【厚生年金と国民年金】厚生年金を「月額15万円以上」受給している人の割合はどれくらい?日本の公的年金制度もおさらい!
【iDeCo加入年齢上限引き上げ】年金制度改正のポイントも詳しく解説

【厚生年金と国民年金】厚生年金を「月額15万円以上」受給している人の割合はどれくらい?日本の公的年金制度もおさらい!
物価の上昇が続く中で、日々の生活費の見直しや将来に向けた資金づくりに、改めて関心が高まっています。
筆者はファイナンシャルプランナーとして日頃から多くの方のお金に関するご相談を受けていますが、最近では「生活費をどう抑えるか」「老後に向けてどんな準備が必要か」といった声が特に増えてきています。
その中でも目立つのが、「公的年金」に対する不安や疑問の声です。
公的年金は、私たちの老後の暮らしを支える大切な柱のひとつです。将来に備えるためにも、まずはその仕組みや特徴を、現役世代のうちにしっかり理解しておきましょう。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本の公的年金制度は2階建て
日本の公的年金制度は、ベースとなる「国民年金(基礎年金)」と、上乗せ部分の「厚生年金」から成り立ちます。
そのため「2階建て構造」などと表現されることがあります。この2つの年金制度の基本を、確認していきましょう。
国民年金(基礎年金)+厚生年金

【1階部分】国民年金(基礎年金)
・加入対象:原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
・保険料:全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)
・受給額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額の老齢基礎年金(※2)を受給できる。未納期間分に応じて満額から差し引かれる
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
【2階部分】厚生年金
・加入対象者:会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入
・保険料:収入に応じて(上限あり)決定される(※4)
・受給額:加入期間や納付済保険料により、個人差が出る
2階部分の厚生年金は、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入します。国民年金と厚生年金では、加入対象や年金保険料の決定方法、そして受給額の計算方法などが異なります。
そのため、老後に受け取る年金額にも、その方の加入状況や収入によって差が生まれます。
また、公的年金額は物価や現役世代の賃金の変動に応じて毎年度見直される仕組み(スライド調整など)となっている点も重要なポイントです。
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
2025年度の年金額
公的年金の金額は、賃金や物価の動向を踏まえ、毎年度見直しがおこなわれるものです。
2025年度の年金額は、前年度より1.9%の増額に。3年連続のプラス改定となりました。

