「年収2000万円でも買えない」都心タワマンは“空中戦”に “住めない東京”今後の街づくり、水辺に可能性アリ?

「年収2000万円でも買えない」都心タワマンは“空中戦”に “住めない東京”今後の街づくり、水辺に可能性アリ?
「100年に1度」とも言われる、大規模再開発の真っただ中にある東京。今年3月に話題となったのは、JR東日本の車両基地の跡地を利用した「高輪ゲートウェイシティ」の一部オープン。駅前に建つ2棟のオフィスや商業施設などが入るビルで、秋には約170店舗とホテルも開業予定だ。
一方、中にはそううまく進まない所も。サブカルの街のシンボルと言われた「中野サンプラザ」跡地での再開発。当初、事業者の計画では1810億円の事業費で、7000人を収容できるホールや住宅、オフィスなどが入る超高層ビル1棟を建設するはずだった。しかし、建設資材費や人件費の高騰なども影響し、総事業費が当初見積もりの約2倍の3500億円にまで膨れ上がることが判明。そのため事業者は計画を変更、採算をとるためタワーを2棟建設し、住宅部分の割合を増やすことを中野区へ提案したが、再開発は白紙となった。
また、再開発で際立つのがタワーマンションだ。都内のあちこちで建設が進んでいるが、ネットでは「都内のタワマンなんて住めない」「物価も高いし東京は人が住めない街」といった意見も。
それでも東京を選ぶのか、東京はどんな街づくりを目指すべきなのか。『ABEMA Prime』で議論した。
■「年収2000万円でも買えない」 都心タワマンは“空中戦”に?

不動産コンサルティング業を営むさくら事務所会長の長嶋修氏は「都心のタワマンは今、年収2000万円でも買えない。もっと世帯所得の高い方か、超富裕層の現金買い、あるいは国内外の投資家。一般人からすると、空中戦をやっているようだ。ただ、共働き世帯の比率が圧倒的に高まり、“利便性の良い所がいいよね”“より都心、会社、駅に近く”という思考になっていく」と指摘。
アメリカ・ニューヨーク市在住の都市建築家でLaguarda.Low代表の重松健氏は、街づくりの観点から「日本のタワマンは、分譲だと足元に商業がほとんど入れられない。一方、ニューヨークは賃貸住宅が多くあって、足元の賑わいは連続して存在している。密度を持って住宅を都心に作ると、汚れていたらどうにかするし、地区ごとのカルチャーができてくる。マンハッタンも高層ビル街のようで、床の60%は住宅だ。しかし、日本の都心3区に住んでいる人はほとんどいない」との見方を示す。
また、再開発について、「マーケットとしては儲かるオフィスタワーのほうにいくが、人口減少や働き方が変わる中で、今後こんなにいるのか?という時点にはきているだろう。その代わり、住宅は圧倒的に足りていないと思う。湾岸など隔離された所ではなく、都心のど真ん中に人が住んでいけば、新しく面白い街ができてくると思う」と語った。
■NYで流行の手法とは 日本の自治体は“都市経営”感覚がない?
重松氏が考える変革の1つが、「モダレートインカムハウジング」。これは、賃貸のみのマンション1棟に所得制限をかけて入居者を募集するもので、年収600万円の人は20%(人種などの多様性も考慮)、年収1500万円以下の人は60%、年収2500万円以下の人は20%、などとするものだ。

「モダレートは中流という意味で、ニューヨークで流行っている手法の1つ。アメリカで低所得者というと、周囲の治安は良くなかったが、これをやるといろんな人が自然と出会うコミュニティが生まれたり、低所得者vs高所得者という騒動がなくなって、街が健全になる。家賃も収入に合わせて異なり、そうするとマーケット全体よりは儲からなくなるが、その代わりに固定資産税が20年免除されたりして、デベロッパーもやる価値が出てくる」
日本で同じことができるのか。長嶋氏は「都市計画と都市経営をどうするか、“固定資産税収入を上げるためには街の価値を上げないといけない。ということは、住んでいるみんなに喜んでもらわなくてはいけない”というような経営感覚が、日本の自治体にはない。一方で、デベロッパーや事業者は各場所で自分たちが最大限に儲かることをしようとする」と厳しい見方を示す。
これに重松氏は、「行政がリーダーシップを持ってそういう政策をやればいい。デベロッパーがタワマンを作って分譲で儲けるのは、普通のビジネスなので仕方がない。それでも住めるようにするために、民間が取れないリスクはやはり行政が取らないといけない。“固定資産税を優遇するから住めるように作ってよ”と言って、ビジネスとして全体が成り立つのであれば、民間活用ができてくると思う」とした。
さらに、不動産ビジネスは「“床の呪縛”に縛られている」と指摘している。「床をいっぱい作るか、貸すかしかビジネスモデルがないのが問題。地域貢献として公園・公共空間を作ると言った時、“貢献してくれたら容積率をアップする”ということで、もっと床を作れるようなボーナスがもらえる。結局、きれいな公園を作っても、その周りはタワーの壁。床ではないビジネスモデルを考えて、そのお金をどう捻出するか。床の呪縛から早く逃れないと、そろそろマズイと思う」。
■東京を舟で繋ぐ?「東京B-LINE」構想とは

重松氏がもう1つ提唱しているのが、「東京B-LINE」構想。公共交通システムとして舟運を導入するもので、隅田川や東京湾の水辺周りアクセス強化などによる「公共交通の増強」、電気が止まっても舟は動く「災害への耐久性」、東京の臨海部や川沿いには多くの眠った経済があり「未活用地の活性化」を、メリットとしてあげている。
「15年ぐらい言い続けてるのだが、電車やバスの次に、『船』という第3の公共交通を作るべきだ。陸で行きにくい場所だから誰も行かないし、開発機運も高まらない。そこで、地下鉄の路線図みたいに水路を繋ぎ、1回300円ぐらいで電車と同じ間隔で乗れるようになれば、例えば東陽町や木場、浜町といった微妙に何も起きないところにアクセスしやすくなる。住宅デベロッパーと話すと、『もう建てる所ないんですよ。晴海とかも全部終わっちゃったし』と。でも、まだまだ開発余地はある」
これに長嶋氏も「すごくいいと思う。私の業界の仲間も『水辺をもっとかっこよく開発しよう』と言っている。都心の湾岸も多くの人が住むようになっているが、意外と開発はもったいない印象が昔からある。それを交通で繋げるとか、そもそもデザインをもう少し良くする工夫は、いくらでも東京都にはやる余地があると思う」と述べた。
そんな中、前参院議員でキャピトルシンク取締役CSOの音喜多駿氏は、それを阻む“ハードル”に言及。「都議会議員をやっていた時、舟運という政策をやるべきだと言っていた。ただ、よくわからない船などが既得権で置かれていることが10年前もあったし、利便性がある所を開放して船着き場にしたらどうかと提案しても、『防災用なので使えない。非常用に開けておかなければいけない』と言われる。実証実験をやっても、最初は当然採算が取れないから、『全然ダメでした』で終わってしまうわけだ。はじめは赤字覚悟で、開発がついてくるまで我慢しないとできない。それをやり切れる政治家が長期政権を取らないと、舟運は開発できないのでは」と投げかけた。(『ABEMA Prime』より)
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