「食料品消費税ゼロ」実現したら効果ある?先進国の中でもダントツに高い日本のエンゲル係数「食うのに困った時代に戻っている」減税方法に賛否

「食料品消費税ゼロ」実現したら効果ある?先進国の中でもダントツに高い日本のエンゲル係数「食うのに困った時代に戻っている」減税方法に賛否
消費税をめぐり、与野党間の攻防が激しい。立憲民主党からは「消費税減税を検討しないのか」、共産党からは「自民党内から減税の声が上がっている。潮目の変化だ」との質問が出るも、石破茂総理は「消費税の減税だけの話をする。無責任な議論だ」と一蹴した。
消費税の減税や廃止を求める野党各党に対して、自民党内には財源を縦に慎重な意見が根強い。立憲は財政規律を維持しながらの財源確保、共産党は大規模への優遇是正などの税制改革、国民民主党は赤字国債を財源として提案する。
食料品といえば、生活に直結する存在だ。ここにかかる消費税を減税すると、どのような効果があるのだろうか。『ABEMA Prime』では、立憲と自民の国会議員、そして専門家と、その効果と手法を考えた。
■食料品の消費税ゼロは現実的?エンゲル係数は先進国でダントツ

立憲は「1年間食料品の消費税ゼロ(経済情勢に応じ1回限り延長可能)」との政策を打ち出している。立憲衆院議員で「食料品消費税ゼロ実現の会」幹事長のいさか信彦氏は、「限られた財源で実行可能な政策で、財源も示すスタンスだ。与党内でも消費税の減税、とくに食料品はやるべきとの声が高まっていて、実現可能性はあると思っている」と意気込む。
財源は、どのように工面するのか。「食料品に限り消費税0%にすれば、必要な財源は年間5兆円弱、2年でも10兆円弱。期間限定なので、ワンショットで財源を用意すれば可能だ。緊急経済対策としては普通にありうる規模で、政府は都度、ちゃんと財源を用意できている。まったく不可能な数字ではない」。
自民側の意見はどうか。環境副大臣の小林史明衆院議員は、「消費税減税を選択肢に入れることは反対ではない。問題は、今の経済状況に打つ手として、正しいかどうかだ。給付や定額減税をワンショットでやった結果、かなり貯蓄に回ってしまった。『将来も減税される』『将来も増収する』といった印象がないと、消費には回らない。むしろ海外のように、食料品は恒久的に0%もしくは減税する政策ならありだ」と考えている。
食料品に焦点を当てる背景には、「エンゲル係数」の高さがある。G7各国の総支出に占める食費の割合(酒・外食を除く)を見ると、日本は15.8%で、イタリア14.7%、フランス12.6%、ドイツ11.6%、カナダ9.7%、イギリス8.7%、アメリカ6.8%と比べたときに、最も高くなる。(米国農務省経済調査局からOur World in Dataまとめ、2023)
いさか氏は「日本のエンゲル係数は、酒や外食も含めると28.3%と、40年以上前の食うのに困った時代の水準に戻っている。先進国の中でダントツに高く、食費を払うだけでいっぱいいっぱいだ。とにかく物価が高い間は、食費を下げたい」と説明する。
あくまで“緊急経済対策”だとする提案に、小林氏は「すでに低所得者向けの給付をやっていて、今苦しい人たちには手当てがされている。中所得者向けにも所得税の減税が始まり、年末調整で適用される」と返す。「食料品の物価上昇の多くはコメで、それ以外の上昇は1%台に落ちている。コメだけに適用するか、電気代やガス代にも関わるエネルギー代に手当てした方がいい」。
元大蔵官僚で法政大学教授の小黒一正氏は、財政健全化の必要性から、財源論のない消費減税には批判的だ。小林氏の見解に「直近では1%台だが、2020年比で年平均を見ると、食料品は約25%、光熱費は約14%上がっている」と補足した上で、「消費税を減税したからといって、本当にその分だけ食料品の価格が下がるのか」と問う。
光熱費の上昇によって、「食料品の生産コストも上がっている。消費税が8%下がっても、実際の売値は下がるのか。消費税は『消費者が負担している』と思いがちだが、法人税のような性質を持っている。過去に法人税を下げたときに、値段はあまり下がらなかった」との懸念を示す。
いさか氏は、これに「ヨーロッパでコロナ禍の期間限定で消費減税を行ったときは、下げた期間は、ちゃんと物価が下がった。『食料品の消費税がゼロになった』と言ったとき、下げる店と、下げない店のどちらで買い物するか。そんなに商売は甘くない」と反論する。
そして消費額の総額で見ると、「年間200万円使っている人と、1200万円使っている人は、所得税や普通の消費税なら6倍の差がある」としつつ、「でも食品はせいぜい倍程度しか違わない」と指摘する。「食品に限れば、食べるのに苦しんでいる人が、一番減税される。給付や所得減税では貯金に回り、経済効果がないのが当たり前だが、消費減税ではお金を使わない限り恩恵を受けられない」。
■減税分をポイントで払う?コメとエネルギーに絞る?手法に意見様々

小黒氏は「1〜2年で急にまた税率8%へ戻ると、ショックが大きい」といった観点から、「PayPayなどのポイント還元で、実質的に0%にする形であれば、撤退もしやすく法改正も不要だ」と提案する。
いさか氏によると、「日本の消費税は、すでにヨーロッパより高いくらいだ」という。「ヨーロッパが20%と言われるのは、ぜいたく品の消費税率だ。食品だけでなく、おむつや医療機器、スポーツ、旅行まで軽減税率になっている」という。「必要なものの税率は下げるべきだ。今は経済対策として期間を定めているが、最終的には生活が苦しい人の必需品の税率を下げたい」。
小林氏自身は「軽減税率で食品だけ下げるのはあり」だと考えていた。しかし、「参院選で掲げる公約は、来年の春頃に実現する。直近の経済情勢を見ると、物価上昇の大半はコメとエネルギーだ。これから給付が国民まで回った後、必要になるのはもっとピンポイントなものだろう」と考えたそうだ。「先を見ると、小黒氏が言うように、キャッシュバックで実質的に下げる形が考えられる」。
(『ABEMA Prime』より)
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