【70歳代】いまどきシニアの貯蓄はいくらある?「平均」と「中央値」をチェック!《シニア1人あたりの医療費》はどれくらい?
- 《シニア1人あたりの医療費》はどれくらい?
- 【60歳以上】1人あたり医療費計の推移
- 【70歳代・二人以上世帯】シニア世代の平均貯蓄(平均・中央値)はいくら?
- 【個人差はどのくらい?】シニアが受け取っている「厚生年金」の平均額を見る
- 厚生年金の「平均年金月額」
- 【個人差はどのくらい?】シニアが受け取っている「国民年金」の平均額を見る
- 国民年金の「平均年金月額」
- 【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】老後の家計収支は「赤字」って本当?
- 65歳以上・夫婦のみの無職世帯の平均収入:25万2818円
- 65歳以上・夫婦のみの無職世帯の平均支出:28万6877円
- 65歳以上・夫婦のみの無職世帯の平均的な家計収支
- 【家計に関する予備知識】「エンゲル係数」って何?
- 老後のために「家計の状況に合った方法」で準備を進めていきましょう
《年金月額・ひと月の家計収支》平均額も見る

【70歳代】いまどきシニアの貯蓄はいくらある?「平均」と「中央値」をチェック!《シニア1人あたりの医療費》はどれくらい?
秋の深まりとともに、家計の将来について改めて考える方も多いのではないでしょうか。
2025年6月13日に国会で「年金制度改正法」が成立しました。
今回の改正では、多様化する働き方への対応に加え、「保険料や年金額の計算に使われる賃金の上限の引き上げ」など、注目すべき項目がいくつか盛り込まれています。
今後のライフプランを考える上で、この制度改正がご自身の将来の年金にどう影響するのか、理解しておくことが大切です。

厚生年金等の保険料や年金額の計算に使う「賃金の上限」の引き上げ
厚生年金や健康保険の保険料、そして将来の年金額を決める基準に「標準報酬月額」というものがありますが、現在(2025年10月時点)の上限は月65万円です。
実際の月収がこれを超えても、保険料や将来の年金額の計算に使われるのは65万円で「頭打ち」となり、約10%の会社員男性がこの上限に達しています。
今回の制度改正では、この「標準報酬月額の上限」が段階的に引き上げられることになりました。
標準報酬月額の上限《引き上げイメージ》
・2027年9月~:月68万円
・2028年9月~:月71万円
・2029年9月~:月75万円
これにより、高所得者は保険料の負担が増える一方で、将来現役時代の収入に見合った年金を受け取れるようになります。
こうした制度見直しを踏まえ、セカンドライフを考えるタイミングがきています。
今回は70歳代の世帯に焦点を当て、「貯蓄」「年金月額」「家計収支」の平均額について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
「シニア1人あたりの医療費」についてもご紹介します。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
《シニア1人あたりの医療費》はどれくらい?

年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)
シニア世代の医療費は、年齢を重ねるごとにかさんでいくのが一般的です。
厚生労働省「年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)」より、60歳以上の各年齢層における、1人当たりの医療費計、および診療費における「入院+食事・生活療養」の割合について見てみましょう。
【60歳以上】1人あたり医療費計の推移
・60~64歳:38万円
・65~69歳:48万1000円
・70~74歳:61万6000円
・75~79歳:77万3000円
・80~84歳:92万2000円
・85~89歳:107万1000円
・90~94歳:117万9000円
・95~99歳:125万8000円
・100歳以上:123万2000円
医療費計は、60歳代前半の38万円から90歳代後半の125万円超へと、約3.3倍に増加しています。この金額の増加を特に押し上げているのは、「入院+食事・生活療養」にかかる費用です。
70歳代までは通院が中心ですが、80歳以降では医療費の50%超を「入院+食事・生活療養」のための費用が占め、90歳代では70%に迫ります。
国の高額療養費制度を使っても、毎月の上限額の自己負担に加え、食事代や差額ベッド代(全額自己負担)といった出費が続く点にも留意が必要でしょう。
介護費用についても、生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、一時費用(※1)の合計額で47万円、月々支払う費用はひと月あたり9万円(※2)。
もちろん実際にかかる金額は、要介護度や介護をおこなう場所によっても個人差が出ます。
※1:住宅改造や介護用ベッドの購入費など
※2:いずれも公的介護保険サービスの自己負担費用を含む
厚生労働省の「令和6年簡易生命表」における、平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳。
長寿時代を見据えたライフプランには、入院が長期化したり、介護にかかる費用、その間の生活を支えるための視点が不可欠と言えるでしょう。
【70歳代・二人以上世帯】シニア世代の平均貯蓄(平均・中央値)はいくら?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」を参考に、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認していきます。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

70歳代の貯蓄額
70歳代の二人以上世帯における平均貯蓄額は1923万円ですが、この数値は高額な貯蓄を持つ世帯が平均を引き上げているため、実態以上に高く見える可能性があります。
より実態に近いとされる中央値で見ると、貯蓄額は800万円にとどまり、多くの世帯がこの水準に集中していることがわかります。
もっとも多いのは、「貯蓄ゼロ」の世帯で、全体の20.8%を占めています。
一方で、3000万円以上の貯蓄を有する世帯も約19.0%存在しており、貯蓄額の差が際立ちます。
このように、70歳代世帯の貯蓄状況には大きな格差が見られます。
貯蓄の少ない世帯では、年金だけで生活を成り立たせるのが難しいケースも考えられるでしょう。
そのため、たとえば健康なうちはパート収入を得たり、不動産収入や投資による不労所得を確保したりすることが、安定した老後の暮らしを支える上で重要となります。
では次に、厚生労働省が公表している一次資料をもとに、現役のシニア世代が実際に受け取っている年金額(厚生年金・国民年金)を詳しく確認していきましょう。
【個人差はどのくらい?】シニアが受け取っている「厚生年金」の平均額を見る
続いて、厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金の平均年金月額を確認しましょう。

