ホンダ新型「N-ONE e:」軽乗用EVの未来を占う

N-ONE e:概要とEV版のコンセプト, 手軽な軽EVから普及を促進, ガソリン車と同サイズのボディ, 走行性能とパワートレイン, 航続距離&充電方式, 先進運転支援システム ホンダセンシング, 電動化戦略とインフラ整備, 充電設備拡充を急ぐホンダ

ホンダは、N-ONE e:の発売にあわせて、二子玉川ライズでイベント「N-ONE e: Park(エヌワン・イー・パーク)」を開催した。その中のトークショーでは、N-ONE e:開発責任者の堀田英智氏、N-ONE e:開発デザイナーの古小路実和氏のほか、マルチタレントの谷まりあさんもゲストとして登場(写真:三木 宏章)

本田技研工業(以下、ホンダ)は、2025年9月12日、100%電気で走る軽乗用車クラスの新型BEV(以下、軽EV)「N-ONE e:(エヌワン イー)」を発売した。

【写真を見る】航続距離295kmを実現した、ホンダの新型軽乗用EV「N-ONE e:」(98枚)

2050年のカーボンニュートラル達成を目標に掲げるホンダが、国内電動化戦略の一環として進めているのが軽EVのラインナップ拡充だ。その先鞭となったのが2024年に発売した軽商用タイプの「N-VAN e:(エヌバン イー)」。新型N-ONE e:はそれに続く第2弾で、乗用タイプではホンダ初となる。

ベースには、ガソリン車の軽トールワゴン「N-ONE(エヌワン)」を採用し、レトロで愛らしいフォルムなど、全体のスタイルを継承。EVならではのスムーズな加速や取りまわしの良さ、軽EVでトップクラスとなる航続距離295kmを達成したことなどが大きなポイントだ。

ここでは、そんなN-ONE e:をホンダ主催の発表会で取材。ホンダが掲げる国内の電動化戦略に関する取り組みなども交えながら、新型モデルの主な特徴を紹介してみたい。

【写真】航続距離295kmを実現した、ホンダの新型軽乗用EV「N-ONE e:」(98枚)

N-ONE e:概要とEV版のコンセプト

ホンダは、2040年に4輪車のグローバルにおける販売比率をEVやFCEVなど100%電動車とする目標を掲げ、2050年のカーボンニュートラル達成を目指している。その戦略の一環として、国内では、まずは軽自動車など小型EVを展開する方針だ。BEVの普及がなかなか進まない国内市場では、「できるだけユーザーに身近な車種から投入する」という方法論を取っている。

そんな背景のなか、ホンダ軽EVの第1弾となったのがN-VAN e:。今回の新型N-ONE e:は、その第2弾かつ乗用タイプでは同社初となる。ベースには、ガソリン車のN-ONEを採用。今や日本一売れている軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」を擁するホンダ「Nシリーズ」に属する軽トールワゴンだ。兄弟車には、N-BOXのほかに、同じ軽トールワゴンの「N-WGN」、軽商用車の「N-VAN」など全4タイプを用意。なかでもN-ONEは、1960年代に大ヒットした名車「N360」をイメージしたレトロで愛らしいデザインや、軽トールワゴンとしては低めの全高などによる軽快で安定した走りなどが特徴だ。

手軽な軽EVから普及を促進

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N-ONE e:のスタイリング(写真:三木 宏章)

ホンダによれば、そんなN-ONEのEV版といえるN-ONE e:も、名車N360のコンセプトなどを継承している。60年代の高度経済成長期に生まれ、自家用車の急速な普及に貢献したクルマがN360。当時、多くのユーザーにとって「手が届く国民車」という存在だった。その血統を受け継ぐN-ONE e:も、BEVの普及を目指す現代において、「手が届く軽EV」となるよう開発を行ったという。

ユーザーのメインターゲットは、ガソリン車のN-ONEでも所有者の多い40代~50代の女性層。日々の買い物や通勤など、短距離移動でクルマを使うことの多い層だ。とくに車体の小さな軽自動車規格のBEVの場合、搭載バッテリーの容量に限りがあるため、1回の満充電で走行できる距離もおのずと短くなる。そういった点で、軽EVの場合は、街乗りなど普段使いを主とする顧客層をメインに据えるのは妥当といえる。

