「次のエヌビディア」なるか…ブロードコムにたったの5年前に「100万円」投資していたら今いくらになっている?
株式投資の勝ち筋は、需要が拡大する分野の上位企業に投資することだ。需要が拡大する分野として半導体が挙げられる。エヌビディアやTSMCは投資家ではなくとも、知られる存在となった。エヌビディアに至っては世界の時価総額1位である。
これを受け、桶井道(おけいどん)氏は次のように言う。
「個人的に珍しい銘柄を探そうとせずに、素直に需要が拡大する分野の大企業の成長に乗っかると良い。半導体株には可能性を感じます。『つぎのエヌビディア』を探すのも面白い」
本稿では、『つぎのエヌビディア』として、ブロードコムに注目したい。たったの5年前に投資していたら今いくらになっているのか。また半導体株の可能性について、著書『 資産1.8億円+年間配当金(手取り)240万円を実現! おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全 』(PHP研究所)が好評な桶井氏に、解説してもらう。桶井氏は、2018年にTSMCに投資して以降、半導体株の銘柄数を増やしてきた。エヌビディアもブロードコムも保有する。
成長する「半導体」市場への投資が有望なワケ
トランプ政権になってから株価は上昇しているものの、4月の「関税ショック」は記憶に新しく、この先3年強もトランプ劇場がつづくことを鑑みると、手放しで安心とは思えません。とはいえ、長期で見ると、市場が成長する分野への投資は良い結果になる可能性が高いです。そのひとつに半導体が挙げられます。
半導体とは何か簡単に説明しましょう。電気をほとんど通さないゴムなどが絶縁体、電気をよく通す金属などが導体、その中間の性質を有するシリコンなどの物質・材料が半導体です。報道などでよく耳にしたり、私たちがイメージしたりする「半導体」は、半導体を材料に用いた「集積回路」(本稿では以降、これを「半導体」と書きます)のことになると思います。半導体は情報の記憶、数値計算、論理演算などの情報処理をおこない、電子機器などで頭脳の役割を果たしています。

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半導体は、家電製品、パソコン、スマートフォン、自動車など多くのものに使われています。AIや自動運転にも欠かせません。試しに、半導体抜きに1日生活してみようとしても、きっと私たちの生活は成り立たないでしょう。私たちの生活だけではなく、戦闘機、レーダー、誘導ミサイル、人工衛星などにも使われていますので国防にも欠かせません。
半導体は産業のコメともいわれており、今や国家の安全保障に直結し、競争力も左右する戦略物資となりました。日本、米国、ドイツなど各国が工場を誘致して自国生産に動いています。経済産業省によりますと、世界の半導体需要は、2030年には2020年と対比して約2倍の規模になるとされています。
ブロードコムとは
本稿では、「次のエヌビディア」候補として、ブロードコムを扱います。ブロードコム(ティッカーコード:AVGO)とは、どのような会社なのでしょうか。

