マイホームはほしい、でも住宅ローンが気になる!賃貸・購入のメリット・デメリット

ご相談は住宅ローンということですね

「マネーDr.」ルーシーと、将来に不安を抱える人々の物語。

東京・銀座のあるビルの5階。エレベーターを降りると、そこにはルーシー先生のオフィス「ルーシー・マネークリニック」があります。独立系ファイナンシャル・プランナーとして活躍するルーシー先生は、結婚や出産、住宅ローン、子どもの教育費、そして老後の資金計画まで、ライフプランに応じて必要となるお金について、丁寧かつ分かりやすくアドバイスしてくれます。

「お金の相談に来たのに、人生相談もしてもらった感じです」これは、相談者たちがよく口にする言葉。そんなルーシー先生に会いたくて、今日もまた新たな相談者がオフィスを訪れます。

※本記事はチーム★ライフプラン研究会(著)、花田敬(監修)、ヒラマツオ(漫画)の書籍『誰か教えて! 一生にかかるお金の話 改訂版』から一部抜粋・編集しました。

この記事に登場する人たち

北欧スタイルのオフィスの一番奥に座る女性。それがルーシー先生。年齢は40代前半。出産を機に金融機関を退職。独立系のファイナンシャル・プランナーとして、この銀座のオフィスをオープンさせました。

中学生の子どもを持つワーキングマザーでもあります。

朝倉のぞみさんは、現在40歳。7歳の娘さんと5歳の息子さんがいます。

ご主人との最近の話題は、「家を買うかどうか」。でも、「住宅ローン」が気になり、なかなか決断できません。

【朝倉のぞみさんの場合】購入がいいか、賃貸がいいか、決断がつきません……

マイホームはほしい。でも住宅ローンが気になって……という朝倉さん。ルーシー流「家族をハッピーにする購入術」に興味津々……。

家を買うか迷ってまして…

私はいまいち決断ができなくて

あなたは賃貸向き?それとも購入向き?

家は「借りるべきか」、「買うべきか」に、答えはない。メリット・デメリットから判断する。

■どのスパンで見るかで、「安い」「高い」は変わる

(ルーシー先生)のぞみさんに質問です。賃貸と購入とでは、一生涯に払う金額はどちらが安いと思います?

(朝倉さん)賃貸と購入ですか?うーん、賃貸かなぁ……。

(ルーシー先生)じつは、金額的にはあまり変わらないんです。のぞみさんがおっしゃるように、前半は賃貸のほうが支払いは少なくてすみます。でも、だんだんトントンとなり、40年も経つと逆転するんです。

(朝倉さん)えっ? 賃貸のほうが支払いが多くなるんですか?となると、長生きするほど「購入のほうが安かった」となるんですね。それは意外!!

(ルーシー先生)もちろん、ケースバイケースだけどね。賃貸と購入それぞれで支払う金額のシミュレーションをイメージするとこんな感じ。

◆賃貸と購入。生涯に支払う金額のシミュレーション

賃貸と購入。生涯に支払う金額のシミュレーション

【前提条件】

<購入> 

3800万円の物件

頭金:300万円、諸費用:200万円、借入:3500万円借入れ

金利変動なし、30年返済

毎月返済額:約14.8万円

管理費・修繕積立金:毎月2万円、固定資産税・都市計画税:毎年15万円

※金額は変動しないものとして計算

<賃貸>

家族構成などにより、引っ越しを行なう

賃料:当初4年間:毎月10万円、5~26年目:毎月15万円(この間に一度引っ越し)、27年目以降:毎月12万円

入居時の敷金、礼金、仲介手数料:4カ月分、引っ越し費用:30万円、更新料:2年ごとに1カ月分

※金額は変動しないものとして計算

(朝倉さん)結局、賃貸が購入を逆転するなら、買ったほうがいいのかな~。

(ルーシー先生)買ったら自分のモノになりますものね。賃貸の場合は、いくら家賃を払っても他人のモノのまま。

(朝倉さん)夫もよくそう言うんです。「ローンを払い終われば住居費から解放されて、家計が楽になる」って。実際、そうなんですか?

(ルーシー先生)まったく住居費がかからなくなるわけではありません。固定資産税や都市計画税がかかりますし、マンションの場合、管理費や修繕積立金といった負担もありますからね。それでも、家賃に比べれば安いですけど。

■「賃貸」だと、老後に住む家がなくなるって本当?

