新首相の誕生で働き方はどう変わる?《最低賃金》《育児休業》《年収の壁》…“ひよっこ社労士”が解説します

〈《社員が就業中に転倒・入院》労基署に事故報告をせず、もみ消したい“会社の事情”とは〉から続く

新首相の誕生で働き方はどう変わる?《最低賃金》《育児休業》《年収の壁》…“ひよっこ社労士”が解説します

 高市早苗議員が自民党新総裁に選ばれたわずか6日後、「政治とカネ」の問題をめぐり公明党が連立政権を離脱した。初の女性首相か、政権交代か。波瀾含みのなか召集される臨時国会で、第104代総理大臣が指名される。新しい首相の誕生で、私たちの働き方はどう変わるのか? 

【マンガ】「ひよっこ社労士のヒナコ」第1話 前編を読む

 話題のお仕事コミック 『ひよっこ社労士のヒナコ』 (原作・水生大海/漫画・河野別荘地)の主人公、社会保険労務士の朝倉雛子(ヒナコ)が、10月から改正・施行される法令や制度をベースにわかりやすく解説します。

全国どこでも時給1000円以上

── まず、10月から変わる働き方に関連する法令や制度について、教えてください。

ヒナコ 2025年度の全国最低賃金が10月から順次、引き上げられます。これにより、すべての都道府県で時給が1000円以上になります。最高が東京の1226円で、神奈川の1225円、大阪の1177円と続きます。一方、最低は高知、宮崎、沖縄の1023円です。

 最低賃金は最低賃金法によって定められており、会社はそれ以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。これは正社員だけではなく、パートやアルバイトにも適用されます。最低賃金を下回る金額で働いているのなら、事業者に申し出てください。改善されない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。

──なるほど。育児・介護休業法でも改正があったそうですね。

ヒナコ 仕事と育児・介護を両立できるように、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や、介護離職防止のための雇用環境整備、個別周知・意向確認の義務化などの改正が行われました。

 育児・介護休業法の改正をめぐっては、4月からテレワークの努力義務化(子が3歳未満)や残業免除の対象拡大(子が小学校就学前)、入学式や学級閉鎖等の理由を可能とする子の看護等休暇の見直し(子が小学3年生終了まで)などが段階的に施行されてきました。

 この流れを受け、育児期の柔軟な働き方をさらに推し進めるために、10月からは➀始業時刻の変更②テレワーク(10日以上/月)③保育施設の設置運営等④養育両立支援休暇の付与(10日以上/年)⑤短時間勤務制度のうちから2つ以上の措置を選択することが事業者に義務づけられます。そして、労働者はこの中から1つを選択して利用することになります。

 また、労働者または配偶者が妊娠・出産などを申し出た場合、子が3歳になるまでに勤務時間や勤務地、業務量などについて本人の意向を個別に聴取することが、事業者には義務付けられました。

──子育てについては、充実した措置がとられるようになったんですね。他にはどんなことがありますか?

ヒナコ 働き方とは違いますが、後期高齢者医療制度の「2割負担」への配慮措置が10月で終了しました。2022年10月より、75歳以上で一定以上の所得を有する人の窓口負担が2割となりました。ただし、施行後3年間は外来医療にかかわる1か月分の負担増が最大でも3000円に収まるように配慮されていました。その措置が9月30日で終了したわけです。

 増大を続ける医療費はすべての世代が関心をもつべき問題なので、今後も注視が必要です。

「年収の壁」はどうなる?

──話題の「年収の壁」についてはどうでしょう。

ヒナコ 「年収の壁」とは、収入の額によって所得税の扶養控除や社会保険の被扶養者要件に影響が生じるため、働き方をセーブせざるをえない人がいることです。たとえば、年収130万円未満だと配偶者の被扶養者となることができ、厚生年金や健康保険にかかる保険料の支払が免除されます。

 この「130万円の壁」に関して、10月から19歳以上23歳未満については、収入基準が150万円未満に緩和されます。厳しい人手不足に対する就業調整対策ですね。

 また、パートやアルバイトなどの短時間労働者でも、➀年収が106万円(月給8万8000円)以上、②労働時間が週20時間以上、③2か月を超える雇用の見込み、④従業員51人以上、⑤学生でない、という要件が満たされれば、社会保険の被保険者になります。

 この「106万円の壁」に関しては、➀賃金要件や④企業規模要件は段階的に撤廃されることになりました。

 (監修・HRプラス社会保険労務士法人)

(文春コミック)

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