京都背脂醤油ラーメンの「魁力屋」が初の企業買収 台湾進出も視野に

2025年5月15日にオープンした京都北白川ラーメン魁力屋「八王子万町店」(東京都八王子市)が提供する京都背脂醤油ラーメン(同社ニュースリリースより)
京都北白川ラーメン魁力屋を運営する魁力屋<5891>が、初の企業買収に踏み切った。
同社は「肉そばけいすけ」や「札幌みその一期一会」などのラーメン店を展開するグランキュイジーヌ(東京都中央区)を子会社化する。
「複数ブランドを束ねた持続的成長モデルの構築」を重要な成長戦略の一つと位置付けており、今回のM&Aはこの第一弾となる。
加速度的な店舗展開を目指す
グランキュイジーヌは「肉そばけいすけ」「札幌みその一期一会」のほかに「博多一星」「天丼専門 銀座いつき」「KEISUKE」などのブランドで19店舗を運営しており、2025年3月期の売上高は16億2300万円、営業利益7067万円だった。
醤油と鶏ガラスープをベースに、豚の背脂を落とした「京都背脂醤油ラーメン」を主力商品とする魁力屋とは、異なる品ぞろえのため事業シナジーが得られると判断した。
株式の取得日は未定だが、2025年12月期第3四半期(2025年1月~9月)からグランキュイジーヌを連結対象とする予定のため、2025年9月までに株式の取得が完了する見込み。
魁力屋は「京都北白川ラーメン魁力屋」のほかに、から揚げの「からたま屋」、タンメン(野菜の多い塩味スープラーメン)の「タンメンと餃子KIBARU」、から揚げと惣菜の「とりサブロー」の三つのブランドを展開しており、グランキュイジーヌの子会社化でブランド数は一気に2倍以上になる。
ラーメン業界では、人気ラーメン店には安定した需要があるほか、海外でもラーメンの人気が高いことなどから、同業者をはじめ他業界企業によるラーメン企業の買収が増加傾向にある。
魁力屋ではラーメン市場は他の外食産業と比べ寡占化が進んでおらず、シェア拡大の余地が大きいとの認識を持っており、この認識を踏まえ「加速度的な店舗展開、収益構造の変革」を中長期的な経営戦略としている。
今回のM&Aについては「優良な独立ブランドを当社グループに加える第一弾として実行するもの」としており、さらにブランドを増やすための第2弾、第3弾のM&Aの可能性は高い。
5期連続の増収経常増益に
魁力屋は2003年に、京都市内で飲食店の経営を目的にマルフジフーズを設立しスタートした。2005年に「ラーメン魁力屋」の1号店(現在は閉店)を大津市にオープン、2009年に社名を現在の魁力屋に変更した。
2019年に「からたま屋」と、「タンメンと餃子KIBARU」を開業し業容を拡大、2022年には「とりサブロー」6店舗を譲受した。
主力商品の「京都背脂醤油ラーメン」は、背脂を使用しているものの、濃厚すぎず、あっさりとした味が特徴で、郊外ロードサイドへの出店をメインとし、一人からファミリーまで幅広い層に利用できるようにしてある。
2024年12月期は、人流の活発化やインバウンド(訪日観光客)需要の拡大などのほか、値上げを実施したことや、店舗数が増加(18店舗出店、2店閉店)し、161店舗(ラーメン魁力屋151店舗、からたま屋などの他ブランド10店舗)となったことなどから、売上高は122億7200万円(前年度比16.0%増)経常利益8億8000万円(同29.0%増)と2ケタを超える増収経常増益となった。
2025年12月期は売上高140億円(同14.1%増)、経常利益10億円(同13.6%増)と、5期連続の増収経常増益を見込む。

下段は決算期、右端の25/12は2025年12月期、25/12は予想
海外展開や製造機能の保有でM&Aの出番も
魁力屋は、2024年に台湾に子会社の「台湾魁力屋国際股份有限公司」を設立し、海外初出店に向け準備を始めており、2025年は「台湾での海外1号店の出店を足がかりに海外出店を加速する」としている。
2024年9月に東京本部を設置した理由の一つに、海外パートナー企業の開発を挙げており、海外出店の加速に伴って、海外企業買収の可能性もありそうだ。
また2025年は「麺やスープ、チャーシューなどの主力商材についての自社開発や製造機能の保有」にも取り組むとしている。
これら商材の製造については、自社で設備を整えるのと並行して、一気に製造能力を保有できる食品工場の買収も選択肢として考えられる。
新しいブランドの獲得と並んで、海外展開や製造機能の保有でも、M&Aの出番があるかもしれない。

文:M&A Online記者 松本亮一
【M&A Onlinen10周年イベントのご案内】
7月15日開催トークライブ「成功するM&Aとは? その秘訣をGENDAとSHIFTに聞く!」視聴無料、参加希望の型はこちらをクリック
松本亮一

日刊工業新聞社入社後、大阪支社編集局で証券、機械、科学技術、流通、神戸支局、京都支局などの記者を経て、大阪支社編集局産業部長、本社編集局中小企業部長、神戸支局長、執行役員西部支社長、執行役員本社業務局長、日刊工業関西広告社社長を歴任。2017年ストライクに入社、M&A Online 編集委員に。2023年からM&A Online 記者。大分大学経済学部卒。