苦境のトヨタ1社にボロ負け…世界を席巻しているはずのEV産業すら疲弊させる、中国経済の異常なデフレ化
もはや高級車市場はない
中国経済のデフレ化が止まらない。
9月10日に発表された8月の消費者物価指数(CPI)は前年比0.4%下落し、3ヵ月ぶりのマイナスとなった。下落幅は今年2月(0.7%下落)に次ぐ大きさだ。政府の消費刺激策にもかかわらず、状況は一向に改善しない。
生産者物価指数(PPI)は前年比2.9%下落と、マイナス幅は前月の3.6%から縮小した。「政府の『反内巻(過当競争の是正)』の効果が出ている」との指摘があるが、状況がほとんど変わっていないのが実情だ。

BYDはEV市場で存在感を示すが……Photo/gettyimages
電気自動車(EV)を武器に世界市場を席巻している中国の自動車産業の「薄利多売」ぶりには驚かされる。中国の上場自動車企業16社の今年上半期の純利益の合計(約8200億円)が、トヨタの第2四半期の純利益(8413億円)を下回ったことが明らかになっている。なお、トヨタの純利益は関税の影響などで前年同期比36.9%減と大幅に減少している。
このような状況をみるにつけ、海外の自動車企業幹部からは「(値下げ競争が常態化している)中国に高級車市場はもはや存在しない」との嘆き節が聞こえてくる。
メキシコからの関税は50%に
頼みの綱の輸出も厳しくなっている。
8月の輸出はドルベースで前年比4.4%増と市場予想(5.5%増)に届かず、過去6ヵ月で最低水準だった。対米輸出は33%減と5ヵ月連続となる2桁のマイナスだった。アフリカや東南アジアなどへの輸出増でプラスを保っているが、利益が大幅に減っている可能性は高いはずだ。
米国向けだった中国製品が自国に流れ込んできていることへの警戒も強まっている。
メキシコのエブラルド経済相は10日「中国からの輸入車に課す関税率を現在の約20%から50%に引き上げる」と述べた。
ドイツでも今年に入り、中国からの製品輸入が急増しており、メキシコの動きに追随する可能性は十分にあるだろう。
不況の元凶である不動産産業は「病膏肓に入る」だ。

民間不動産最大手・万科Photo/gettyimages
民間不動産最大手の万科の短期債務の残高が3兆円を超えていることが、8月末に公表された上半期の決算から明らかになった。また売上高は前年同期比で約26%減少。純損失額は前年同期比で21.3%増加していることも判明した。
地方政府からの「輸血」がなくなれば、不動産業界でデフォルトがいつ起きてもおかしくない状況だ。
大手銀行の利ざやはリーマン・ショック時以下
不動産部門の長期の不振は、中国の金融システムにとって大きなストレスだ。
中国の4大国有銀行は長引く景気低迷で「稼ぐ力」を失っている。

政府系の中国銀行Photo/gettyimages
今年上半期の連結決算で本業の預貸業務で得た「利ざや」が2008年のリーマン・ショック後で最低水準となった。不動産分野の不良債権処理で原資が足りなくなる事態に備え、中国政府は中国建設銀行と中国銀行に対し公的資金を注入したほどだ。
全く収束の見通しがつかない中国の不況。舵取りを担う習近平の経済オンチぶりは広く知られたところだ。そんな習近平は有効な対策を講じるどころか、 社会不安をさらに広げかねない方向に歩みを進めようとしている。
つづく記事『もう爆買い中国人は戻ってこない…そして雇用・所得環境の悪化続く中国にとどめを刺しかねない習近平の悪政が始まる』にて詳しく解説する。