「これでぼったくれる」と水増し請求の無限ループ コンサル元社長が付け込んだ委託事業…実績まで偽造
「これでぼったくれる」「この仕事はナンボ(いくら)になるかな」
警視庁に逮捕される前、男は虚偽の報告書や見積書を作成しながら、周囲にそう語っていたという。
その男は、京都市に本社を置くコンサルティング会社「ランゲート」の元社長の大中忠生容疑者(63)。11日、警視庁捜査2課に詐欺の疑いで逮捕された。国の事業を悪用して食い物にしたとされるが、どんな人物だったのか。(昆野夏子)
◆元社員「好き放題で、金を思いのままに懐に」
「自分の周囲をイエスマンで固めて、気に入らない人は飛ばす。まるで北朝鮮のような体制だった」

警視庁目黒署に入る大中忠生容疑者(左)=11日、東京都目黒区で(平野皓士朗撮影)
かつてランゲートに勤めていた50代男性はそう振り返った。
元社員の女性も言う。「気に入らない社員の残業費を削ったり、好きな社員のボーナスを上げたり。好き放題で、金を思いのままに懐に入れていた」
関係者によると、大中容疑者は1996年に会社を設立し、創業者として社長に就いた。インターネット回線事業などを手がけていたが、業績はずっと「ぎりぎり赤字にならない程度」だったという。
◆「名義貸し」した社員には特別ボーナスを…
潮目が変わったのは、2016年ごろだ。厚生労働省の事業を受託し始めると、一般競争入札で次々と厚労省の事業を手がけるようになった。
その中には事業費が10億円を超える大がかりなものもあった。ほとんどがキャリア形成セミナーの実施などに関するものだった。

ちょうどこの頃から、今回の事件で使ったとされるペーパーカンパニーを作り始めたという。「Zeta」「野村」などと名付けて7~8社に上る。
大中容疑者自らが「名義を貸してほしい」と社員に打診。名前や住所を貸してくれた社員には、その見返りに給料を上げ、特別ボーナスを支給していた。ペーパーカンパニーの通帳や印鑑は、ランゲートが管理していた。

ランゲート東京事務所が入っていたビルの案内板。現在、フロアは空室になっている
このペーパーカンパニーを間に挟むことで、水増しした請求書を作らせていたとされる。そして事業の実績も水増しして厚労省に報告し、「水増し分」を厚労省に返還することを免れていたとみられる。
元社員によると、水増しした実績を報告する際、大中容疑者はこんなふうに周囲に語っていたという。
「(キャリア形成セミナーの利用者に実施する)アンケートは偽造したらいい」「サインは筆跡鑑定されるわけでもないから、他人がサインしてもいい」
【関連記事】"【独自】厚生労働省事業で4000万円詐取か 警視庁がコンサル元社長ら逮捕 ペーパーカンパニー使い水増し
【関連記事】"大阪の医療法人グループ関連のペーパーカンパニーへ2億円超流出か 日大医学部の背任事件で 東京地検特捜部
【関連記事】"大川原化工機側「7年の心の雲、やっと晴れた」 冤罪事件で警視庁と東京地検が上告断念、直接謝罪へ