「マジで不便…?」 マイナ免許証、130万人が感じる“身分証1枚減”の意外な手間とは
133万人以上が保有する「マイナ免許証」
2025年3月24日、マイナンバーカードと運転免許証、運転経歴証明書の一体化が始まり、運転免許の保有方法を選べるようになった。新たな選択肢は、マイナ免許証のみ、マイナ免許証と従来の運転免許証の2枚持ち、従来の免許証のみの3通りで、取得時や更新時に希望する方法を申請できる。
【画像】マイナ免許証、知ってる? 認知度をチェック!
警察庁交通局運転免許課の発表によると、2025年6月末時点でマイナ免許証の保有者は86万8188人、7月末には109万8041人、8月末には133万4575人に達し、着実に増加している。
マイナ免許証の一体化により得られるメリットは、住所・氏名の変更手続きのワンストップ化や、更新時講習のオンライン受講、移住先の公安委員会窓口での迅速な更新手続き、更新手数料の軽減などである。特に「マイナ免許証のみ保有」にすることで、こうした利便性を最大限享受できる。
さらに、こうした制度変更は行政手続きの効率化にとどまらず、レンタカーやカーシェアといったサービスでの本人確認プロセスの標準化にもつながる可能性がある。ICチップに記録された免許情報により、利用者はスマートフォンや端末上で迅速に本人確認を済ませられるため、手続きの時間短縮や業務効率化が期待される。今後、マイナ免許証の保有者が増えることで、交通関連サービスの提供側も利用側も、よりスムーズな対応が可能になるだろう。
誤解が生じやすいメリットの一つ「オンライン講習」

オンライン講習(画像:写真AC)
ナイル(東京都品川区)が全国の男女2206人を対象に実施した調査(2025年3月発表)によると、マイナ免許証について「概要も知っている」と答えた人は全体の3割にとどまり、約5割は「聞いたことがある程度」、1割強は「知らない」と答えている。認知度は高いものの、制度内容の理解はまだ十分に浸透していないことがわかる。
例えば、更新時にオンラインで講習を受けられることはメリットとして紹介されるが、すべての人が受講できるわけではない。オンライン講習を受けるには、マイナ免許証を保有していることに加え、講習区分が「優良」または「一般」であること、そして70歳未満であることが条件となる。これらの条件を満たさなければ、オンライン講習は利用できないため、制度の条件を理解していないと「すぐに受けられる」と誤解する可能性がある。
また、オンライン講習は更新手続き全体を置き換えるものではない。視力検査や写真撮影などは従来通り免許センターで行う必要があり、オンライン受講は手続きの一部に過ぎない。とはいえ、更新時の移動や待ち時間の負担を軽減できる点は、運転者にとっての時間節約効果として評価できる。こうした効率化は、講習を受ける側だけでなく、交通安全教育を担う行政や民間のサービス提供側にとっても、運営効率の向上につながる可能性がある。
マイナ免許証のみ保有にして不便に感じたこと

さまざまな身分証明書(画像:写真AC)
筆者(小島聖夏、フリーライター)が「マイナ免許証のみ保有」を選択したことで、従来の免許証が手元にないために不便を感じた場面もあった。最大の課題は、写真付き身分証明書が1枚減ったことだ。行政手続きやクレジットカード申請の際、マイナンバーカードだけでは免許番号の提示が必要な場合があり、スマートフォンでの表示など追加手順が発生した。従来であれば、免許証を提示するだけで済む場面が多く、手間が増える形となった。
また、写真付き身分証明書を複数求められる場合にも不便さが目立った。小学生の子どものマイナンバーカードを受け取る際、保護者として顔写真付きの身分証明書2点の提出が必要となった。マイナ免許証とマイナンバーカードが1枚に統合されているため1点としてカウントされ、追加の身分証明書を用意する必要があったのだ。
さらに、紛失時の再発行にかかる時間と手間も注意点だ。従来の運転免許証再発行には通常1週間から1カ月程度を要するため、その期間は運転ができず、通勤や買い物、レンタカーやカーシェアといったサービス利用にも影響する可能性がある。物を紛失しやすい人にとっては、利便性よりも不便さが勝る場合があることを理解しておく必要がある。
こうした点を踏まえると、「マイナ免許証のみ保有」のメリットは確かに存在する一方、生活やモビリティ利用の現場では一定の制約も伴うことがわかる。利便性向上を期待する声は多いものの、制度の特性を把握した上で選択することが重要だ。
今後の利便性向上に期待

免許更新はがき(画像:写真AC)
「マイナ免許証のみ保有」は利便性の向上と同時に不便さも指摘されるが、今後は改善の余地が十分にある。これまでマイナンバーカードの更新で新カードが発行される際、免許情報は引き継がれず、再度マイナ免許証として利用するには手続きと手数料1500円が必要だった。しかし2025年9月1日以降は、新しいマイナンバーカードにも免許情報を引き継げるようになっており、更新時の手間が大幅に軽減される見込みだ。
さらに、2025年7月にはLIQUID(東京都中央区)が展開するオンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」がマイナ免許証に対応した。ICチップ内の運転免許情報とオンライン上の本人確認を照合することが可能になり、レンタカーやカーシェアの利用時など、免許証確認が必須の場面でもスムーズに対応できるようになった。この仕組みにより、従来の免許証やマイナンバーカードの提示に伴う手間が減り、モビリティサービスの利用利便性が向上する可能性が高い。
調査によれば、免許証の持ち方を選べる場合、22.5%が「マイナ免許証のみ」、37.8%が「マイナ免許証と従来の免許証の両方」、39.7%が「従来の免許証」と回答しており、約6割がマイナ免許証の取得を検討している。今後、制度の改良や利便性の向上が進めば、従来の免許証を併せ持つ必要はさらに減り、運転者やモビリティサービス提供側の負担も軽減されることが期待される。