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N-ONE e:のリアビュー(写真:三木 宏章)

なお、「手が届きやすい」といえば価格も気になるところだが、新型は車両本体価格(税込み)で269万9400円~319万8800円。近年は、ガソリン車の軽自動車でも200万円を超える機種が増えている。だが、それらと比べても、200万円台中盤から300万円台というのは、やはり高い印象が否めない。ただし、後述する国や自治体の補助金があり、それらを活用すれば比較的リーズナブルに取得できる価格帯にはなっているといえるだろう。

エクステリアには、ガソリン車と同様に、「丸(ヘッドライト)・四角(サイドフォルム)・台形(後部デザイン)」といった初代N360の基本構成を踏襲。これらを現代風にアレンジした外観デザインで、ホンダではこれを「タイムレスデザイン」と呼んでいる。とくに、EV版のN-ONE e:では、ガソリン車と比べ、全体的により軽快ですっきりとしたイメージを加味する。

また、ヘッドライトはどちらも丸目2灯式だが、N-ONE e:ではハイ/ローのヘッドライト周辺に位置するリングライトに切れ目を追加。N-VAN e:のe:FUNグレードと同じで、人の瞳のように見える効果を狙った演出だ。切れ目の入り方こそ異なるが、顔つきの演出自体はN-VAN e:と同じ手法を採っている。

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N-ONE e:のフロントフェイス(写真:三木 宏章)

フロントグリルには、これもN-VAN e:と同じく、ホンダ車のバンパーをリサイクルした「バンパーリサイクル材」を採用。ブラックをベースに白や青、赤などの点模様が入った仕様になる。グリルにはほかにも、右側ヘッドライト横に普通充電の充電口を配置。また、グレードに応じて左側には急速充電の充電口も設定できるようになっている。

ガソリン車と同サイズのボディ

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N-ONE e:のサイドビュー(写真:三木 宏章)

なお、N-ONE e:のボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1545mm、ホイールベース2520mm。ガソリン車N-ONEの2WDと同じサイズで、ガソリン車4WDの場合は、全高のみ25mmほど高くなる。N-ONE e:のライバル車といえる日産自動車(以下、日産)「サクラ」のボディサイズは、全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mm、ホイールベース2495mm。サクラのほうが、やや背が高く、ホイールベースも少しだけ短いが、両車はあまり変わらないサイズ感だといえる。このあたりは、そもそも車体の規格が厳しい軽自動車だけに、ガソリン車や他メーカーと比べても大きな違いは出にくい点といえるだろう。

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N-ONE e:のインテリア(写真:三木 宏章)

インテリアでは、インストルメントパネル上部を薄さが感じられる造形とすることで、室内に広がり感を演出する。また、ステアリングを37mmドライバー側に近づけたことで、ペダル類やステアリングの操作がしやすい自然な運転姿勢を実現する。

シート形状は、座面の高さを抑えることで乗り降りがしやすく、着座時のホールド性も考慮していることが特徴。素材には、複雑な色合いで汚れが目立ちにくいファブリックを採用する。ヘッドレストは高さ調整が不要なロングタイプとすることで、大人から子供まで親子で使える仕様となっている。

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セカンドシートをすべて倒した状態の荷室(写真:三木 宏章)

ほかにも、インストルメントパネルのワイドトレー、ロングコンソールやドアロングポケットなどを備えることで、シンプルな内装ながら収納性や使い勝手にも配慮する。さらにセカンドシートは、背もたれを前に倒し荷室を拡大できるダイブダウン機構や、座面をはね上げて背の高い荷物も積載できるチップアップ機構などを採用。ガソリン車と同じ機能を持たせることで、高い利便性や積載性の良さを継承する。

なお、N-ONE e:の室内サイズは、長さ2010~2040mm×幅1300mm×高さ1170mm。ガソリン車のN-ONEが長さ2050mm×幅1300mm×高さ1195mmだから、長さと高さはガソリン車のほうが勝る。また、ライバル車サクラの室内サイズは、長さ2115mm×幅1340mm×高さ1270mm。数値的には、N-ONE e:のほうが若干だが狭い。

走行性能とパワートレイン

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フロントフード内に収められたeAxle(写真:三木 宏章)

