50代のFIREカップルは、投資戦略を"不動産"から"投資信託"に変えた。理由は「時間を多く費やしたくない」から

サイクリングを終えたルース・アン氏(左)とパートナー。
- ルース・アン氏とリュック・モーリス氏は不動産投資を通じて不労所得を得て、早期退職した。
- シンガポールとカナダ出身のふたりは、上海でキャリアを積んだ。
- 現在は投資信託を使って資産を管理し、プーケット島とカナダのあいだを行ったり来たりしている。
ルース・アン氏は30歳だったとき、プーケット島からバンコクに向かう飛行機の中で、リュック・モーリス氏に出会った。
アン氏はシンガポール、モーリス氏はカナダ出身だが、1年間の遠距離恋愛のすえに、30代前半の人生を中国でともに過ごすことに決めた。
ふたりは上海でキャリアを積み、アン氏は広告業界、モーリス氏はITコンサルタント業に携わったが、次第に時間をもっと自由に使いたいと思うようになった。
「私は、自分の時間を取り戻さなくちゃ、と強く思うようになった」と、アン氏はBusiness Insiderに語った。「そのためには、少しクッションというか、余裕が必要だった」
そこで両者は、それからの15年を使って、貯蓄に力を入れた。
「私たちは生活も遊びも一生懸命だ。だから、お金にもしっかりと働いてもらわないと」。アン氏は不労所得が、早期退職の実現に役立ったという。
両者が選んだ手段は不動産だった。
ふたりは、アン氏が48歳、モーリス氏が50歳だった2016年にリタイアした。現在、プーケット島とカナダを行ったり来たりしながら、さまざまな趣味を楽しんでいる。
投資戦略
アン氏は人生のそれぞれの段階で、投資に対して異なる見方をしてきた。
20代のころにシンガポールを去り、より大きな市場でのキャリアを追い求め始めた。最初に中国へ、次にロンドン、そしてニューヨークへと移動した。自分自身に“投資”し、立派な経歴をつくるためだ。

シンガポール出身のルース・アン氏は世界各地を渡り歩いたすえに、タイに定住した。
彼女は30代後半から40代にかけて6桁(数千万円)の収入があり、モーリス氏の収入も同じく6桁だった。この強力なポートフォリオが、ふたりにとってはローンなしで不動産を買う経済的基盤となった。
「私は借金をしたことがない」とアン氏は言う。
不動産が資産ではなく負債になってしまうことがないよう、自分たちの収入でカバーできない不動産には手を出さなかったそうだ。
この10年で、ふたりは中国と南アフリカで5つの不動産を買い、改装し、売り払った。その甲斐あって、リタイアしても大丈夫と思えるだけの貯蓄ができた。こうして経済的自立・早期退職、いわゆるFIRE達成者の仲間入りを果たした。
ふたりとも、2016年に退職し、上海からタイのプーケット島へ移住した。
リタイアから7年目の2022年、ふたりはそれまでの不動産戦略を捨て、新しい方法に乗り出した。「年をとってきたので、不動産の改装に多くの時間を費やしたくないのだ」とアン氏は語る。そこで、「流動性を高めるため」に、不動産取引で蓄えた資金を投資信託に投じた。
予算の分割
アン氏とモーリス氏は単純な形で資産を分割した。
年間予算の40%を本拠地となるプーケット島に、残りをカナダなどの別の土地への旅に費やす。
10月から3月にかけてプーケット島で過ごし、タイが暑くなる4月に南アフリカかヨーロッパへ向かう。6月から10月は基本的にカナダのケベックで暮らす。
アン氏は、子供がいないことも、経済的自立を達成するのに役立ったと付け加えた。
趣味にも真剣
引退生活に入って9年目に入ったが、アン氏はいまだに1日を短く感じ、決して退屈することがないそうだ。
「白状すると、不安が大きくなりつつある。時間があっという間に過ぎていくので、これだけしかできなかった、これだけしか旅行しなかった、これだけしか経験できなかったと思ってしまうのだ」
なぜなら、ふたりとも趣味を第2の職業、セカンドキャリアのように捉えているからだ。
「今、真剣に打ち込んでいる趣味は文学で、読むだけでなく研究もする」。さらに、自ら執筆することも検討しているそうだ。
モーリス氏はスポーツに重点を置いている。

タイでサイクリングを楽しむリュック・モーリス氏。
「リュックはプーケット島でアイアンマン競技コーチング・プログラムに少なくても週に20時間は参加している。メンバーは1年中トレーニングするのだが、5月から7月は少しペースを落とす」とアン氏は言う。それに加えて、モーリス氏はオーシャン・スイミング競技にも参加している。
共通の趣味はゴルフで、これまでスペイン南部、南アフリカ、米国西部でプレーしてきた。
最近、ゴルフ以外の目的では、イタリアのトリノや南アフリカのサファリへ旅行した。今年の夏はケベックで過ごすことになっている。
※本記事は、2024年9月26日に初出した記事の再掲です。