iPhoneの「電池もち」や「壊れにくさ」の秘密。アップル独自の「堅牢性ラボ」に潜入

アップルのDurability Labの「振動テスト」の様子。
どんな製品も壊れる。だが、できる限り壊れないよう、どのメーカーも工夫を凝らしている。
当然アップルも同様だ。iPhoneは年間2億台以上売れるため、それだけさまざまなシーンで、さまざまな「困難」に直面する。
そのことに、アップルはどう対処しているのだろうか?
アップル製品の堅牢性を検証するために作られた「Durability Lab(堅牢性ラボ)」の内部を取材することができた。日々繰り返される試験からは、多くの知見が得られているという。
そして現在は、壊れにくさだけでなく「修理のしやすさ」への配慮も進んでいた。
秘密のラボで過酷なテスト
Durability Labは、アップル本社近郊にある。場所も建物の外観も未公開だ。
今回取材したのは実際に日々検証が行われている施設であり、撮影を許されたのも一部の場所に限られる。また実際には、この場所以外にも世界各地に、同様の施設が用意されているという。
多数のテスト設備があるが、今回取材できたのは「耐候性」「耐水性」「落下・耐衝撃性」「振動」「バッテリー」のテストだ。
室内に入ると、大量の試験機材が目につく。温度・湿度を一定に保つ恒温ボックスなどが並ぶ。相当幅広いパターンのテストをしているであろうことは一目瞭然だ。
恒温ボックスの中にはiPhoneなどのアップル製品が入れられ、定められた温度・湿度などの条件でテストが繰り返されていた。
強い紫外線に晒し続けたり、砂が舞う箱の中に放置し続けたりと、幅広い気候条件の中でアップル製品がどう影響を受けるのかをチェックするためだ。

水を周囲からかけてテスト。こちらはIPX4レベルを想定。
耐水性試験では、実際に水をiPhoneにかけ続けるテストも実施されている。以下の写真は、日常の雨くらいの勢いで水を周囲からかけ続けるテストのものだ。
さらに、非常に強い勢いの放水ホースからの水をiPhoneに直撃させるテストもあった。これは筆者自身が放水役をやってみたが、しっかり押さえていないと、水の勢いでホースが暴れてしまうくらい強い勢いだった。

より強い水をホースから放水。こちらはIPX6レベルを想定。
もちろんどちらの場合も、iPhoneは問題なく動いている。
現在のiPhoneは国際規格に基づき「IP68」の耐水・防塵性を持つ、とされる。
アップルはその上で、耐水性を「最大水深6mで最大30分間」としている。基準としてはIP68そのものよりも上で、前掲のテストもそうした内容に基づく。

より厳しい浸水テストは、高い圧力をかけたボックスの中で実施される。
ただし、あくまで真水でのテストであり、「どんな使い方をしても壊れない」わけではない。
相当厳しい環境でのテストが実施されているが、すべての条件で問題ないわけではない、という点にご留意いただきたい。
では、どのような条件が故障に結びつくのか?
まず「時間」。長い時間、お湯などにさらされ続けると浸水しやすくなる。耐水・防沫をうたってはいるが、風呂の中で長時間使うようには作られていない。
次に「水以外」。せっけんや油などが混ざった水でもテストはされているが、真水に比べると、防水用のパッキンなどを侵しやすくなる。
特に厳しいのは実は「サンオイル」。蒸発した濃い香水も苦手だという。もちろんテストはしているそうだが、真水以外が付着した場合には、速やかに真水で拭った方がいい。
ロボットアームで落下テスト、見えてきた「壊れやすさ」とは
落下試験も過酷だ。
ロボットアームでiPhoneやMacBookを持ち上げ、下に向けて落とす。その様子は高速度撮影が可能なカメラで収録され「どこを向いて落ちるのか」「どう落ちると壊れるか」などがチェックされている。

ロボットアームでiPhoneを持ち、いろいろな床面での壊れ方をチェック。
落ちる様子は高速度撮影対応のカメラで収録している。
iPhoneが落ちる様を見るのもなかなか心苦しいのだが、MacBookが床に落ちる様子はもっと痛々しい。落下した瞬間にディスプレイが波打つようにひしゃげていく。ただ、そうやって衝撃を逃してもいるようだ。

床に落ちて跳ねる様子を克明に記録。
こうしたテストで壊れる際には、おもしろい傾向も見えているという。最初に床に落ちた時より、そこから跳ねて2度目に床にぶつかった時の方が壊れやすいのだとか。
もちろん落とさない方がいいわけだが、「万が一」の場合にも壊れづらいよう配慮はなされている。