《2024年12月公表:最新版》厚生年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」
厚生年金の加入者は、第1号から第4号までに区分されています(※)。
このうち、本章では民間企業などに勤務していた人が対象となる「厚生年金保険(第1号)」の年金月額に注目して見ていきます。
※記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。
厚生年金の「平均年金月額」
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
【個人差はどのくらい?】シニアが受け取っている「国民年金」の平均額を見る
次に、厚生年金への加入歴がない人が受給する国民年金(老齢基礎年金)の月額についても確認していきましょう。

《2024年12月公表:最新版》国民年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」
国民年金の「平均年金月額」
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
「厚生年金の男性平均月額を受給する夫」と「国民年金の女性平均月額を受給する妻」の世帯では、2人分を合わせた年金収入は月額22万2383円となります。
このおよそ22万円の収入で、果たしてシニア夫婦の暮らしを十分にまかなえるのかが気になるところです。
そこで次章では、総務省の家計調査報告をもとに、標準的なシニア夫婦世帯の家計収支を詳しく確認していきましょう。
【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】老後の家計収支は「赤字」って本当?

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)
65歳以上・夫婦のみの無職世帯の平均収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金):22万5182円
65歳以上・夫婦のみの無職世帯の平均支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
・食料:7万6352円
・住居:1万6432円
・光熱・水道:2万1919円
・家具・家事用品:1万2265円
・被服及び履物:5590円
・保健医療:1万8383円
・交通・通信:2万7768円
・教育:0円
・教養娯楽:2万5377円
・その他の消費支出:5万2433円
■うち非消費支出:3万356円
・直接税:1万1162円
・社会保険料:1万9171円
65歳以上・夫婦のみの無職世帯の平均的な家計収支
・ひと月の赤字:3万4058円
・エンゲル係数(※消費支出に占める食料費の割合):29.8%
・平均消費性向(※可処分所得に対する消費支出の割合):115.3%
65歳以上の夫婦世帯の家計をみると、毎月の収入は25万2818円で、その大部分を公的年金などの社会保障給付が占めています。
一方、毎月の支出は28万6877円となっており、その内訳は、日常生活費などの消費支出が25万6521円、税や社会保険料といった非消費支出が3万356円です。
注目すべきは、エンゲル係数が29.8%と高めの数値になっている点です。
エンゲル係数は食費の割合を示すもので、数値が高いほど家計に余裕が少ない傾向があるとされます。
65歳以上世帯では、食費が生活費の大きな負担となっていることが読み取れます。
また、平均消費性向は115.3%と100%を超えており、収入を上回る支出が発生している、すなわち家計が毎月赤字となっている状況であり、貯蓄を取り崩して補っているのが現状です。
シニア世代では現役時代のように安定した収入を得にくいため、この赤字が長期化すれば貯蓄の減少は避けられません。
そのため、生活設計の見直しが不可欠であり、支出を抑える工夫や、体調や生活状況に応じて短時間勤務で収入を補うといった対策も選択肢の一つとなるでしょう。
【家計に関する予備知識】「エンゲル係数」って何?
65歳以上夫婦世帯の家計でも触れた「エンゲル係数」について、なぜ家計管理において重要なのかを改めて確認してみましょう。
エンゲル係数とは、生活費全体(消費支出)の中で食費が占める割合を示す指標です。
エンゲル係数=食費÷消費支出×100(%)
たとえば、ある月の消費支出が10万円で、そのうち食費が3万円だった場合、エンゲル係数は (3万円 ÷ 10万円) × 100 = 30% となります。
一般的に、エンゲル係数が高いということは食費の割合が大きく、相対的に生活水準が低いと解釈されます。
反対に、収入が増えると教育費や娯楽費、交通費などへの支出が広がるため、食費の割合は下がり、エンゲル係数も低下する傾向があります。
ただし、エンゲル係数は世帯の年齢層や家族構成によっても変わります。
たとえば、子育て世帯では成長期の子どもの食費がかさむため高めになりやすく、高齢の単身世帯では食費が少なくても他の支出を切り詰めていることで結果的に高くなるケースもあります。
もしエンゲル係数が急に上昇したと感じた場合は、「食費が増えていないか」または「他の支出を削っている影響ではないか」を確認し、家計全体のバランスを見直すことが大切でしょう。
老後のために「家計の状況に合った方法」で準備を進めていきましょう
ここまで70歳代の貯蓄の平均値と中央値について詳しく見てきました。
これを見ると、70歳代の方は「貯蓄をしている方」と「貯蓄をしていない方」の差がかなり大きいことが分かるかと思います。
今後も物価の上昇が続く可能性を考えると、老後に余裕を持って生活をするためには、現役世代のうちから「どれくらい準備ができるのか」がポイントとなるでしょう。
老後資金の準備を目指す方法として、昨今では預貯金だけでなく資産運用を活用する人も増えてきています。
資産運用は価格変動リスクなどが伴うことも踏まえたうえで、家計の状況に合った選択をするよう心掛けましょう。
参考資料
・厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
・厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
・J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
・厚生労働省「年齢階級別1人当たり医療費」
・生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
・厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命