パワートレインは、フロントフード下のコンパクトな空間(ガソリン車でいうエンジンルーム内)に、モーター、減速機(ギア)、インバーターを一体化した小型のeAxle(イーアクスル)を搭載。最高出力は47kW(64PS)、最大トルクは162N・m(16.5kgf-m)を発揮する。なお、兄弟車のN-VAN e:も、e:L4やe:FUNの場合、スペックは同等だ。

ホンダによれば、N-ONE e:は、発進や停止、交差点での右左折、駐車場での切り返しなど、街乗りで想定される運転シーンに合わせて走行性能をチューニング。EVならではの静かでスムーズな加速に加え、扱いやすく小まわりが利くハンドリングなどを実現。容量82.7Ahの走行用リチウムイオンバッテリーは、形状を低くして床下に配置。先述したガソリン車と同様の豊富なシートアレンジや、低重心化による高い走行安定性などに貢献するという。

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ボタン式のエレクトリックギアセレクター(写真:三木 宏章)

さらにN-ONE e:では、ホンダの軽自動車で初となる「シングルペダルコントロール」も採用する。これは、アクセルペダルだけで加減速から完全停車まで行える機能で、日産がハイブリッド車やBEVなどに採用する「e-Pedal Step(イーペダルステップ)」のホンダ版といえる。街中の走行や駐車時におけるペダルの踏みかえの煩わしさを軽減し、日常の運転をより快適とし、疲労軽減などにも貢献する。機能のオン・オフは、ボタン式シフトの「エレクトリックギアセレクター」右にある「アクセルペダル」のイラスト入りスイッチで操作可能だ。

なお、エレクトリックギアセレクターとは、最近のホンダ製ハイブリッド車などに採用されることの多いボタン式シフトのこと。「D(ドライブ)」「N(ニュートラル)」「R(後退)」「P(パーキング)」といった操作をすべてボタンで行う。ガソリン車N-ONEのようなオーソドックスなレバー式に慣れていると、最初は戸惑う場合もあるかもしれない。だが、慣れれば、スイッチを押すだけなので、よりイージーにシフト操作ができるだろう。

航続距離&充電方式

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充電口はフロントバンパーに配置(写真:三木 宏章)

N-ONE e:の大きな特徴として、1回の満充電で走行できる航続距離(一充電走行距離)が、WLTCモード値295kmを実現していることも挙げられる。先に登場したN-VAN e:の一充電走行距離がWLTCモード値245kmだから、より長い距離を走れることになる。また、ライバル車の日産・サクラや、その兄弟車となる三菱自動車(以下、三菱)「eKクロスEV」の一充電走行距離は、いずれもWLTCモード値180km。ライバル車と比較しても、N-ONE e:が最も長い航続距離を実現していることになる。

ホンダによれば、一充電走行距離も、このモデルの開発でこだわった点。理由は、市場調査により「EVユーザーには、短い航続距離に不安を感じる層も一定数いる」ことがわかったからだという。とくにN-ONE e:のメインターゲットとなる40代~50代の女性層などは、自宅付近の近距離移動ながら、日常的にクルマを運転するユーザーも多く、航続距離が短いと頻繁に充電を行う必要があり手間となる。そこで、N-ONE e:では、1回の満充電で、月曜から週末まで毎日20km走っても余裕のバッテリー容量を確保。週のなかで行う充電の手間を省くことで、可能なかぎり、使い勝手のいいクルマとなることを目指した。

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ホンダ パワーサプライコネクターを使用することで、さまざまな家電機器が使用可能(写真:三木 宏章)

バッテリーへの充電方式は、これも先に述べたとおり、N-VAN e:と同様に、フロントグリルの充電口に充電コネクターを差し込むことで可能だ。充電時間は普通充電で約4.5時間(出力6kW以上の場合で、満充電までのおおよその時間)、急速充電で約30分(出力50kW以上で、充電量80%までのおおよその時間)。なお、先にも紹介したように、普通充電口は右ヘッドライト横に標準装備。左ヘッドライト側に配置される急速充電の充電口は、グレード別設定だ。

