【70歳代】シニア世代の貯蓄額「平均と中央値」はどれくらい?平均年金受給額・ひと月の家計収支も紹介
《老後資金として貯めている額》「5000万円以上」が50歳代では16.9%、60歳代以上では25.4%

【70歳代】シニア世代の貯蓄額「平均と中央値」はどれくらい?平均年金受給額・ひと月の家計収支も紹介
2025年6月26日、株式会社400Fが「オカネコ 老後資金に関する調査」の結果を公表しました。調査によると、約8割が老後に不安を感じており、とりわけ「生活費」(83.0%)と「医療費」(58.8%)が大きな懸念事項となっているようです。※全国の『オカネコ』ユーザー434名を対象
老後資金の準備状況については、年代が上がるにつれて「充分と思える準備ができている」と感じる人の割合は増加する傾向がありました。
60歳代以上では約20%が「充分と思える準備ができている」と回答している一方で、30歳代以下ではわずか3.2%、40歳代で2.7%、50歳代でも6.7%にとどまり、現役世代の多くは老後資金について充分に準備ができているとは感じていないのが現状です。
また、「まだ何もしていない」と答えた人の割合は、30歳代以下で31.5%と最も高くなっています。ただし、40歳代(23.2%)、50歳代(25.7%)、60歳代以上(22.3%)にも一定数見られ、年代が上がっても老後資金の準備に着手していない人が一定程度存在していることがわかります。
こうした結果から見えてくるのは、しっかり備えている人とそうでない人の差が、年齢を問わず広がってきているという現状です。

老後資金の準備状況
実際、50歳代では「5000万円以上」が16.9%、60歳代以上では25.4%に達しており、ある程度の資産を築いている人もいる一方で、準備が不十分なままの人も少なくありません。
では、老後を迎えている70歳代の人たちは実際にどれくらいの貯蓄や年金で生活しているのでしょうか。今回は、70歳代のお金事情について、公的年金の平均受給額や貯蓄状況をデータで見ていきましょう。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【意外と知らない】「健康寿命と平均寿命」の差
厚生労働省が公表した「令和5年簡易生命表」によれば、2023年時点での平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳となっています。
一方で、日常生活を制限されることなく、健康に過ごせる期間を指す「健康寿命」は、男性72.57歳、女性75.45歳となっています。

厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
ここで注目したいのが、「健康寿命」と「平均寿命」との間にあるギャップです。
現在は、シニア世代の就労を支援する制度も整備されていますが、それと同時に、医療費や介護費などの支出が増加しやすい時期でもあります。
こうした背景から、貯蓄を取り崩して生活を維持する世帯も少なくありません。
だからこそ、早い段階で将来の出費を見越した貯蓄計画を立て、年金と合わせて生活基盤を安定させることが重要です。
次章では70歳代の世帯が実際にどの程度の貯蓄を保有しているのか、その現状を確認していきましょう。
【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額はいくら?
金融経済教育推進機構(J-FREC)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」を参考に、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認していきましょう。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

70歳代の貯蓄額
70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1923万円とされていますが、これは一部の高額な貯蓄を保有している世帯が平均値を押し上げている影響も大きく、実際の生活実態とはやや乖離があるかもしれません。
実態をより正確に把握するには、中央値に注目するのが有効です。
中央値は800万円で、多くの世帯がこの水準に近い貯蓄額で生活していることがうかがえます。
貯蓄額の分布を見ると、最も多いのは金融資産を一切持たない「貯蓄ゼロ」の世帯で、全体の20.8%を占めています。
一方で、3000万円以上の資産を保有している世帯も19.0%とほぼ同程度存在し、世帯間での貯蓄格差が大きいことがわかります。
こうした違いが生じる背景には、定年時の退職金の有無や現役時代の収入水準、相続の有無、健康状態、家族構成といった多様な要素が影響しています。
十分な貯蓄がない世帯にとっては、年金のみで生活費をまかなうのが難しいケースも考えられます。
そのため、可能な限り健康なうちにパートや短時間労働などで収入を補ったり、不動産収入や資産運用による不労所得を確保したりする工夫が求められるでしょう。
次章では、厚生労働省の統計をもとに、現在のシニア世代が受け取っている年金(厚生年金・国民年金)の実態を確認していきます。
【厚生年金】現代シニアの平均受給額はいくら?
続いて、厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、厚生年金・国民年金の平均年金月額を確認しましょう。
まずは、厚生年金の平均受給額から確認していきましょう。

