パナの大規模リストラはこう進む。戦力外か引き止めか…想定される「選別」プロセス

パナソニックの国内外2万人の人員削減など、大手企業による大規模な人員削減の発表が相次いでいる。
大手企業の人員削減の発表が相次いでいる。日産自動車が昨年発表時より1万1000人プラスした国内外2万人の削減を発表し、マツダも4月22日に500人の削減を発表している。電機関連ではジャパンディスプレイ(JDI)が1500人の削減を発表したが、衝撃を与えたのか黒字企業のパナソニックホールディングスの国内外1万人の削減だ。
東京商工リサーチの集計によると、今年1月から5月15日までに募集が判明している上場企業の国内の早期・希望退職者数は19社で8711人に上る。今後、リストラが加速すれは、2009年の2万2950人以来の高水準となる可能性がある。

上場企業の早期・希望退職の推移。2025年は5月時点での集計。
パナ、削減により700億円の収益改善見込む
これまで大規模な人員削減は、1990年代後半の平成不況に続き、2000年代のITバブル不況、そしてリーマンショックと断続的に繰り返されてきた。
パナソニックも2000年代に1万人規模の削減を2回実施しているが、それ以来の規模となる。ただし今回は以前の赤字の時期と違い、3000億円超の純利益(25年3月期)がある黒字下での削減だ。
同社の発表(5月9日)によると、経営構造改革の一環としての「人員の適正化」であるとし、人員削減により700億円の収益改善を見込んでいる。削減人員は1万人で、うち国内は5000人で、今年度に実施する。対象となるのは「本社本部」「家電事業」などであり、「グループ各社で営業部門・間接部門を中心に業務効率の徹底的な見直しを行うとともに、必要な組織・人員数を再設計します」と述べている。
つまり、人事・総務・財務・広報などの管理部門のほか、営業などの部門から5000人を削減するということだが、実際にどのような手段で削減を進めるのだろうか。
ある企業の「退職勧奨マニュアル」には……

パナソニックのプレスリリース。
日本で行われる人員削減の手法は早期退職者募集が一般的だ。1990年代後半以降、大量の人員削減を行う手法として大企業で使われてきた。早期退職募集制度とは、通常の退職金に加えて割増退職金を支給や再就職支援のオプションをつけて全社的にオープンに募集する方法だ。ただし、それだけでは優秀な社員の流出というリスクを伴う。かつ削減目標の確実な達成という点でも不安定さを拭えない。
そこで表面上は希望者を募る一方、背後で人事担当者に代わり、所属長が対象社員全員と面談し、辞めてほしい社員への「戦力外通告」と、残ってほしい社員の「慰留」を同時に実施する。
人員削減を実施したある大企業の「退職勧奨マニュアル」を持っているが、具体的には対象社員を以下の3つに分ける。
- 残留者(A)厳しさを認識させ、今後の活躍を期待する
- 本人選択(B)厳しさを認識させ、本人の選択に委ねる
- 退職候補者(C)社外での活躍を促す
これはABCランクと呼ばれ、対象者全員の面談前に、残ってほしい人(残留者)と退職してほしい人、さらに留まるか、退職するかを本人に選択させる人を選別する。もちろん最大のターゲットはCランクの社員だ。