ファントム初号機・F-1プロトタイプが羽を休める... 岐阜基地航空祭で見たい“レア展示機”たち

【展示機はどこに?】, <岐阜に残りし2機の“オリジナル”ファントム:F-4EJ (17-8301・87-8409)>, <F-1を開発した“プロトタイプ”:T-2特別仕様機(FS-T2改) (59-5107)>, <「最後の有人戦闘機」と呼ばれた:F-104J (36-8540)>, <実は機体番号が違う:F-86F-40 (92-7897)>, <三自衛隊で使われた練習機:T-34A (61-0406)>, <天馬と呼ばれた輸送機:C-46D (91-1141)>, <ビル内にあるブルー機!?:T-4練習機 (46-5726)>

岐阜基地 2023年11月12日撮影 59-5107 三菱 FST-2改 航空自衛隊

2025年10月12日(日)、航空自衛隊岐阜基地で「岐阜基地航空祭 2025」が行われます。岐阜基地には新しい航空機やミサイルの試験などを行う飛行開発実験団(飛実)が置かれており、今年8月には創設70周年に。例年、飛実の赤白塗装をまとった機体が展示飛行を実施しています。今年の航空祭はブルーインパルスが参加しませんが、飛実に所属する各機種の異なる飛行性能に注目です。

飛実の機体による展示飛行も楽しみですが、年に1度の航空祭、そして数少ない基地公開の機会に合わせて、岐阜基地に展示されている保存機も見ておきたいところです。この記事では、かつて自衛隊で活躍し、その役目を全うした展示機の魅力や注目ポイントについてご紹介します。

【展示機はどこに?】

基地南西部の公開エリアには8機、広報館内にはF-86Fの機首部分が置かれています。また入場・退場時に三柿野駅を利用する場合には、川崎重工敷地内にあるT-4ブルーインパルス機とT-33A練習機を見ることができます。

【展示機紹介】

<岐阜に残りし2機の“オリジナル”ファントム:F-4EJ (17-8301・87-8409)>

航空自衛隊が140機配備したF-4EJファントム戦闘機。岐阜基地には初号機「17-8301」と「87-8409」の2機のF-4EJが保存されています。

初号機「17-8301」はアメリカで製造され、1971年7月に日本に空輸された機体。ファントム部隊創設のために一時は百里基地の臨時F-4EJ飛行隊に配属されていましたが、配備機数が増えてからは岐阜基地の実験航空隊(現・飛行開発実験団)に所属して、各種試験や支援任務に使われてきました。一時期は試験の様子を記録するために機首のバルカン砲を外し、代わりにカメラを装備するなど、通常のファントムとは異なる細かな改修が何度も施されました。2021年3月17日に航空自衛隊最後のファントムとして最終飛行を行うまでの50年間、日本の空を飛び続けた初号機は、今では格納庫内に保管。今年8月の飛実創設70周年記念撮影にも登場しています。今年の航空祭では、会場内のどこに展示されているでしょうか?探してみてください。

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© FlyTeam piratさん岐阜基地 2024年11月17日撮影 17-8301 マクドネル・ダグラス F-4EJ ファントムII 航空自衛隊

基地南西端の航空機展示場には、もう1機のファントム「87-8409」が置かれています。一部の雑誌やネットには“F-4EJ改”と記載されているものもありますが、実はこの機体は能力向上改修をしていないオリジナルファントム。外見上の特徴としては、両主翼端や垂直尾翼上部後端にレーダー警戒装置がない姿に注目です。2020年1月に設置された際には、2017年度に施された「陸軍各務原飛行場開設100周年・空自岐阜基地開設60年記念塗装(緑色系ピクセル迷彩)」をまとった姿でしたが、2024年3月初旬に通常機塗装に戻されています。この展示機の見どころは、主翼下面のスピードブレーキ。スピードブレーキが開いた状態で展示されており、その内側の構造を確認することができる唯一の機体です。見学した際には、ぜひ主翼下面に目を向けて見てはいかがでしょうか。

