田久保真紀市長へのスタンスは「お話しできない」? 奇妙な伊東市議会選挙 それぞれの「迷い」と「戦略」
〈混乱の市政 伊東市長学歴詐欺問題〉①(全3回)
伊東市の田久保真紀市長が議会を解散したことに伴う市議選が12日に告示され、19日に投開票される。自身の学歴詐称問題に端を発しながら、全会一致で不信任決議案を可決されると、解散を選択した「大義なき選挙」。この選挙で何が問われるのか、3回にわたって考える。
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◆「分断をあおっている」のか
「『田久保派』か『反田久保派』かという議論自体、分断をあおっている」。静岡県の伊東市議選に立候補を予定している新人は、9月の出馬会見でそう主張した。この新人は交流サイト(SNS)での発信の内容などから、田久保真紀・伊東市長に近いとみられる。

伊東市議選のポスター掲示板。立候補予定者説明会に多くの陣営が訪れ、当初36と決められていた枠は39に増えた=静岡県伊東市で
伊東市議会で自身に対する不信任決議案が可決されたことを受け、田久保氏が議会解散を選択したことで行われる市議選。選挙後の新しい市議会で、再び不信任決議案が可決された場合、田久保氏は失職する。可決には定数20の3分の2以上の14人以上が出席した上で、過半数の賛成が必要。田久保氏にすれば、失職を回避するためには自らに近い7人以上を議会に送り込まなければならない。
◆再びの不信任案に4陣営「未定・無回答」
経緯を踏まえれば、再度の不信任決議案への態度や田久保氏との関係は、有権者が票を投じる上でも重要な情報となる。しかし、この新人は会見で、再び不信任決議案が提出された場合の対応を「未定」とし、その理由を問われ「コメントを差し控える」と答えた。田久保氏との関係もはっきりとは語らなかった。

東京新聞が加盟する伊東記者クラブと地元報道機関の合同調査では、立候補を予定する30陣営のうち、再びの不信任決議案に賛成するとしたのは25陣営で、反対は1陣営。4陣営が未定・無回答だった。
◆「田久保氏への是非は問わない」集会も
無回答だった陣営に話を聞くと、「今は忙しいから(スタンスは)お話しできない」などと言葉を濁した。どの陣営が「田久保派」かはっきりしない現状。全会一致で不信任決議案を可決した前職たちは、「田久保派」であることを隠して出馬する「ステルス戦略」を警戒する。
今回の市議選は実質的に田久保氏への評価が争点でありながら、田久保氏について語られない場面がほかにもあった。

「市民の為の市政の実現を」と書かれた田久保氏の看板=静岡県伊東市で
市長選で田久保氏を支援した有志を中心につくった「新しい伊東を創る会」が今月2日に企画した集会。「分断を乗り越える」ために「田久保氏への是非はあえて問わない」というルールで行われ、登壇した前職2人を含む立候補予定者6人は直接、田久保氏について語ることはなかった。
◆田久保市長の「ウソ」は良くないが…前職の迷い
一方、前職の中には「反田久保」の訴えの強度に迷う人もいる。「田久保市長の『ウソ』は良くないが、旧態依然とした前市長の流れに戻るのは嫌だ」という声が一部の市民から聞こえてくるからだ。
ある自民系前職は「最初は『反田久保』をきっちり打ち出した方がいいと思ったが、やめようかと思う。田久保氏への批判一辺倒ではなく、未来の話、伊東の希望も語っていきたい」と語る。それでも、この数カ月間の市政の混乱を振り返るとき、こう言うよりほかはない。「でもやっぱり、まずはあの市長を降ろさなければ」

(左)「市民の為の市政の実現を」と書かれた田久保氏の看板 (右)伊東市議選のポスター掲示板=静岡県伊東市で
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