「業務スーパー」の株を10年前に買っていたら…株価40倍の大化け株を見抜く方法

「業務スーパー」の株を10年前に買っていたら…株価40倍の大化け株を見抜く方法
日経平均が最高値の更新を続け、日本の株式市場は大きな盛り上がりを見せています。
ただ、もちろんすべての企業が好調なわけではなく、株価を落としている企業も当然存在します。
どうすれば、良い銘柄を選ぶことができるのでしょうか。プロも行う基本的な企業分析の方法を、投資顧問会社の代表で人気YouTuberの栫井駿介氏が解説します。(全4回の4回)
※本稿は、栫井駿介著『1社15分で本質をつかむ プロの企業分析』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋・再編集したものです。
身近な企業の分析から始めるべき
そうは言っても、どんな企業を分析したらよいか分からないと感じる方も少なくないのではないでしょうか。
確かに、最初から「最高の企業」を見つけ出そうとすると構えてしまいます。とはいえ、よいとも思えない企業を「推す」のはちっとも楽しくありませんよね。
そこでおすすめしたいのが、自分にとって身近な企業をまずは分析してみることです。身近な企業であれば、そこが取り扱っている商品やお店、従業員の様子を把握しやすいはずです。3C分析を行う時にも、自分が「顧客」であるならば、3つの要素のうち1つはすでに形作られているでしょうか。
例えば、洗剤などの日用品を製造・販売している「花王」が身近な方は多いと思います。普段から花王の商品を買っているとしたら、あなたがなぜそれを買うのか、スーパーやドラッグストアの棚のどれぐらいを占めているのか、価格は上がったか下がったかなどを日常的に感じることができると思います。それこそまさに、企業分析の出発点です。
最高のアナリストはあなた自身
そもそも花王は儲かっているのか、最近出した新商品にはどんな目的があるのか、花王という会社の成り立ちはどうなっているのか──そんなことを考えながらスーパーに行くだけでも、分析のヒントはごろごろ転がっています。
ついでに花王だけでなく、その商品の隣に並んでいるメーカーと比較してみると、3C分析における「競合」にまで踏み込むことができます。すなわち、スーパーに行くだけで3C分析はほとんど完了してしまうのです。
たったそれだけでよい分析ができるものかと訝る人も少なくないでしょう。確かに、証券会社のアナリストのように一つひとつの細かな数字を押さえられるわけではありません。一方で、毎日花王の商品を買いに行くアナリストは決して多くありません。
財務諸表に並んでいる数字は、あくまで過去のものです。財務分析ばかり行っているアナリストは、いつまでたっても後ろばかりを見ているに過ぎません。
それに対してあなたが今日その商品を買ったということは、どのレポートよりも最新の情報であることは間違いありません。しかも、純粋な顧客として購入していれば、単なる仮説ではないリアリティがそこにあるのです。その感覚は、どのアナリストをも上回ることができます。
実際に、消費者がアナリストに先立ってすばらしい企業を見つけられる事例というのはごろごろ転がっています。例えば、「業務スーパー」という格安スーパーマーケットチェーンがあります。元々海外からの輸入品を大量に売ることを得意としていましたが、牛乳パックに入った羊羹などのオリジナル商品も積極的に出すようになり、消費者の間で話題になりました。
その後次々に店舗展開を図り、やがてテレビなどでも頻繁に取り上げられるようになりました。
あなたは「なんだかお得そうだな。ちょっと行ってみよう」と興味本位で行って、思いのほかハマってしまうかもしれません。ここで少しだけ頭を企業分析モードにしてみると、安い商品を買えたという以上の大きなリターンを得られるかもしれないのです。
神戸物産の例
業務スーパーを運営しているのは「神戸物産」という会社です。神戸物産の株価は、この10年で約40倍になっています。私が大学生だった約15年前には、近くにあった業務スーパーによく行っていましたから、10年前に10万円でも株を買っていれば、今頃それが400万円に化けていたというわけです。これこそ「お得」な買い物ですよね。

10年前の神戸物産といえば、時価総額200億円ほどで、証券会社のアナリストもほとんどフォローしていないような状況でした。そんな時にあなた自身が「アナリスト」になることで、彼らに先んじて素晴らしい企業を見つけることができたのです。
もし、あなたが業務スーパーにハマり、「また来よう」と思えたなら、それは企業分析の本質である「未来を見通した」ということに他なりません。それは、どんなアナリストレポートよりも意義ある情報となります。
ピーター・リンチ氏は「アマチュアだからこそプロよりも素晴らしい投資を行うことができる」と言っています(重要なので、繰り返し引用いたします)。それはまさにあなた自身が「アナリスト」になるということに他ならないのです。
ぜひ今すぐ街へ出て、企業分析を始めてみましょう。
1社15分で本質をつかむ プロの企業分析

著者名 栫井駿介
発行元 クロスメディア・パブリッシング
価格 1848円(税込)
栫井 駿介/つばめ投資顧問代表 長期投資YouTuber
1986年鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業、豪BOND大学MBA修了。大手証券会社に勤務した後、2016年、つばめ投資顧問設立。現在は800名超の個人投資家を相手に、堅実かつ実践的な長期投資のアドバイスを行っている。YouTuberとしても活動し、登録者は15万人。ひとりでも多くの人に長期投資のよさを広め、実践してもらうことを夢見て発信を続けている。著書に『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』(ダイヤモンド社)『年率10%を達成する! プロの「株」勉強法』『1社15分で本質をつかむ プロの企業分析』(ともに、クロスメディア・パブリッシング)、共著として『株式VS不動産 投資するならどっち?』(筑摩書房)がある。
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