少なすぎ! インデックスに勝ったアクティブ投信は何本あったか10年検証【新NISA応援】

■低コスト投信は189本だけ, ■ほとんど勝てない, ■基準価額18万円, ■ネット証券ユーザーは賢い

 アクティブ投資信託よりインデックス投資信託のほうがいいといえる根拠をデータで示す。長期でインデックス型に勝ち続けたアクティブ型が驚くほど少ない結果に。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025秋号」から抜粋しています】

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 はじめての新NISAはインデックス投資信託(以下、投信)がいいと本誌は書き続けてきた。

 日経平均株価やS&P500、全世界株式など、指数の採用銘柄を機械的に買い付けて、値動きの連動を目指すのがインデックス投信。そこに「人間の意思」はない。

 一方、アクティブ投信はファンドマネジャー(人間)がいろいろ調べて、儲かりそうな銘柄だけを積極的に買ってくれる。そう聞くと、アクティブ投信のほうがよさそうに思える。

 しかし投資の世界には「アクティブ運用は長期的にはインデックス運用に勝てない」という論もある。

 新NISAで20年、30年と続く長期の資産運用の場合、インデックス投信をメインとしたい最初の理由は運用コストが断然安いから。

 金融商品の情報を提供する、ウエルスアドバイザー投資顧問部長の武石謙作さんにデータを出してもらった(下の円グラフ)。

■低コスト投信は189本だけ, ■ほとんど勝てない, ■基準価額18万円, ■ネット証券ユーザーは賢い

■低コスト投信は189本だけ

 個人投資家が自由に買える追加型株式投信(ETF=上場投信やDC〈確定拠出年金〉およびファンドラップ専用は除く)は2025年6月18日現在、4033本。

 これらを信託報酬という運用コストを基準に分けた。さて結果は?

「信託報酬が年率0.2%未満の低コスト投信は189本、全体の4.7%。189本のうち78.3%がインデックス投信でした」

 信託報酬1%以上2%未満は2626本、全体の65.1%。その大半をアクティブ投信が占める。

 この傾向は新NISA対象投信に絞り込んでも変わらない。

「新NISAで買える投信はつみたて投資枠と成長投資枠の合計で2114本。そのうち、インデックス投信は549本です。

 インデックス投信のうち信託報酬0.2%未満のものは161本と約3割。残り388本は0.2%以上です。

 アクティブ投信で信託報酬0.5%未満のものは147本で、全1565本の1割にも満たない」(2025年6月18日現在)

■低コスト投信は189本だけ, ■ほとんど勝てない, ■基準価額18万円, ■ネット証券ユーザーは賢い

 対面の証券会社や銀行の窓口で販売される投信のパンフレットにはインデックス投信でもアクティブ投信でも「新NISA対象」と大きく書かれているケースが多い。

 あたかも新NISAの管轄である金融庁の「お墨付き」を得ているような雰囲気。しかし金融庁は「選んで」はいないし「認可」もしていない。

 新NISA対象となる投信の条件を提示し、それに合致した投信を運用会社が「届け出ているだけ」である。

「つみたて投資枠はコストなど金融庁の基準を満たした『長期・つみたて・分散(投資)』に適した投信に限定されています。

 中でも『指定インデックス投資信託』276本(2025年7月28日現在)は指数の種類まで金融庁が指定しているため、間接的に国が選んだと言えなくもないですが」

 同じつみたて投資枠でも「指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等)」

のほうは成績が微妙なアクティブ投信も目につく。

「成長投資枠にはアクティブ投信が多いです。『毎月分配型ではない』や『デリバティブ(金融派生商品)を使っていない』などの条件を満たせば高コストの投信も対象となります」

 基準が緩い!

 長期投資では信託報酬にこだわりたい。特にインデックス投信はファンドマネジャーの裁量で大きな優劣がつくわけではないので、同じ指数に連動するインデックス投信なら信託報酬が安いものを買おう。

 武石さんも「インデックス投信は年率0.2%を下回るぐらいが合格ラインといえるでしょう」とアドバイス。

■ほとんど勝てない

 長期投資はインデックス投信がいい、もう一つの決定的な理由がある。

 運用成績を見ると「は?」と言いたくなるほど、インデックス投信に勝つアクティブ投信が少ない。

 武石さんに大量のアクティブ投信を検証してもらった。1年、3年、5年、10年(10年に満たないものは1年、3年、5年)の期間でベンチマーク指数を上回ったアクティブ投信は何本だったか?