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© FlyTeam T spotterさん岐阜基地 2024年11月17日撮影 87-8409 三菱 F-4EJ ファントムII 航空自衛隊 © FlyTeam RINA-281さん陸軍各務原飛行場開設100周年・空自岐阜基地開設60年記念塗装(緑色系ピクセル迷彩)時代の「87-8409」

<F-1を開発した“プロトタイプ”:T-2特別仕様機(FS-T2改) (59-5107)>

岐阜基地に展示されている「59-5107」は、戦後初の国産戦闘機となるF-1戦闘機(当時は支援戦闘機)の開発に使われたプロトタイプ。T-2練習機の106号機と107号機を改造し、「練習機を戦闘機にするために必要な各種試験」を行いました。そのため、後席部分を電子機器室とし、後席キャノピーには内側からカバーを貼付。また垂直尾翼上端部にレーダー警戒装置を取付けたことが特徴です。展示機「59-5107」は、同じくプロトタイプとして改造された「59-5106」よりも4日早い1975年6月3日に初飛行しています。

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© FlyTeam T spotterさん岐阜基地 2024年11月17日撮影 59-5107 三菱 FST-2改 航空自衛隊

<「最後の有人戦闘機」と呼ばれた:F-104J (36-8540)>

F-104Jは、非常に薄い主翼を持つマッハ2級の戦闘機。航空自衛隊は単座のJ型を210機、複座のDJ型を20機を導入し、1962年から1987年まで運用しました。1980年代に用途廃止となった機体は、最後に岐阜基地に飛来し必要な部品等を取り外してからアメリカに返還されました。このため岐阜基地では各部隊マークの機体がズラリと並ぶ姿を見ることができました。またその一部は台湾へ供与され、数年間運用されています。このほか、14機は無人標的機に改造され、1997年3月まで使用されました。

基地南西端に置かれた「36-8540」は1963年に領収され、1984年に用途廃止(用廃)となった機体。20mm機関砲を機首左下に備えていますが、その砲口はカバーで塞がれています。

【展示機はどこに?】, <岐阜に残りし2機の“オリジナル”ファントム:F-4EJ (17-8301・87-8409)>, <F-1を開発した“プロトタイプ”:T-2特別仕様機(FS-T2改) (59-5107)>, <「最後の有人戦闘機」と呼ばれた:F-104J (36-8540)>, <実は機体番号が違う:F-86F-40 (92-7897)>, <三自衛隊で使われた練習機:T-34A (61-0406)>, <天馬と呼ばれた輸送機:C-46D (91-1141)>, <ビル内にあるブルー機!?:T-4練習機 (46-5726)>

© FlyTeam T spotterさん岐阜基地 2024年11月17日撮影 36-8540 三菱 F-104J スターファイター 航空自衛隊

<実は機体番号が違う:F-86F-40 (92-7897)>

F-86Fは航空自衛隊の創成期から1960年代の主力であった昼間戦闘機で、機首に6丁の12.7mm機銃を備えています。初代ブルーインパルスの使用機として知られています。かつては「62-7427」が展示されていましたが、1980年半ばごろに「92-7897」に交換。この時に“62-7427”という「先代の展示機のシリアルナンバー」を引継ぎました。

【展示機はどこに?】, <岐阜に残りし2機の“オリジナル”ファントム:F-4EJ (17-8301・87-8409)>, <F-1を開発した“プロトタイプ”:T-2特別仕様機(FS-T2改) (59-5107)>, <「最後の有人戦闘機」と呼ばれた:F-104J (36-8540)>, <実は機体番号が違う:F-86F-40 (92-7897)>, <三自衛隊で使われた練習機:T-34A (61-0406)>, <天馬と呼ばれた輸送機:C-46D (91-1141)>, <ビル内にあるブルー機!?:T-4練習機 (46-5726)>

