1000円だったランチ、2029年には…サラリーマンの平均月給「32万円」、このまま賃金が上がらなかったら?不健全すぎる日本の未来

1000円だったランチ、2029年には…サラリーマンの平均月給「32万円」、このまま賃金が上がらなかったら?不健全すぎる日本の未来
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、日本のサラリーマン(給与所得者)の賞与を除いた月給の平均は、約32.3万円です。賃金が伸び悩む日本において、労働所得に偏った現状は、資産形成において不利な状況を生み出している可能性があります。本記事では、シデナム慶子氏の著書『投資に必要なことはすべて海外投資家に学んだ』(サンマーク出版)より、日本人が運用によって資産を増やすことの重要性を掘り下げていきます。
アメリカの不労所得は日本の約3倍
興味深いデータがあるので、ご紹介しておきましょう。それは日米可処分所得の内訳です。可処分所得といって、収入から税金や社会保障費を抜いた、正味で消費に回せる所得が、なにによってもたらされているのかを、日米で比較してみました(図表1)。

[図表1]日米可処分所得の内訳(2023年末時点) 出所:内閣府、BEA 作成:LUCAジャパン
基本的に収入は、働いて得られる労働所得と、事業活動による営業収入、そして株式投資などから得られる資本所得の3点に分けられます。その割合を見ると、日本の場合、所得に占める84%が労働所得で占められており、資本所得は8%に過ぎません。
これに対して米国の場合、労働所得は68%と日本に比べて低いものの、資本所得は23%を占めています。この違いが家計資産の伸びに大きな差をもたらしている要因の1つとも考えられます。
私たち日本人は、どうしても「働いて資産を増やす」という考え方になりがちです。それは決して悪いことではありませんが、世界を見れば「労働で得る収入」と「運用で得る収入」の両方を組み合わせながら、資産を増やしている人たちもいるのです。
日本の賃金は過去20年間ほぼ上昇していない
さらに追い打ちをかけるような悲観的な数値ですが、現実を直視するためにこちらも紹介しましょう。
先進主要国の2000年から2020年の20年間の実質賃金を比較します(図表2・上図)。実質賃金は、物価上昇率を差し引いた賃金です。すると、日本は20年経った今も20年前と物価上昇率を差し引いた賃金に変化がありません。これは、稀なことです。
しかも、この20年間の大半の年が、実質賃金が100を割り込んでいるという事態であり、日本の賃金がデフレ環境下で下がることはあっても上がることがなかったのかを物語っています。

[図表2]賃金収入の伸びが追い付かない 上図:実質賃金の国際比較(出所:IMF「名目賃金の国際比較」 作成:LUCAジャパン)
下図:名目・実質賃金の伸び率(出所:厚生労働省「毎月勤労統計」
直近では、名目賃金と言われる、支払われている賃金は上昇傾向にあります(図表2・下図)。
しかしながら、皆さんも身近に感じているように、2021年以降は、物価上昇を示すインフレ率は急速に上昇しており、残念ながら実質賃金はそこまで伸びていません。一方、図表2・上図のグラフが示すように、国際通貨基金(IMF)の分析によると2020〜2029年の日本の物価上昇率は18%と予想されています。つまり、賃金の伸びが物価上昇に追いついていない状況が続いているのです。

[図表3]日本の物価は近年上昇ー賃金収入の伸びは追いついていない 出所:IMFより年次インフレ率 2024-2029年は推定値
これがどういうことか説明しましょう。
わかりやすくするためにすべての品物が同じ価格上昇を遂げたとします。たとえば2020年に1000円だったランチは2029年には1180円でなければ食べられなくなります。給与30万円が35.4万円になっていなくては同じ生活はできないということになるのです。

[図表4]インフレで同じ価格のランチが食べられなくなる
賃金がなかなか増えない日本で、労働所得だけで資産を持つということは、物価上昇で資産が目減りする状況に甘んじているということになるのです。
私たち日本人こそ、そろそろ資産運用に健全に向き合うべきではないでしょうか?
シデナム 慶子
LUCAジャパン株式会社 代表取締役CEO・共同創業者