《2024年12月公表:最新版》厚生年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」
※記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。
厚生年金「平均年金月額」をチェック
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
【国民年金】現代シニアの平均受給額はいくら?
続いて、厚生年金の加入期間がなかった人が受け取る国民年金(老齢基礎年金)の月額についても見ていきます。

《2024年12月公表:最新版》国民年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」
国民年金「平均年金月額」をチェック
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
「厚生年金の男性平均月額を受給する夫」と「国民年金の女性平均月額を受給する妻」の場合、2人あわせての年金収入は月額22万2383円になります。
この約22万円で、シニア夫婦の生活費が十分まかなえるのか、気になるところでしょう。
次に、総務省の家計調査報告をもとに、標準的なシニア夫婦世帯の家計収支を確認していきましょう。
【65歳以上の夫婦のみの無職世帯】毎月の生活費は赤字?黒字?

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)
65歳以上の夫婦世帯の家計を見てみると、月間収入は25万2818円で、その大部分は公的年金をはじめとする社会保障給付に支えられています。
一方、月間支出は合計で28万6877円に上り、内訳としては日常生活にかかる消費支出が25万6521円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万356円です。
また、毎月3万4058円の赤字が発生しており、この分は貯蓄を取り崩して補っていると考えられます。
高齢になると、現役時代のような継続的な収入を得るのが難しくなるため、赤字の状態が続けば貯蓄の減少に直結します。
そのため、今ある貯蓄を踏まえて、今後の家計をどのように管理していくかを早めに検討することが大切です。
【家計管理の豆知識】よく聞く「エンゲル係数」ってなに?
前章で取り上げたシニア世帯の家計収支において、特に注目すべき点のひとつが「エンゲル係数」で、その値は29.8%と、やや高めとなっています。
エンゲル係数とは、消費支出に対する食費の割合を示す指標であり、一般的にはこの数値が高いほど、生活にゆとりがない状態と見なされます。
エンゲル係数の算出方法=食費÷消費支出×100(%)
65歳以上の家庭では、家計に占める食費の割合が高く、日々の生活において大きな支出項目となっていることが見て取れます。
ただし、エンゲル係数は、世帯構成や人生の段階によっても異なるため、単純に比較できない面もあります。
たとえば、成長期の子どもがいる世帯では、どうしても食費がかさみやすく、その結果エンゲル係数が高めになるケースもあります。
一方、高齢者の一人暮らし世帯などでは、食費そのものは多くなくても、他の支出も抑えられているために、食費の占める割合が相対的に大きくなる場合があります。
このように、エンゲル係数の上昇にはさまざまな要因が考えられます。
急に数値が高くなったときには、食費の増加だけでなく、他の支出が減っていないかなど、家計の全体像を振り返る良いタイミングだといえるでしょう。
現役時代のうちからの計画的な貯蓄が大切
今回は、70歳代のお金の実情について詳しく見てきました。
シニア世代の金融資産保有額には個人差があります。また、年金受給額や毎月の生活にかかる費用も人それぞれです。
老後を安心して迎えるためには、老後に必要な資金を把握し現役時代のうちから計画的に貯蓄しておくことがポイントになります。
また近年では、65歳以降も働き続ける人も増えています。
もちろん、健康で長く働くことができれば良いですが、大きな病気に罹患したり介護が必要になったりするリスクは誰もが抱えています。
「何歳まで働けるのか」「もし働けなくなったときにどう備えるか」も事前に確認しておくことが大切です。
参考資料
・厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
・厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
・PRTIMES「約8割が「老後不安」、生活費と医療費が二大懸念。老後資金準備状況は「二極化傾向」。若年層の「ねんきん定期便」理解不足も浮き彫りに」