新車を“中古”に偽装して数を稼ぐ地獄の売上水増し…あのBYDまでもが値崩れで巻き込まれた
販売目標達成のための押し売り、補助金や輸出特典を狙う動きも
中国の自動車市場を扱うメディア「Car News China」は最近、中国の自動車業界で「走行0キロ中古車」が論争を呼んでいると報じた。これらの車は登録済みではあるが実際には走行しておらず、大量に中古車市場に流れ込んでいる。

引用:Shutterstock
「走行0キロ中古車」は、新車として一旦登録された後、主にディーラーや第三者プラットフォーム経由で再販される。走行距離はほぼゼロにもかかわらず、中古車として扱われ、割安価格で市場に出回る。背景にはいくつかの事情がある。メーカーは販売実績を水増しし、ディーラーは在庫処理を進め、場合によっては補助金や輸出特典を得ようとする動きもある。
この現象は、中国自動車産業が抱える構造的な問題と無関係ではない。2025年4月時点で、中国国内の乗用車在庫は350万台に達しており、一部メーカーは生産能力の半分も稼働できていない状況だ。こうした中で、メーカーは在庫圧縮を目的に積極的な販売戦略を展開している。また、激しい価格競争や、新エネルギー車(NEV)補助金への過度な依存も、こうした慣行を助長する要因となっている。

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市場アナリストは、この問題が単なる消費者への影響にとどまらないと指摘する。水増しされた販売実績は、投資家に誤ったシグナルを送り、市場全体の需要をゆがめることで、公正な競争環境を損なう恐れがある。たとえば、BYDの「秦L」モデルでは、中古車価格が新車より30〜40%も安く設定されており、これが競合車全体の値崩れを誘発している。結果として市場全体の価格期待が不安定化し、さらなる混乱を招く可能性もある。
中国商務部は事態を重く見て、2024年5月27日、BYDや東風汽車、中古車プラットフォーム「瓜子(グアズ)」などを招いた高官会議を開催した。ここでは、中古車取引の監督強化や虚偽報告の取り締まりが協議され、米国証券取引委員会(SEC)が導入している「チャンネル・スタッフィング」規制を参考に、新たな枠組みの導入も検討された。チャンネル・スタッフィングとは、本来の販売ではなく、流通段階で過剰在庫を押し込み、売上として見せかける会計上の手法を指す。

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業界の専門家は、短期的な数値に固執するのではなく、構造的な改革が必要だと訴えている。生産計画の見直し、車両履歴や保証情報の透明化、中古車輸出の制度整備などが具体策として挙げられる。特に、ロシアなど海外市場への輸出は、国内在庫の圧縮に有効とされている。
一部では「走行0キロ中古車」の増加を、供給過剰に対する自然な市場反応と見る声もある。しかし、長城汽車の魏建軍会長をはじめとする業界関係者の多くは、この手法を「危険な近道」と見ている。彼らは、革新、品質、消費者信頼という基本原則に立ち返る必要性を強調している。抜本的な改革がなければ、この慣行はブランド価値を損ない、価格下落と信頼喪失の悪循環を招くと警鐘を鳴らしている。
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