さらにN-ONE e:では、これもN-VAN e:と同様、外部給電機能も搭載する。アウトドアのレジャー用途や災害時などで、オプションの「ホンダ パワーサプライコネクター(Honda Power Supply Connector)」を使用すると、各種家電の電源としてクルマが機能する。ホンダ パワーサプライコネクターをフロントグリル右の普通充電用ポートに差し込むことで、AC100V/最大出力1500Wの外部給電が可能になり、ホットプレートや電気ケトルなどの家電をアウトドアや災害時に使うことができる。

まさに「走る蓄電池」。従来、より大型のBEVやPHEVなどでもこうした機能を持つが、軽EVでも同様の機能を実現している点は注目だ。たとえば、ユーザーがガソリン車から乗り換える際などに、このモデルの選ぶ決め手のひとつに十分なりうるといえるだろう。

先進運転支援システム ホンダセンシング

先進運転支援システムでは、独自の「ホンダセンシング」を標準装備する。広い水平画角のフロントワイドビューカメラと前後8つのソナーセンサーを駆使し、車両周囲の状況を把握し、多様な状況下で運転をアシストする。N-ONE e:では、ホンダ軽自動車として初の「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」を搭載し、高速道路などでの渋滞時、自車の走行車線をキープするようステアリング操作をアシスト。適切な車間距離を保ちつつ前車を追従し、渋滞時に前車が停まると自車も停止する「渋滞追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)」とのセットで、渋滞時におけるドライバーの負担を軽減する。

また、「衝突後ブレーキシステム」もN-VAN e:に続き採用。エアバッグシステムが衝突を検知して作動したとき、衝突後ブレーキシステムがブレーキをかけるとともに駆動⼒を抑制させ、二次衝突による被害を軽減する機能だ。加えて、N-ONE e:には、アクセルペダルの踏み間違いを検知すると加速を抑制する「急アクセル抑制機能」など、全14もの機能を採用。万一のときに備えた先進機能も満載だ。

グレード展開

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e: Gグレードはナビレスとなる(写真:三木 宏章)

N-ONE e:のグレード展開は、ベーシックな「e: G」と上級グレード「e: L」の2タイプ。とくに興味深いのは、e: Gが「ナビなし」であることだ。現在のクルマでは、付いていることが「ほぼ当たり前」といえるナビゲーションのモニターを基本的に装備しない。ただし、スマートフォンと車体をブルートゥースで接続し、アプリ内の音楽などを車内で聞くことは可能。つまり「シンプルオーディオ」仕様なのだ。

ホンダの調査によれば、N-ONE e:のメインターゲットである40代や50代のユーザーには、「ナビは愛車に付いているが使ったことがない」といった人も一定数いるという。そのため、あえて標準では装備せず、欲しい人向けに8インチのディスプレーオーディオをオプション設定。また、このグレードでは、樹脂製ステアリングやカバー付き14インチ・スチールホイールを装備。フロントグリル左側の急速充電ポートもオプションで、標準装備は右側の普通充電ポートのみとなっている。

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e: Lグレードは、ホンダコネクトナビを標準装備(写真:三木 宏章)

一方、上級グレードのe: Lでは、9インチのホンダコネクトナビを標準装備。革巻きステアリングや14インチのアルミホイールなども採用する。フロントグリルの充電ポートも、普通充電用と急速充電用の両方を標準装備している。

価格と補助金

N-ONE e:の価格(税込み)は、冒頭でも述べたが、e: Gグレードが269万9400円、e: Lグレードが319万8800円だ。ベーシックでシンプル装備のe: Gは、e: Lより約50万円安くなっている。だが、ガソリン車のN-ONEの価格(税込み)は、173万4700円~217万3600円だから、やはりN-ONE e:のほうが高い印象だ。なお、ライバル車のサクラも、2グレード展開で、価格(税込み)はベースグレード「X」で259万9300円、上級グレード「G」で308万2200円。やはり、N-ONE e:のほうがやや高い設定だ。

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e: Gグレードのホイール&タイヤ(写真:三木 宏章)

いずれにしろ、新型N-ONE e:の場合、価格面で「手が届くEV」とするには、国や自治体の補助金が必須となるだろう。たとえば、2025年度の場合、国のCEV補助金は、57万4000円で、エコカー減税1万5600円も対象となる。また、自治体の補助金では、東京都在住者の場合、ZEV補助金が40万円、給電機能付きのe:Lグレードを選べばさらに10万円の補助金を受け取ることも可能だ。ほかにも、やはり東京都の居住者が、V2Hなどの充電設備を設置したり、太陽光発電設備の導入をすれば、さらに補助金の追加が期待でき、国の補助金と合わせて最大148万9600円もの補助金を利用することができる。