半導体は非常に多くの工程を経て製造されます。製造工程は1000ステップを超えるとも言われます。そのため、近年では設計と製造を分離する「水平分業型」が主流となっています。つまり、設計を専門とする企業(「ファブレス」といいます)と、製造を専門とする企業(「ファウンドリー」といいます)があるということです。
ブロードコムは、無線、通信用半導体のファブレス企業です。元はAvago Technologiesという会社でしたが、2016年にBroadcom(ブロードコム)をM&Aして会社名としました。ティッカーコードがAVGOであることを謎に感じた方は、これが種明かしとなります。その後、この10年間で、Brocade、CA Technologies、Symantec Enterprise Security、VMwareをM&Aすることで成長してきました。約2万件の特許を保有しています。
主な事業としては、ASICと呼ばれる、特定の機器や用途のために必要な機能を組み合わせた半導体を提供する世界的リーダーです。顧客のニーズに合わせて、カスタマイズしたASICを提供することで業界をリードしています。2025年第3四半期にAI関連の売上高が前年同期比で63%も増加しています。同社は、第4四半期にも加速して、11四半期連続で成長すると予想しています。AI半導体銘柄として存在感が出てきました。
配当金は2011年度より支払いを始め、以降増配を続けてきました。2016~2025年度において、配当金の年平均成長率は32%もあり、配当利回りは低いものの増配株です。
株価推移と業績推移
次に、株価推移を見ましょう。M&Aにより現ブロードコムが誕生した2016年まで遡ります。
※単位はドル。株式分割を考慮済み。
2016年9月末 17.25ドル
2017年9月末 24.25ドル
2018年9月末 24.67ドル
2019年9月末 27.6ドル
2020年9月末 36.43ドル
2021年9月末 48.49ドル
2022年9月末 44.4ドル
2023年9月末 83.05ドル
2024年9月末 172.69ドル
2025年9月末 329.91ドル
株価は、2年で約1.9倍、5年で約9.1倍、9年で19.1倍です。素晴らしい成績です。
次に業績推移を見ましょう。
※ブロードコムは10月決算です。単位は百万ドルです。
決算期 売上高/営業利益/当期純利益
2017年 17,636/ 2,666/ 1,692
2018年 20,848/ 5,368/12,259
2019年 22,597/ 4,180/ 2,724
2020年 23,888/ 4,212/ 2,960
2021年 27,450/ 8,667/ 6,736
2022年 33,203/14,282/11,495
2023年 35,819/16,451/14,082
2024年 51,574/14,996/ 5,895
増収増益傾向であることがわかりました。営業利益率(3年平均)は40%ほどあり優秀です。
たったの5年前に100万円投資していたら
では、たったの5年前にブロードコムに100万円投資していたら、今いくらになっているでしょうか。
5年前となる2020年9月末の株価は36.43ドルです。為替レートは1ドル105.45円でした。ブロードコムの株価は日本円換算すると1株3841.5円となります。100万円あれば、260株(99万8790円相当)購入できます。
2025年9月末の株価は、329.91ドルです。為替レートは1ドル147.90円です。ブロードコムの株価は日本円換算すると1株4万8793.7円になりました。260株で計算すると1268万6362円です。

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100万円がたったの5年で、1268万円にもなりました。5年で約12.7倍とは、驚きの結果ですね。
半導体株をポートフォリオに入れる時代に
半導体の製造工程は、設計と製造が分離されていると説明しましたが、ほかに材料、製造装置のメーカーがあり、また水やEDA(電子設計自動化)など関連企業を含めると半導体関連株は幅広く相当な数があります。
代表的な半導体関連株の、この5年間の株価の成績をご紹介します。
※( )内はコード。株価は2020年9月終値→2025年9月終値、成績で表示。株価分割を考慮済み。
・設計(ファブレス)
エヌビディア(NVDA) 13.53ドル→186.58ドル、13.8倍(倍数は「約」、以下同様)
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) 81.99ドル→161.79ドル、2.0倍
クアルコム(QCOM) 117.68ドル→166.36ドル、1.4倍
・製造(ファウンドリー)
TSMC(TSM) 81.07ドル→279.29ドル、3.4倍
・材料
信越化学工業(4063) 2737円→4853円、1.8倍
東京応化工業(4186) 1810円→4848円、2.7倍
・製造装置
アプライド・マテリアルズ(AMAT) 59.45ドル→204.74ドル、3.4倍
ASMLホールディング(ASML) 369.27ドル→968.09ドル、2.6倍
ラム・リサーチ(LRCX) 33.17ドル→133.90ドル、4.0倍
東京エレクトロン(8035) 9110円→26360円、2.9倍
ディスコ(6146) 8470円→46510円、5.5倍
アドバンテスト(6857) 1272.5円→14650円、11.5倍
・水
栗田工業(6370) 3460円→5049円、1.5倍
オルガノ(6368) 1425円→11340円、8.0倍
・EDA(電子設計自動化)
シノプシス(SNPS) 213.98ドル→493.39ドル、2.3倍
ケイデンス・デザイン・システムズ(CDNS) 106.63ドル→351.26ドル、3.3倍
これら有力銘柄の株価をひととおり振り返りますと、半導体関連株をポートフォリオに入れる時代だと私は思います。
3つの注意事項
最後に、注意事項を3つ挙げておきます。
(1)「負け組」企業
半導体関連株であれば、何でもいいということはありません。「負け組」企業もあります。選別が重要になります。
(2)ボラティリティ
半導体関連株はボラティリティが高いことが欠点です。よって、ポートフォリオの多くを半導体関連株にしてしまうと、日々の株価の動きにハラハラさせられる可能性があります。投資の基本のひとつではありますが、セクター分散が大切です。
(3)シリコンサイクル
半導体業界でみられる景気循環で、好況と不況が3~4年程度で周期的に訪れる特徴を「シリコンサイクル」といいます。半導体関連企業の株価に影響します。
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