【物価高騰対策】住民税非課税世帯への「3万円給付」が進む!「住民税非課税世帯」になるのはどんな人?非課税になる3つの要件
住民税非課税世帯となる「所得」「収入」のボーダーライン

【物価高騰対策】住民税非課税世帯への「3万円給付」が進む!「住民税非課税世帯」になるのはどんな人?非課税になる3つの要件
7月に入り、多くの自治体では「住民税非課税世帯等への3万円給付金」の申請受付がすでに終了しています。
すでに受け取った方や、今回対象とならなかった方も、この給付金の内容や対象条件を知っておくことは、今後の支援策に備えるうえで大きな意味があるでしょう。
特に「住民税非課税世帯」に該当するかどうかは、ほかの給付金や減免制度などの判断基準としても使われるため、正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、住民税非課税世帯への3万円給付の制度概要を改めて振り返るとともに、「非課税世帯」とはどのような世帯なのか、所得目安や要件を解説します。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【物価高騰対策】住民税非課税世帯への「3万円給付」の概要

出所:内閣府特命担当⼤⾂(経済財政政策)「国⺠の安⼼・安全と持続的な成⻑に向けた総合経済対策」
2024年12月に可決・成立した2024年度補正予算には、「特に物価高の影響を受けやすい「住民税非課税世帯」を対象とする給付金が盛り込まれています。
今回の支給額の基本は「1世帯あたり3万円」です。申請受付からや支給までの一連の給付作業は各市区町村が担当しています。
子ども1人につき2万円の加算
給付金の支給対象世帯のうち「子育て世帯」を対象に、18歳以下の子ども1人につき2万円が加算されます。
「夫婦+対象となる子ども2人」の世帯であれば、支給額は合計7万円です。
【ご注意】給付金の申請締め切り日や申請方法、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報は、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。
住民税非課税世帯となる要件
住民税の仕組みにも触れながら、住民税非課税世帯となる要件などを整理していきましょう。
住民税の基本をおさらい

出所:総務省「個人住民税」
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税で、その地域の公共サービスやインフラ整備の財源となっています。
個人住民税は、均等割(※1)と所得割(※2)の合計です。
※1 所得に関係なく一律課税となる部分
※2 所得に応じて税額が決まる部分
均等割・所得割ともに免除になることを「住民税非課税」と言います。「住民税非課税世帯」は、世帯全員が住民税非課税となる世帯を指します。
なお、「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もあります。ただし今回の給付金の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
住民税が非課税となる要件
住民税が非課税となる要件は、以下のいずれかに該当した場合です。
・生活保護を受けている
・障害者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
・前年の所得が各市町村の基準を下回る
1と2の要件は全ての市区町村で共通となっています。
一方で、3の所得要件は市区町村ごとに異なる基準があります。
住民税非課税世帯に該当する「所得」のボーダーライン
「住民税非課税世帯」に該当する所得や収入の限度額を確認していきます。
市区町村ごとに基準が異なりますが、ここでは札幌市の例を見てみましょう。
「住民税非課税世帯」となる所得基準(札幌市)

出所:札幌市「個人市民税」
・扶養親族を有さない方:45万円
・扶養親族を有する方:35万円×家族数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+31万円
「収入」から各種控除や経費などを差し引いた最終的な手取り金額が「所得」です。そのため、年収で考える方がわかりやすいという人もいるかもしれません。
しかし住民税非課税の限度枠は、収入額だけではなく収入の種類や扶養親族数などの諸条件によって変動するため、判定基準がやや複雑です。
住民税非課税世帯となる「収入」のボーダーライン
今度は「世帯構成と収入の種類別」に住民税非課税となる基準について、札幌市の例から見てみましょう。

出所:札幌市「個人市民税」
札幌市で「住民税が非課税となる所得基準」と、それに対応する収入金額について「扶養親族なし」と「扶養親族1名」の場合を比べてみましょう。
扶養親族なし
・非課税となる合計所得金額:45万円
・給与収入のみの場合の収入金額:100万円
・公的年金収入のみの場合の収入金額(65歳未満):105万円
・公的年金収入のみの場合の収入金額(65歳以上):155万円
扶養親族1名
・非課税となる合計所得金額:101万円
・給与収入のみの場合の収入金額:156万円
・公的年金収入のみの場合の収入金額(65歳未満の方):171万3334円
・公的年金収入のみの場合の収入金額(65歳以上の方):211万円
例えば、単身世帯(扶養親族0人)の場合、給与収入のみであれば100万円が非課税限度額ですが、65歳以上で公的年金収入のみの世帯であれば155万円まで引き上がります。
また、扶養親族が1名いる世帯の場合、給与収入のみの場合は156万円、65歳以上で公的年金収入のみの場合は211万円となり、単身世帯よりも非課税限度額が高くなります。
このように、住民税が非課税となる限度額は、世帯構成や、65歳以上であれば収入の種類(給与収入か年金収入か)によって変動します。
「住民税非課税世帯」はシニア世帯が当てはまりやすい?理由を解説
65歳以上の年金収入のみの世帯では、住民税の非課税限度額が高く設定されています。
一般的に年金生活に入ると現役時代よりも収入が減少するうえ、65歳以上の方には公的年金に対する所得控除が大きく、また遺族年金が課税対象とはなりません。
そのため、高齢者の年金生活者は「住民税非課税世帯」に該当しやすい傾向があるのです。
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」から、住民税が「課税される世帯」の割合を見てみましょう。

