安いときに買わなければ儲かりません…相場格言「麦わら帽子は冬に買え」が教える〈長期・逆張り〉の強み【経済評論家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

短期投資の王道が強い銘柄を徹底的に攻める「順張り」であるのに対し、長期投資のポイントは「逆張り」にあると話すのは、経済評論家の杉村富生氏です。本記事では杉村氏の書籍『保存版 株式投資 勝ち方の本質』(すばる舎)から一部抜粋・編集し、長期投資における逆張りの強みについて解説します。

「麦わら帽子は冬に買え」が教えるシーズンストックの季節性

短期投資の王道が強い(上昇トレンド)銘柄を徹底的に攻める、すなわち順張りであるのに対し、長期投資の要諦(ポイント)は逆張りにあります。これは、筆者の長年の持論です。ただし、買い下がりは「よくなる銘柄」にマトを絞らねばなりません。

長期・逆張りの魅力、その手法を見事に言い表した相場格言に、「麦わら帽子は冬に買え」というものがあります。これは、投資経験がある程度長い方なら、誰でも知っているのではないでしょうか。

改めていうまでもありませんが、普通、暑いときに使う麦わら帽子を寒い冬に買う人はいません。しかし、そのような買い手不在のときだからこそ、安く買えるのです。これが逆張りの真骨頂、王道です。

これは、3月決算企業の配当取りにもいえます。配当の権利取りが直前となる3月に入ると、株価はすでに高くなっています。よって、前年の11~12月に仕込むのがポイントです。

[図表1]ダイキン工業(6367)の株価推移と同期間の日経平均株価の騰落率

季節性が顕著なシーズンストックとしてよく例に出されるのは、エアコン株でしょう。業界の世界的な企業はダイキン工業(6367)ですが、上の表は過去6年(2019~2024年)における真冬(シーズンオフの1月末)と真夏(シーズンインの7月末)の終値を比較したものです。

もちろん、1月末の株価水準、および7月末の気温(猛暑か否か)などによって状況は変わりますが、これを見ると、2019年が1万1,765円→1万3,585円(上昇率15.5%)、2020年が1万5,635円→1万8,450円(同18.0%)、2021年が2万2,105円→2万2,665円(同2.5%)、2023年が2万2,470円→2万8,690円(同27.7%)と値上がりしています。

一方、2022年は2万3,825円→2万3,250円(下落率2.4%)、2024年は2万3,885円→2万1,905円(同8.3%)と値下がりしています。結果的に、過去6年のうち値上がりした年が4回、値下がりした年が2回ありました。

また、日経平均株価との比較でも過去6年のうち4回、騰落率で上回っています。特に、コロナ禍初年の2020年は、日経平均株価が6.4%下落したのに対し、同社株は18.0%と大きく上昇しました。

冬にエアコン株を買って夏に売ればかならず儲かる、というわけではありませんが、先人が残したこの格言は、「安いときに買わなければ儲かりませんよ」と諭しているのです。

[図表2]ダイキン工業(6367)の月足 (2017年1月~2020年12月)

人と同じことをしていては大きく儲けることはできない

投資家は人気、ムードに左右されやすいため、高値圏で買い、安値圏で投げ売りをしてしまうことがよくあります。

人気銘柄については過熱気味のときほど冷静になり、逆に人気薄の銘柄についてはその将来性、長期的な妙味を見つける姿勢を持たねばなりません。

多くの人が行かないような裏道にこそ、意外にいい花見の場所があるものです。前述の「麦わら帽子は冬に買え」と同じように、「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言も、相場の世界では人と同じことをしていては決して大きく儲けることはできませんよ、と教えているのです。

人気がつきづらく、長く安値圏に捨て置かれているような好業績、高配当利回り銘柄などは、まさに〝花の山〟だといえるでしょう。

[図表3]イノテック(9880)の月足

上記のチャートは、半導体設計などを主力とするイノテック(9880)の月足です。2022年の年初に1,535円だった株価は、同年10月に1,188円まで値下がりしました(下落率22.6%)。ただ、同社は業績堅調、財務内容も良好であり、長期逆張りにはうってつけの銘柄でした。半導体設計は時流に乗っています。

予想どおり、株価は2024年3月には2,129円まで上伸しました。この間の上昇率は79.2%に達します。安値圏で買えた人はホクホク顔になったことでしょう。その後、同社株は再度下げ基調の展開となっています。

しかし、ファンダメンタルズ・アプローチでは、1,361円の時価は配当利回り5.1%(年間配当70円)であり、PERは13倍台(1株予想利益は100円)という好内容です。安値圏に沈んでいるときであれば、長期・逆張り投資にもってこいの銘柄でしょう。

[図表4]ファナック(6954)の月足

アメリカではトランプ第2次政権がスタートし、同国の製造業はロボットの導入ブームが起きています。人出不足、人件費の高騰に対応したものです。安川電機(6506)ファナック(6954)はこのメリットを享受できます。

杉村 富生

経済評論家

個人投資家応援団長

※本記事は『保存版 株式投資 勝ち方の本質』(すばる舎)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。