© FlyTeam マクロス野郎さん岐阜基地 2024年11月17日撮影 92-7897 三菱 F-86F-40 セイバー 航空自衛隊

<練習機:T-33A (51-5663)>

航空自衛隊では1955年から1991年3月まで、パイロット養成を目的にT-33Aを運用。後継機であるT-4の登場後も各部隊で訓練支援等に使われていましたが、1999年11月に発生した墜落事故がきっかけとなって全機が退役しています。展示機は1955年にアメリカから供与された68機のうちの一機で、1965年10月11日付で用廃となりました。なお、この日には30機ものT-33A供与機が一度に用廃となっており、その多くが各地で展示機になっています。

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© FlyTeam piratさん岐阜基地 2023年11月12日撮影 51-5663 ロッキード T-33A 航空自衛隊

<三自衛隊で使われた練習機:T-34A (61-0406)>

T-34Aは自衛隊創成期の1954年に最初の10機が輸入されたのち、富士重工業(株)(現SUBARU)でノックダウン生産を経て、ライセンス生産されたレシプロ単発複座の小型機です。陸海空の三自衛隊で使われていました。航空自衛隊では初等練習機や救難機として143機が登録されていましたが、1982年度末までに全機が引退しました。展示機は航空自衛隊に最後まで残っていた4機のうちの1機で、1983年1月に用廃になりました。

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© FlyTeam T spotterさん岐阜基地 2024年11月17日撮影 61-0406 富士重工 T-34A メンター 航空自衛隊

<天馬と呼ばれた輸送機:C-46D (91-1141)>

C-46は、カーチスが開発し1940年に初飛行した輸送機。航空自衛隊では1955年から57年にかけて米軍から36機が供与され、さらに1959年に12機を購入。「天馬」という愛称をつけ、輸送任務のほか電子訓練や飛行点検、飛行試験などの各種業務で1978年まで運用されました。展示機は1959年に入手したC-46Aのうちの1機で、その後、C-46D仕様に改造された機体。1976年に用廃となりました。現在の展示機の中ではT-33Aに次ぐ古参の機体です。

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© FlyTeam いかなごのくぎ煮さん岐阜基地 2023年11月12日撮影 91-1141 カーチス C-46A-40-CU 航空自衛隊

<ビル内にあるブルー機!?:T-4練習機 (46-5726)>

名鉄三柿野駅を利用して岐阜基地へ入退場する場合、川崎重工の工場敷地を通り抜けます。川重の敷地内、駅からすぐの事務棟ビル1階フロアに展示されているのが、ブルーインパルスのT-4練習機「46-5726」です。この機体はブルーインパルス専用機として1994年に納入され、約23年間にわたり全国で展示飛行を行い、2017年2月ごろに用廃に。現在はT-4ブルーインパルス機としては初の民間貸与機としてビル内に保存されており、その希少な光景をガラス越しに見ることができます。

【展示機はどこに?】, <岐阜に残りし2機の“オリジナル”ファントム:F-4EJ (17-8301・87-8409)>, <F-1を開発した“プロトタイプ”:T-2特別仕様機(FS-T2改) (59-5107)>, <「最後の有人戦闘機」と呼ばれた:F-104J (36-8540)>, <実は機体番号が違う:F-86F-40 (92-7897)>, <三自衛隊で使われた練習機:T-34A (61-0406)>, <天馬と呼ばれた輸送機:C-46D (91-1141)>, <ビル内にあるブルー機!?:T-4練習機 (46-5726)>

© FlyTeam ヨッちゃんさん岐阜基地 2018年11月18日撮影 46-5726 川崎 T-4 航空自衛隊

岐阜基地航空祭は、滑走路を挟んで北と南にそれぞれ見どころがあります。広大な基地内を移動するのは大変なので、年に一度の公開行事とはいえ無理はせずに楽しみつつ、岐阜基地の展示機にも目を向けてはいかがでしょうか。