「合計13本です。S&P500に勝ったのは1本だけ。

 先進国株式(MSCIコクサイ)に勝ったのも1本だけ。

 全世界株式はMSCIワールドで検証しましたが0本。

 TOPIX(東証株価指数)に勝ったのが11本でした」

■低コスト投信は189本だけ, ■ほとんど勝てない, ■基準価額18万円, ■ネット証券ユーザーは賢い

 ここまで少ないと、どの投信が勝ったのか気になる(上の表参照)。

 S&P500に1年、3年、5年の運用成績で勝ったのは、信託報酬1.133%(年率、税込み、上限/以下同)の「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA」のみ。主要ネット証券ではSBI、楽天、マネックスで買える。

 先進国株式(MSCIコクサイ)を全期間で上回ったのは「インベスコ世界厳選株式オープン〈為替ヘッジなし〉(年1回決算型)」だけ。

 この投信は年1回決算型だが、同じシリーズの毎月決算型が純資産総額2兆3375億円(2025年7月9日現在)で大人気である。販売会社も多いが、信託報酬1.903%と高い。それを差し引いてもMSCIコクサイに勝ったのは立派だが、10年でも勝てるかは?

■基準価額18万円

 繰り返しになるが全世界株式に勝ったアクティブ投信はなかった。

「当社のカテゴリーで全世界株式に入る投信の中で、信託報酬1.65%の『野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)』は3年、5年、10年という中長期では市場平均を上回っていました。

 直近1年のリターンがMSCIワールドを下回ったので選外になりましたが、それでも直近1年で0.4%のプラスです。世界的な生成AI分野向けの半導体投資は増えていますし、見守りたい。

 2009年8月設定で、基準価額は18万3506円(2025年7月30日時点)もあります(笑)」

 じゅ、18万!? いい意味で、おばけ級……。

 この投信の組み入れ銘柄を見ると、エヌビディア32.9%、ブロードコム20.2%、台湾セミコンダクター16.5%など合計24銘柄(2025年6月30日現在)。先鋭的な集中投資が市場平均を長期間上回る成績につながっていた。

「短い期間だけ市場平均に勝つアクティブ投信はあります。中長期で見た場合、インデックス投信だけでも十分、経済成長の平均点並みのリターンは得られます」

 やはりインデックス投信だ。まずはS&P500や全世界株式を選び、つみたてをはじめる。

 そのうえで「自分は投資が大好きだ」「平均点以上に儲けたい」と考えるなら、「市場平均を上回っているか」という観点で有望そうなアクティブ投信を探して、試しに少額資金を投資してもいいが……。

 「当たり」を引き当てるのが難しいことは、武石さんの検証データ「勝ったアクティブ投信はたったの13本だけ」からもわかるだろう。

■低コスト投信は189本だけ, ■ほとんど勝てない, ■基準価額18万円, ■ネット証券ユーザーは賢い

 実際、新NISAで売れている投信はインデックス型だらけだ。ネット証券2強のSBI証券、楽天証券の新NISAで買われた投信ベスト10をそれぞれ表にまとめた。

 売れ筋について、楽天証券アセット事業部リーダーの寺原ありささんに聞いた。

■ネット証券ユーザーは賢い

■低コスト投信は189本だけ, ■ほとんど勝てない, ■基準価額18万円, ■ネット証券ユーザーは賢い

「当社の1位は『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』、2位が同『全世界株式(オール・カントリー)』です。

 3位以下も『楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド』や『楽天・全米株式インデックス・ファンド』など、低コストのものばかり。コストやパフォーマンスをチェックしながら投信のつみたてを続けていらっしゃる印象です」

 ネット証券ユーザーは賢い(人が多い)。これが営業担当者のおすすめで投信を買う投資家のランキングなら「eMAXIS Slim」は絶対に上位に入らない。

 eMAXIS Slimはネット専売のためだが、おそらく営業担当者も積極的に紹介しないのではないか。自社の利幅が薄くなるためだ。

「金融庁が新NISAのつみたて投資枠向けに提示した主な条件は、信託期間が20年以上あり、販売手数料が無料で低コストのもの。この中から好きなインデックス投信のつみたてをしてみてください」

取材・文/中島晶子(AERA編集部)、安住拓哉

武石謙作 ウエルスアドバイザー 投資顧問部長。グローバルな株式市場の調査・分析を経てファンドアナリストに。投資信託の動向・分析に関するレポートが好評

寺原(てらばる)ありさ 楽天証券 アセット事業部 リーダー。横浜市立大学卒業後、2022年に楽天証券入社。主に投資信託関連のマーケティングを行い、資産形成の情報提供

■低コスト投信は189本だけ, ■ほとんど勝てない, ■基準価額18万円, ■ネット証券ユーザーは賢い

編集/綾小路麗香、伊藤忍

『AERA Money 2025秋号』から抜粋