その場合、上級のe: Lグレードを選んでも「319万8800円-148万9600円=170万9200円」と、結果的にガソリン車並みの価格となる。もちろん、国以外の補助金は自治体によって違うため、一概には言えないが、東京都在住者の場合は、補助金の額も比較的大きい。

ちなみに、ライバル車のサクラも、補助金に関しては同様で、国の補助金57万4000円とエコカー減税1万5600円(Gグレードの場合)を利用可能。また自治体の補助金も、東京都在住者であれば、再生エネルギーの導入など条件にもよるが、N-ONE e:とほぼ変わらない額を利用できることになっている。

電動化戦略とインフラ整備

このように価格面では、今のところ、補助金ありきといえるのが、N-ONE e:に限らずBEVモデルの現状といえるだろう。また、別の問題としては、充電施設などインフラの数などもある。近年、徐々に増えてきてはいるが、BEVの普及には、まだまだ自宅および出先で充電できる場所などが必要であることも間違いないだろう。

その点に関し、ホンダ車の純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスでは、家庭用の充電器「ホンダEVチャージャー」を、N-ONE e:と同時となる2025年9月12日に発売した。

これは、一般家庭でも使用可能な単相200Vを利用してBEVなど電動車への充電を行う充電ケーブル搭載タイプの普通充電器だ。充電速度の速い6kW出力(車両側も対応する場合)を採用し、3kW出力のコンセントタイプ普通充電器と比べて充電時間を約半分に短縮することが可能。対応車種はN-ONE e:はもちろん、N-VAN e:や「ホンダe」などで、今までホンダが販売した主要なEV、PHEVへ使用が可能だという。なお、価格(税込み)は22万2200円だ(設置工事費用が別途必要)。

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従来の充電方式と、ホンダチャージ(プラグアンドチャージシステム)の違い(写真:本田技研工業)

さらにホンダでは、同じく、2025年9月12日より、EV向けの新たな充電ネットワークサービス「ホンダチャージ(Honda Charge)」の提供も開始した。BEVなどの充電インフラを手がける企業プラゴとの協業となる新サービスだ。

大きな特徴は、急速充電を可能とする「チャデモ(CHAdeMO)規格」に準拠したものとしては日本初となる「プラグアンドチャージシステム」を採用すること。BEVに充電プラグを差し込むと自動でユーザーを認証し、充電を開始するシステムだ。従来の認証用カードやスマートフォンによるユーザー認証、充電開始のボタン操作などが不要になることで、ユーザーの手間を省き、充電時間の短縮につながるという。

また、専用のスマートフォンアプリ「ホンダチャージ」の提供も開始。アプリで充電器の検索から予約、充電状態の管理や決済までを行うことを可能とする。これにより、充電までの不安やストレスを軽減。加えて、計画的な充電プランを立てられることや、決済までを一括管理できることで、BEVへの充電全体をシームレスに行うことができるという。

充電設備拡充を急ぐホンダ

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ホンダチャージに対応した充電設備(写真:三木 宏章)

なお、ホンダチャージに対応した充電器は、現時点(2025年9月11日時点)で、ホンダ車ディーラー「ホンダカーズ」の全国52店舗に設置している。また、ホンダチャージの専用アプリを利用すれば、プラゴが設置している732基(2025年9月11日現在で急速充電器103基、普通充電器629基)の充電器でも充電が可能だという。

ホンダでは、今後、ホンダチャージ対応充電器について、ホンダカーズの設置拠点を増やすとともに、全国の商業施設などへも設置数を拡大。買い物や食事の合間に効率的に充電ができるような環境作りも行う予定だ。さらに対応充電器の全体的な設置数を2030年までに数千口規模へ拡大することを目指すほか、現在はN-ONE e:のみである対応車種の拡充なども図っていくという。

このように、車両だけでなく、独自の充電インフラ整備も手がけることで、BEVなど電動車の国内普及を目指すホンダ。今後、こうした取り組みが、同社BEV販売数の底上げにつながるのか。また、国内市場にどのような影響を与えるのかが興味深い。