(朝倉さん)あと夫が言うのが、賃貸だと、老後は家が借りにくくなるって。

(ルーシー先生)現状では、そういうこともあります。高齢者の方に貸すのを嫌がる大家さんもいらっしゃるので。ただ、今後変わっていくんじゃないかしら。だって、これだけ高齢化社会が進めばそうも言っていられなくなるでしょう。逆に、「高齢者向け」の住宅も増えていくのでは?

(朝倉さん)「借りる家がない」という不安は解消される可能性大ってことですね。でも、家賃負担がつづくのはなぁ……。だんだん購入のほうに気持ちが傾いてきました。

(ルーシー先生)老後の生活を考えるとそれもひとつの選択です。一方で、一度購入してしまうと、家族内のいろいろな変化に対応しづらくなります。

(朝倉さん)それって、どういうことですか?

(ルーシー先生)たとえば、家族が増えたり減ったりといったライフスタイルの変化に対応しづらくなる。

(朝倉さん)うちの両親がそんなことを言っていました。「お前たちが独立したあと、夫婦ふたりで3LDK は広すぎる」って。

(ルーシー先生)そのほか、これは「万一」ですが、ご主人のお給料がガクンと下がってしまえば、これまで通りに住宅ローンを返済していくのが難しくなる。

(朝倉さん)考えたくないですが、人生は何が起こるかわかりませんからね。

(ルーシー先生)そのとき、賃貸だったらすぐに家賃の安いところに引っ越せるでしょう。こんな具合に、ライフスタイルや環境の変化に合わせて柔軟に対応していける点では、賃貸に軍配が上がります。

(朝倉さん)賃貸の魅力って、身軽さと柔軟性って感じですね。

(ルーシー先生)ただし、賃貸の場合、結局は「他人のモノ」です。なので、いろいろ制約があります。一方、購入すれば「自分のモノ」でしょう。なので、自分の好きに使えますよね。リフォームしたりとか。賃貸と購入それぞれのメリット・デメリットを整理すると、こんな感じよ。

◆賃貸・購入のメリット・デメリット

賃貸・購入のメリット・デメリット

■買うか借りるかは、個人の価値観次第

(ルーシー先生)買うか、借りるかって、結局、それぞれの特徴を個人がどう捉えるか、ですよね。たとえば、のぞみさんだったら、「家」について優先したい価値観って何ですか?

(朝倉さん)メリット・デメリットから考えてあらためて整理してみると、「自分のモノ」ってことかな……。

(ルーシー先生)となると、「購入」になるのかしらね。

(朝倉さん)ただ、「購入」となると、やっぱり住宅ローンが心配なんですよね。本当に大丈夫かなって。

(ルーシー先生)だからこそ、買う前には、住宅ローンについてしっかり勉強しておく必要があるんです。無理のない返済計画が立てられれば、住宅ローンは決して恐れるものではなくなります。というより、マイホームを手に入れる強い味方になってくれます。

【監修者紹介】

花田 敬(はなだ たかし)

チーム★ライフプラン研究会代表。イーエフピー株式会社代表取締役、(一社)法人クレジットカード相談士協会代表理事。1996年にソニー生命保険から独立。以降、「金銭教育は社会貢献」をテーマに、マネーセミナー講師の育成に努め、多くの門下生を輩出している。また、2010年から2025年までの15年間、関東学園大学の非常勤講師として培った知識と経験を武器に、講師として活躍中。大手銀行、生命保険会社、損害保険会社、証券会社、大手住宅メーカーなど、幅広い企業のコンサルティングや社員研修、セミナー、講演活動を積極的に展開。著書も多数刊行し、業界内外で高い信頼を得ている。

【編著者紹介】

チーム★ライフプラン研究会   

全国のファイナンシャル・プランナーの有志が集い、ライフプランとマネープランの重要性を広く啓発・普及するために活動する研究会。各地で開催されるマネーセミナーにおいて、講師として実績を積みながら、未来の豊かな生活設計をサポートする取り組みを展開している。

※本記事に掲載している情報は2025年3月時点のもので、変更になる場合があります。

著=チーム★ライフプラン研究会、花田敬/『誰か教えて! 一生にかかるお金の話 改訂版』