配当を育て続けて20年…資産1億円超え・FIREを達成した元サラリーマンが指南する「暴落時のパニック退場」を回避する方法

(※写真はイメージです/PIXTA)
利益を得るには「続けること」がなにより重要なのにもかかわらず、なぜ初心者は途中で投資をやめてしまうのか? そこには不安やリスクに対するケアの欠落があるといいます。本記事では、2004年から株式投資を始め2023年にFIREを達成した著者、長期株式投資氏による『年に471万円が入ってくる「鉄壁配当」 後悔ゼロの“早期リタイア計画”』(KADOKAWA)を一部抜粋・再編集して、日本の配当株投資におけるリスクの対処法についてご紹介します。
保有資産のうち、どれぐらい投資に回す?
SNSなどでは極端な投資をおこなって注目を浴びるケースをよく目にしますが、一気にお金を失うこともあり、大変危険ですので真似をしないようにしましょう。そのようなことをせずとも、着実に資産形成を進めることは可能です。
また、資産形成期は集中投資でなければお金が増えないという意見もありますが、資産形成期の知識や経験が十分でない投資初心者が集中投資してリターンを得られるという発想自体に違和感を覚えます。
短期的に高いリターンを求めるには高いスキルが必要で、投資の難度は急激に上昇します。その一方で、時間をかけて長期投資に徹すれば期待リターンは過去の平均に収斂(しゅうれん)していく傾向にあります。長期投資のほうが着実な資産形成を進めることができるのです。投資にはこのような特徴があることを認識しておきましょう。
さて、最初に考えなくてはならないのは、保有資産のうち、どの程度の割合を投資に回すのが適当なのかということです。実はこの問いに正解はありません。
年齢によって今後確保できる投資期間が異なりますし、家族構成によっては保守的な運用が好ましいケースもあるでしょう。所得が多い人は投資に回せるお金も多くなりますし、資産が目減りすることに抵抗感のある人はリスクを抑えた運用が必要になるでしょう。
つまり、置かれた環境やリスク許容度は人それぞれであり、自分でフィットさせていかなくてはならないということです。
「100-自分の年齢」でリスク許容度を測る
とはいえ、先人の知恵というものは存在します。それが「100-自分の年齢」の値と同じパーセントだけリスクをとるというものです。例えば、現在40歳であれば、40%は現金などの安全資産で保有し、60%は株式などのリスク資産で保有するということになります。

