体的な話はない」とPayPayが自社カードを推進していく流れに変わりはないことを示した。
2. PayPayポイントの利用範囲が広がる

PayPayポイントは初めて他社ポイントへの交換に対応する。
PayPayユーザーにとって最もインパクトがあるのは、PayPayポイントとVポイントの相互交換が始まる点だ。
PayPayポイントは他社からPayPayポイントへの交換は受け入れていたが、PayPayポイントから他社ポイントへの交換は対応しておらず、「決済時に使う」か「ポイント投資に回す」ことが主な用途になっていた。
Vポイントは他社ポイントへの交換にも対応し、別途「VポイントPayアプリ」を使えば、全世界のVisaのタッチ決済対応店舗で利用できるため、PayPayポイントの活用の幅は大きく広がることになる。

ソフトバンクの宮川潤一社長。
余談になるが、PayPayの親会社であるソフトバンクと、その傘下の事業体であるYahoo! JapanはVポイントの前身となる「Tポイント」と提携していた。
ただし、ソフトバンクとヤフーは2021年12月にTポイントの提携終了を発表。TポイントからPayPayポイントへの一方通行の交換も対応していたが、2024年3月末で終了していた。
今回の相互交換が実現すると、1年以上ぶりにその関係性が復活することになる。
このことに対し、15日の会見に登壇したソフトバンクの宮川潤一社長は「ステージが変わった」と発言。「(提携終了)当時では考えられなかった(ぐらい)PayPayポイントの成長ができた」結果が事実上の交換再開につながったという見方を示した。
3. PayPayから三井住友銀行への出金が無料に
カードの特典に似ているが、三井住友銀行の個人向け口座を持ち、PayPay内で本人確認が済んでいるユーザーは、PayPay残高(PayPayマネーおよびPayPayマネー給与)の同行口座への出金時に、手数料(通常時100円)がかからなくなる。
現時点でもPayPay銀行の口座への出金は無料で、PayPay銀行ユーザーの「メリット」になっているが、その手数料対象が三井住友銀行に拡大する形だ。
なお、PayPayはデジタル給与払い「PayPay給与受取」を提供しており、該当サービスで受け取った残高は「PayPayマネー(給与)」として、通常の残高とは区別されている。
PayPayマネー(給与)は現時点でも月1回は手数料無料でどの銀行口座でも出金できるが、月2回目以降は手数料がかかる。PayPay銀行や三井住友銀行の口座があれば手数料も回避できる形になる。
4. PayPay残高のチャージ&出金がOliveアプリで可能に

OliveとPayPayの親和性は高まる。
続いて、SMBCグループ全体で現在推進している個人向けデジタル金融サービス「Olive」のユーザー関するメリットをまとめる。
前述のPayPay残高の出金手数料無料にもつながるが、Oliveアプリ(三井住友銀行アプリ)上で今後PayPay残高へのチャージおよび出金、残高確認ができるようになる。
これまでもPayPay残高の確認や決済は「セブン-イレブンアプリ」などでも可能だったが、チャージと出金に関してはPayPayアプリ上で実行する必要があった。
Oliveアプリでは、現在までもSBI証券の資産合計額やVポイントのポイント残高を確認できているが、PayPay決済のような他社のスマホ決済サービスの連携は初となる。