楽天証券の売れ筋「米国株」にみるパフォーマンス格差、FANG+好調の一方でSCHD不振の理由は?

楽天証券の売れ筋「米国株」にみるパフォーマンス格差、FANG+好調の一方でSCHD不振の理由は?
各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、楽天証券の6月のデータをもとに解説。
楽天証券の投信売れ筋ランキングの2025年6月のトップ6は前月と同じになった。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」をトップに、第2位以下は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」、「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」、「iFreeNEXT FANG+インデックス」と続いた。前月第10位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」が第7位に上がり、第9位だった「楽天日本株 4.3倍ブル」が第8位になった。一方、前月は第7位だった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」は第10位に後退した。

◆米国株インデックスで出色の「FANG+インデックス」
楽天証券の売れ筋ランキングの大半を占めるインデックスファンドの中で、米国株式を対象としたインデックスファンドの2025年の推移を振り返ると、それぞれのインデックスの特徴がわかる。ランキングトップの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」など「S&P500」に連動するインデックスファンドと第4位の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は、年初から半年の推移では、ほとんど違いがないパフォーマンスになっている。「全米株式」は、文字通り米国株式市場に上場する全銘柄を組み入れた指数だ。時価総額が大きな500銘柄で構成された「S&P500」と比較すると中小型株も含むところが違いになっている。「S&P500」は全米株式に対して時価総額で約80%をカバーする。このため、米国株式市場全体の値動きについては「S&P500」がおおむねカバーしているということになる。
また、2020年以来のパフォーマンスを振り返ると、「S&P500」の方が優れた成績を残している。2019年12月末を基準として2025年6月30日時点では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がプラス170%、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」はプラス159%という差がある。2022年以降は「マグニフィセント・セブン」といわれた超大型株式7銘柄が市場をけん引する相場だっただけに、中小型株に投資しているメリットはほとんどないような状況だった。それだけに、割安な状態にあるとみられる中小型株が今後に評価を高めるのかどうかが注目されるところだ。
一方、際立ったパフォーマンスになっているのが「iFreeNEXT FANG+インデックス」だ。年初からの下落率はマイナス29.01%と主要インデックスの中で大きかったものの、その後の基準価額の戻りのスピードも速く、6月30日時点では主要インデックスの中で唯一、前年末水準を上回っている。他のインデックスファンドに対してメリハリの大きな動きになっている。これは、それぞれの組み入れ銘柄数の違いからも想像できる。「楽天・全米株式インデックス・ファンド」の組み入れ銘柄数は3564銘柄、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が504銘柄に対して「iFreeNEXT FANG+インデックス」はわずかに10銘柄だ。「アップル」「アマゾン」「メタ・プラットフォームズ」「グーグル(アルファベット)」「ネットフリックス」「エヌビディア」「マイクロソフト」「ブロードコム」「クラウドストライク」「サービスナウ」という組み入れ銘柄が現在の市場にマッチしているということだろう。
◆「高配当株」のパフォーマンスは低迷
これに対して、米国高配当株式を投資対象にした「楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」(愛称:楽天・SCHD)は株価下落局面での下落率こそ年初来でマイナス18.14%と「S&P500」のマイナス22.76%などよりも抑えられたものの、その後の戻り局面での反発力が弱かった。6月末時点でも年初からマイナス10%程度の水準に沈んだままだ。同ファンドは5月末時点で103銘柄に投資しているが、「高配当」を銘柄選定の条件としているため、組み入れ銘柄は「生活必需品」「エネルギー」「ヘルスケア」など、日常生活に不可欠な安定成長の業種が中心になっている。これらの企業は、成長を追求する「FANG+」の銘柄群とは対極にある企業といえる。「FANG+」が注目を浴びるような局面では、どうしても見向きをされない企業群になってしまう。
加えて、米国の景気に対して先行き不透明感が強まっている中にあって、生活に必須な事業を行っているとはいえ、不況になれば家計が節約を重視し、生活必需品への支出も抑えることになり、業績は悪化する。業績のブレ幅は成長企業と比較して大きくないとはいえ、業績がマイナス方向を向いている時には株価も上がりにくくなるものだ。「高配当株」が「S&P500」などと比較してもパフォーマンスが優れないという状況は米国景気の先行きへの悲観が強まっている状況を表しているように感じられる。米国株式に投資している投資家には気がかりな動きといえるだろう。

執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。