【図1】若いうちはリスクをとり、段階的に安全性を高める
これは将来確保できる投資期間や健康状態を考えると、若いときには大きな失敗をしてもやり直しが比較的に容易であること、逆に年齢を重ねるにつれて失敗をリカバーするのが難しくなっていくことが考慮された運用方針です。
最初は、株価の変動が自分のメンタルにどのような影響を及ぼすか把握していく必要があります。そのため、一気に投資するのではなく、株式などのリスク資産を少しずつ増やし、実際に運用していくことで知識と経験を積み上げていくほうが好ましいでしょう。
なお、同じリスク資産という分類でもJ-REITは賃貸収益が利益の源泉となっていることから、利益成長を期待しにくいアセットクラスです。したがって、若いうちは長期的な期待リターンが最も高いアセットクラスである株式を軸に運用していくのが王道となります。J-REITへの投資は、ある程度経験を積んでからでも決して遅くはありません。あわせて覚えておきましょう。
株価暴落で途中退場…続けるための解決策は?
多くの方にとって投資でリターンを得るのに必要なことは、投資を長く続けることであると確信しています。ですが、株価が暴落したときに不安になって、投資をやめてしまう方が多いのも現実です。
どのようにすれば投資初心者が投資を続けられるのかということを、もう何年も考え続けています。万能薬などあろうはずもありませんが、1ついえるのは、「知らない」ことは恐怖を生むということです。恐怖から逃れる、解放されるために、損をしてでも株式を売却したいという気持ちになるのです。
解決策は「知る」ことです。山へ登るときに何も調べずに山頂へ向けて歩き出す人は少ないでしょう。安全に登頂するには事前にルートを知っておく必要があります。
投資も同じで、ゴールに向かって心穏やかに運用を続けるためには、投資対象のことを知っておく必要があります。
SNSなどでは、株価が下落したときに右往左往している方をよく見かけます。株価が下がって不安になる気持ちはわかりますが、これも、投資先企業の中期経営計画や業績の進捗状況をある程度把握していれば、幾分かは不安も解消されるはずです。
人は先が見通せないときに恐怖を感じます。一方、状況を把握していれば対策を講じることができます。そして、対策を講じることができれば不安もやわらいでいくでしょう。
投資対象として検討する際には、単にPERやEPS、配当利回りなどの数字だけを見て判断するのではなく、数多くの選択肢がある中で「なぜ」その銘柄へ投資するのかというところまで整理しておけば、長期保有がしやすくなります。
誤解されやすい「リスク許容度」の本当の意味
投資では必ず儲かるという保証はありません。特に株式は、短期的な株価の変動が激しく、投資を始めてすぐに含み損を抱えてしまうことも珍しくありません。
ただし、株価は長期的には右肩上がりです。その長期的なリターンは他のどのアセットクラスよりも高かったというのがこれまでの歴史です。したがって、長く投資を続けていれば儲かる確率が高まるということを覚えておく必要があります。つまるところ、短期的に株価がどうあれ、長く続けていればリターンはついてくるのです。
とはいっても、短期的な株価の動きがどうしても気になってしまう、株価が下落すると不安になるという方も少なくないと思います。
この不安を払拭することはできませんが、ケアすることは可能です。それは、株価がどのように動く可能性があるのか、株式投資におけるリスクを事前に知っておくことです。
リスクと聞くと、危険性を連想するかもしれません。しかし、資産運用の世界では「リターンの振れ幅」という意味でも使われます。例えば、想定されるリターンの振れ幅が大きい(不確実性が大きい)ものをリスクが大きい、逆に想定されるリターンの振れ幅が小さい(不確実性が小さい)ものをリスクが小さい、というような使われ方がされています。
つまり、リスクが大きいということは、危険性だけが大きいという意味ではなく、リターンも大きくなる可能性があること、株価の振れ幅が大きくなることを意味しています。
期待リターンとリスク(価格変動率)から運用成績を割り出す
図2をご覧ください。この図では、期待リターンが5%、リスクが20%のケースを想定しています。この場合、期待リターンの5%を中心にして、プラスにもマイナスにも20%ずつ動く可能性があり、その範囲(-15%〜25%)に株価の変動がおさまる確率は68.3%となります。

【図2】リスクとリターンの考え方
68.3%というのは統計学の標準偏差に基づく確率です。データが正規分布している場合、データ全体の平均値±標準偏差の範囲内にデータが含まれる確率はおよそ68.3%だといわれています。
日本の年金積立金の管理・運用をおこなっているのは「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF:Government Pension Investment Fund)です。
GPIFは「基本ポートフォリオの考え方」において、国内株式の期待リターンを4%~7.5%、リスクを19.19%と見積もっています。この場合は、4%~7.5%を中心にして、プラスにもマイナスにも19.19%動く可能性があり、その範囲(-15.19%〜26.69%)に変動幅がおさまる可能性が68.3%ということになります。
株価の変動はかなり大きなものとなります。心理的な負荷がかかる局面もあるでしょう。しかし、あらかじめ株式のリスクを理解しておけば、株価の下落に対して心の準備ができます。
株式投資とはそういうものであると知っておくことは、投資を長く続けていくうえで助けとなってくれるでしょう。
長期株式投資
個人投資家
※本記事は『年に471万円が入ってくる「鉄壁配当」 後悔ゼロの“早期リタイア計画”』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。
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