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
・国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分 ※1)
・厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
国民年金のみの場合、満額(※3)でも月額で7万円弱です。繰下げ受給(※4)の上限年齢である75歳まで受給を待機したとしても、月額13万円に満たないことになります。
※3 国民年金(老齢基礎年金)の満額:国民年金保険料を480カ月納付した場合に、65歳から受け取れる年金額
※4 繰下げ受給:老齢年金の受給開始年齢を66歳~75歳までの間に後ろ倒しする制度。「繰下げ月数×0.7%」の増額率が適用され、75歳で受給開始した場合の増額率は84%。
※5 付加保険料の納付:第1号被保険者・任意加入被保険者が定額保険料に付加保険料(月額400円)をプラスして納付すると、老齢基礎年金に付加年金(200円×付加保険料納付月数)が上乗せされるしくみ。国民年金基金との併用は不可。
厚生年金「月額15万円以上」の割合はどれくらい?
厚生労働省年金局が公表する「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の男女全体の平均月額は「14万6429円」です。
15万円弱となっており、さらに言うとこの金額には1階部分の国民年金が含まれています。受給額ごとの人数分布は以下のとおりです。
厚生年金の受給額ごとの受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
・1万円未満:4万4420人
・1万円以上~2万円未満:1万4367人
・2万円以上~3万円未満:5万231人
・3万円以上~4万円未満:9万2746人
・4万円以上~5万円未満:9万8464人
・5万円以上~6万円未満:13万6190人
・6万円以上~7万円未満:37万5940人
・7万円以上~8万円未満:63万7624人
・8万円以上~9万円未満:87万3828人
・9万円以上~10万円未満:107万9767人
・10万円以上~11万円未満:112万6181人
・11万円以上~12万円未満:105万4333人
・12万円以上~13万円未満:95万7855人
・13万円以上~14万円未満:92万3629人
・14万円以上~15万円未満:94万5907人
・15万円以上~16万円未満:98万6257人
・16万円以上~17万円未満:102万6399人
・17万円以上~18万円未満:105万3851人
・18万円以上~19万円未満:102万2699人
・19万円以上~20万円未満:93万6884人
・20万円以上~21万円未満:80万1770人
・21万円以上~22万円未満:62万6732人
・22万円以上~23万円未満:43万6137人
・23万円以上~24万円未満:28万6572人
・24万円以上~25万円未満:18万9132人
・25万円以上~26万円未満:11万9942人
・26万円以上~27万円未満:7万1648人
・27万円以上~28万円未満:4万268人
・28万円以上~29万円未満:2万1012人
・29万円以上~30万円未満:9652人
・30万円以上~:1万4292人
厚生年金の月額が15万円を超える人の割合は47.6%と、厚生年金の受給者権全体の半分にも満たないのです。
厚生年金を受給しない人も母数に加えると、年金を月額15万円以上受け取る人の割合はさらに下がるでしょう。
【シニア向け給付金】「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件
現役時代の年金加入状況によって、老後の年金受給額には個人差が出ます。
年金だけに頼る老後が不安と感じる場合は、老後資金をていねいに準備していくことはもとより、「高額療養費制度」「介護保険制度」「年金生活者支援給付金」といった、公的制度についても高くアンテナを張っておけると良いですね。
最後に挙げた「年金生活者支援給付金」は、年金などの所得が一定以下となる人が対象になる制度で、毎回の年金に上乗せして給付金が受け取れます。
シニア世代と関連が深い「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件を見てみましょう。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件
※以下すべてを満たすことことが必要です
・65歳以上で老齢基礎年金を受給している
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が基準額以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 1956年4月2日以後生まれで、合計額が78万9300円を超え88万9300円以下である方と、1956年4月1日以前生まれで、合計額が78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は、月額5450円(2025年度の水準)です。ただし、保険料納付済期間等に応じて実際の支給額が計算されます。
なお、年金生活者支援給付金は自動的に振り込まれるわけではありません。支給要件を満たす場合、必ず請求手続きをおこなう必要があります。
対象となる可能性のある方には、日本年金機構から通知を兼ねた請求書が届きますので、必要事項を記載して返送しましょう。
【iDeCo加入年齢上限引き上げ】年金制度改正のポイント
2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。
今回の改正には、いわゆる「年収106万円の壁」撤廃に向けた社会保険の加入対象の拡大、在職老齢年金の支給停止調整額の引き上げ、遺族年金の見直しなど、公的年金制度の大きな改正内容が盛り込まれています。

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
同時に、私的年金である「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「企業型DC」に関しても、いくつか改正が加わることになりました。
iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
働き方に関係なく「70歳未満」に引き上げる
・現在のiDeCo加入条件
・加入可能年齢の引き上げ後
企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
企業型DCで、加入者本人が掛金を上乗せする「マッチング拠出」の上限額を撤廃。事業主掛金の額を超え、拠出限度額の枠を十分に活用できるようにする。
企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)
企業年金の運営状況の情報を、厚生労働省がとりまとめて開示。他社との比較・分析が可能となる。
公的年金の受給額を知る第一歩は「ねんきん定期便」から
今回は「公的年金」について解説してきました。
年金の受給額は、加入期間や働き方によって人それぞれ異なります。まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、自分の年金見込み額をしっかり確認しておくことが大切です。
また、理想の老後生活を実現するためには、公的年金だけに頼らず、貯蓄や資産運用など自分で備えることも欠かせません。
最近では、NISAやiDeCoといった制度が整ってきており、初心者でも始めやすくなっています。ただし、資産運用は元本割れなどのリスクがあります。
そのため、なんとなく始めるのではなく、仕組みやリスクを理解したうえで、自分に合った形で活用していくことが重要です。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」