・30歳代:88.0%
・40歳代:90.0%
・50歳代:86.4%
・60歳代:78.3%
・70歳代:64.1%
・80歳代:47.5%
・65歳以上(再掲):61.9%
・75歳以上(再掲):50.9%
※全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
※総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
※住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯が含まれます。
住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では約90%でしたが、60歳代で78.3%となります。その後65歳以上は61.9%、75歳以上は50.9%となっています。
このように、年齢が高くなるにつれて、住民税が課税される世帯の割合は低下する傾向にあります。
ただし先ほど触れたように、住民税非課税世帯の判定基準となるのは「収入(所得)」です。
そのため、年金収入は少ないものの、十分な預貯金があってそれを取り崩して生活している高齢者世帯も一定数含まれていると考えられます。
【60歳代・70歳代】「年金だけでは日常生活費もカバーできない」現実
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024」では、二人以上世帯のうち60歳・70歳代の約3割が「年金だけでは日常生活費程度もまかなうのが難しい」と答えています。
「年金にゆとりがない」と感じる理由とは?

出所:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成
また年金ではゆとりがないと考える世帯が「不安を感じる理由」は「物価上昇で支出が増えると見込んでいるから」がトップに。60歳代で63.3%、70歳代で62.8%にのぼります。
次いで「医療費の個人負担が増えるとみているから」は60歳代で28.3%、70歳代で34.8%、「介護費の個人負担が増えるとみているから」は60歳代で18.1%、70歳代で26.4%です。
65歳以上の「就業者数」と「就業率」はいずれも上昇傾向
内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳以上の就業者数と就業率はいずれも上昇傾向に。
男女別に見た、各年齢層での就業者の割合は以下の通りです。

出所:厚生労働省「令和7年版高齢社会白書」
・65~69歳:男性62.8%、女性44.7%
・70~74歳:男性43.8%、女性27.3%
・75歳以上:男性17.3%、女性8.5%
一般的な年金受給スタート年齢である「65歳以降」も、働き続けるシニアは増加中です。
なお、2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、在職老齢年金制度の見直しが盛り込まれました。
これにより、2026年4月から、厚生年金をもらいながら働く際に「年金が減額される基準額」が月51万円(※2025年度の金額)から62万円へ引き上げられます。
収入増による年金カットを懸念していたシニアの「働き控え」が緩和され、より柔軟な働き方が可能になると期待されており、厚生労働省の試算では、新たに約20万人が年金を全額受給できるようになるとされています。
老後を迎える前に考えたい、お金と保障の話
今回は、「住民税非課税世帯」に焦点を当ててお話ししてきました。
高齢の年金生活者は、住民税非課税世帯に該当しやすい傾向があります。そのため、老後に収入が大きく減ることを見越し、早いうちから備えておくことがとても大切です。
まずは貯蓄です。年金だけでの生活が難しい場合には貯蓄を取り崩して生活いくことになります。だからこそ、老後を迎える前に、必要な資金をしっかりと準備しておきたいところです。
必要な生活費は人それぞれ異なりますので、「自分にとって、いくらあれば安心できるか?」を早めに考え、年金だけで賄えない部分をいまからコツコツ準備していきましょう。
また、医療費や介護費など、年齢とともに増えていく可能性がある支出にも備えておく必要があります。こちらも貯蓄を準備しておくほかに、民間の生命保険や医療保険で保障を持つという選択肢もあります。
どのような形で準備するのか、自分の考えに合っている方法で備えていきましょう。
参考資料
・内閣府特命担当⼤⾂(経済財政政策)「国⺠の安⼼・安全と持続的な成⻑に向けた総合経済対策」
・総務省「個人住民税」
・札幌市「個人市民税」
・厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
・金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
・厚生労働省「令和7年版高齢社会白書」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」