65歳以上「無職世帯」の貯蓄や生活費などは平均いくら?暮らし向き「ゆとりがなくなってきた」が61%に増加した日本
老齢年金も個人差がある!「厚生年金・国民年金」受給額の実態

65歳以上「無職世帯」の貯蓄や生活費などは平均いくら?暮らし向き「ゆとりがなくなってきた」が61%に増加した日本
定年退職後の生活について、「仕事をしているときはできなかった旅行を思い切り楽しみたい」など理想を抱える方もいるでしょう。
時間の使い方が大きく変わる一方、お金の使い方も変わります。年金生活になれば収入が減ることが一般的ですし、2ヶ月ごとの年金収入でやりくりすることになります。
十分な老後資金を準備していても、「資産を取り崩しながら生活する」ということに、不安や戸惑いが生まれるケースもあるのです。
老後資金を準備するだけでなく、現役世代のうちに、収入と支出のバランスをある程度シミュレーションしておけると安心でしょう。
本記事では総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の無職夫婦世帯の平均的な家計収支を見ていきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【無職夫婦世帯】65歳以上の平均的な家計収支
すでに定年退職を迎えた、無職夫婦世帯の平均的な家計収支は以下のとおりです。

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
【無職夫婦世帯】収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
【無職夫婦世帯】支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
・食料:7万6352円
・住居:1万6432円
・光熱・水道:2万1919円
・家具・家事用品:1万2265円
・被服及び履物:5590円
・保健医療:1万8383円
・交通・通信:2万7768円
・教育:0円
・教養娯楽:2万5377円
・その他の消費支出:5万2433円
■うち非消費支出:3万356円
・直接税:1万1162円
・社会保険料:1万9171円
【無職夫婦世帯】家計収支
・ひと月の赤字:3万4058円
・エンゲル係数:29.8%
・平均消費性向:115.3%
総収入25万2818円に対し、総支出が28万6877円と上回っています。これにより、あくまでも平均的な世帯では毎月3万4058円の赤字が生じていることになります。
例えば65歳~90歳までの老後資金を準備するのであれば、4万円×12ヶ月×25年=1200万円が必要ということです。
もちろん1200万円もひとつのシミュレーション結果なので、世帯に応じた試算が必要です。
「うちは年金がもっと多い」「支出は毎月20万円にもならないはず」などであれば、必要額は少なくなるかもしれません。反対に、「賃貸住まいを続けるから家賃がもっとかかる」「施設入居を考えているからまとまったお金が必要」などの状況により、必要額がもっとあがる世帯もあるでしょう。
かつては老後2000万円問題が話題となりましたが、実際には個別の状況によって異なることがわかります。
では、今のシニアはどれほどの貯蓄を備えられているのでしょうか。
【無職夫婦世帯】65歳以上世帯の貯蓄額は平均いくら?
ここからは総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-」から、65歳以上の無職世帯(二人以上の世帯)の貯蓄平均額を見ていきます。
2024年における「世帯主が65歳以上の無職世帯」の貯蓄の平均貯蓄額は、2560万円でした。
世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄の種類別現在高の推移(二人以上の世帯)

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
2019年からの推移を見ると
・2019年:2218万円
・2020年:2292万円
・2021年:2342万円
・2022年:2359万円
・2023年:2504万円
・2024年:2560万円
以上のとおり、5年間で300万円以上増加しています。ひとことに資産と言っても、現金や株など内容はさまざまです。
内訳について、2019年と2024年を比べてみましょう。
資産の内訳はこう変化している
65歳以上の無職世帯(二人以上世帯)の「資産の内訳」について、2019年と2024年を比較しました。
・通貨性預貯金:+258万円(543万円→801万円)
・定期性預貯金:▲82万円減(941万円→859万円)
・生命保険など:+25万円(369万円→394万円)
・有価証券:+144万円(357万円→501万円)
・金融機関外:▲2万円減(8万円→6万円)
・合計:+342万円(2218万円→2560万円)
「お金の置き場所」の変化がわかるのが、「通貨性預貯金」の増加と「定期性預貯金」の減少です。超低金利下で資産を固定する魅力が薄れ、流動性を重視する意識が高まった結果と考えられます。
「有価証券」が4割以上も増加している点から、インフレに備えながら資産寿命を延ばすために、リスクを取りつつも積極的な資産運用に乗り出すシニア層の姿がうかがえます。「貯蓄から投資へ」という流れが表れた結果ともいえるでしょう。
安全性の高い預貯金をベースとして、一部を投資に回すなど、老後資産の管理に、単に「貯める」だけでなく「賢く育て、活用する」視点を持つ人が増えていることも推測できます。
ただし、上記のデータはあくまで平均的な世帯の姿です。実際の貯蓄事情は、定年退職金の有無、相続、家族の健康状態など様々な要因に大きく左右されます。
老後に受け取る年金額もまた、個人差が大きいのが現実です。
老齢年金も個人差がある!「厚生年金・国民年金」受給額の実態
現役時代の働き方や加入状況によって、年金額は一人ひとり異なります。
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の各年齢における平均年金月額は、国民年金のみを受け取る場合で5万円台、厚生年金(国民年金部分を含む)を受け取る場合で14万円台~16万円台です。
平均からは見えない個人差について、グラフを交えて年金月額を見ていきます。

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
国民年金(老齢基礎年金)の個人差
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
厚生年金(国民年金部分を含む)の個人差
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
平均年金月額は、国民年金のみを受給する場合は男女ともに5万円台です。厚生年金を上乗せで受給する場合は男性16万円台、女性10万円台と、男女差があります。
老後の年金見込み額は、世帯単位でも把握しておくことが大切です。「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を活用しましょう。
年金収入だけでは家計が赤字となる世帯も少なくありません。この不足分を貯蓄の取り崩しだけで補うのではなく、健康なうちは働き続けることで収入を得たいと考える人も増えています。
暮らし向き「ゆとりがなくなってきた」が大幅に増加
老後資金を準備したいと思いつつ、なかなか余裕がないという人も少なくないでしょう。
日本銀行が2025年7月14日に公表した「生活意識に関するアンケート調査」(第102回)によると、現在の暮らし向き(1年前対比)について、「ゆとりがなくなってきた」と回答した割合は61%であることがわかりました。

現在の暮らし向き
2025年3月時点では55.9%だったので、増えている様子がわかります。
過去からの推移をたどると、ボトムは2008年9月の62.6%。リーマンショックの時期に迫る勢いで増加傾向しているのです。

暮らし向きの推移
そのような中で、やみくもに貯蓄をするのは難しいものです。モチベーションも続かないでしょう。
「何となく」「平均を参考に」進めるのではなく、世帯にあった準備を過不足なく行っていくことが大切です。
まとめにかえて
定年退職後の理想を叶えるためには、やはりお金の管理が必要です。
年金が高い人でも、それだけ現役当時の年収が高かったということですから、収入が減ることは避けられません。これをカバーする私的年金や不労所得があるのか、なければどれほど貯蓄で備えられるのかなどが重要になります。
また、老後対策は貯蓄だけではありません。資産運用を緩やかに続けることや、働き続けることもひとつの選択肢です。
自分に合うかどうかは世帯の状況によって異なるため、まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
・日本銀行「生活意識に関するアンケート調査(第102回)」