【70歳代】二人以上世帯、「貯蓄が3000万円以上ある」そんな羨ましい人はどのくらい?平均値・中央値はいくらか
老後資金、いくら貯めておけば「安心」と言える?「貯蓄目標」の決め方をアドバイス!

【70歳代】二人以上世帯、「貯蓄が3000万円以上ある」そんな羨ましい人はどのくらい?平均値・中央値はいくらか
物価や生活費の高騰が続き、将来の家計に不安を感じる方が増えています。
厚生労働省の調査によれば、高齢者世帯の55.8%が「生活が苦しい」と回答しており、多くの方が経済的な厳しさを実感しているのが現状です。

各種世帯の生活意識
特に高齢期は、そこから収入を増やしたり、支出を大幅に削減したりすることは容易ではありません。そのため、安心して老後を過ごすためには、現役時代からの計画的な「貯蓄」が不可欠と言えるでしょう。
11月に入り、年末調整や確定申告の準備を意識する方も増えてきました。ボーナスや年末の出費を見越して、家計を見直すタイミングとしては絶好の時期です。こうした時期だからこそ、「自分の老後資金は足りているのか?」と考える方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額の分布をデータで詳しく解説します。その上で、画一的な目標額ではなく、ご自身のライフプランに合った「必要な貯蓄額」を導き出すための考え方をお伝えします。
ご自身の老後設計を見つめ直すきっかけとして、ぜひご一読ください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【70歳代】二人以上世帯:金融資産保有額階層ごとの世帯割合

70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額
・平均:1923万円
・中央値:800万円
・金融資産非保有:20.8%
・100万円未満:5.4%
・100~200万円未満:4.9%
・200~300万円未満:3.4%
・300~400万円未満:3.7%
・400~500万円未満:2.3%
・500~700万円未満:4.9%
・700~1000万円未満:6.4%
・1000~1500万円未満:10.2%
・1500~2000万円未満:6.6%
・2000~3000万円未満:8.9%
・3000万円以上:19%
・無回答:3.5%
※なお、上記の金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
【70歳代】貯蓄額の実情からわかること
調査結果から見えてくる70歳代の貯蓄事情について解説します。
平均値と中央値の差
まず注目すべきは、平均値と中央値の大きな乖離です。平均値とは、全世帯の数値を合計して世帯数で割った金額であり、中央値とは、全世帯を貯蓄額の少ない順番で並べた時にちょうど真ん中に位置する世帯が保有している貯蓄額を指します。
調査結果では、平均値の1923万円に対し、中央値はわずか800万円です。つまり、半数以上の世帯が800万円以下の貯蓄しか持っていない一方で、一部の高額資産保有者が平均値を大幅に押し上げている状況が見て取れます。
「貯蓄3000万円以上」と「貯蓄ゼロ」世帯の比率
次に、資産分布の両極端に目を向けると、格差はさらに鮮明になります。
「3000万円以上」の資産を持つ世帯が19.0%いる一方で、金融資産を全く持たない「貯蓄ゼロ」の世帯も20.8%にのぼります。
高額な貯蓄を持つ裕福な層と、貯蓄がない層がほぼ同じ割合で存在しているのです。この数字も、70歳代世帯の経済格差を如実に表していると言えます。
結論:70歳代の貯蓄に「標準」はない
これらのポイントは、どちらも70歳代の二人以上世帯における貯蓄額の格差が極めて大きいことを示しています。
そのため、一般的に「普通」の指標と捉えがちな「平均値」という言葉ですが、その数値は「一般的な姿」を表すものとしての意味をなしていません。
70歳代の貯蓄事情は、ひとくくりに「標準」で語ることはできず、二極化が進んでいるのが現実であると言えます。
必要な「貯蓄額」はどうやって決めるべき?
ここからは、70歳代の貯蓄実態を踏まえて、世帯にとって適切な「貯蓄目標」を考えるためのポイントをお伝えしていきます。
収支を考える
老後に必要な貯蓄を考える第一歩は、老後の生活における「月々の収支」を正確に把握することです。
毎月の収入(年金や不動産収入など)と支出(住居費、食料費、交際費など)を詳細に分析することで、老後に必要な1月あたりの金額の参考値となります。
収支が赤字の場合は、赤字部分の補填を貯蓄金額でしていくこととなります。また、収支の見直しをする上で、削ることができそうな支出があれば削減をすることで、より長期的な老後生活の設計をすることが可能になります。
持ち家か賃貸か
住居費は、老後の支出の中で大きな差がつくポイントの1つです。
・持ち家の場合
ローンが完済していれば、毎月の住居費は固定資産税や管理費、修繕費などだけに抑えられます。さらに、居住物件を「資産」として売却して転居することも可能です。
・賃貸の場合
生涯にわたって家賃を払い続ける必要があります。これは持ち家世帯に比べて、数千万円単位で多くの資金が必要になる可能性があります。例えば、月15万円の賃貸に暮らしている場合、年間180万円を70歳から90歳まで払うとすると3600万円が必要となります。
統計によれば、65歳以上の8割以上が持ち家で暮らしていますが、賃貸物件を終の棲家とする場合は、その分の追加費用を貯蓄計画に組み込む必要があります。

65歳以上の者の住まい「住居形態ごとの割合」
「貯蓄3000万円」あれば老後は安泰なの?
調査では約2割が3000万円以上の資産を持っていましたが、この数字が老後に必要な金額ということはありません。老後に必要な貯蓄額は、その世帯の状況によって全く異なるからです。
必要な貯蓄額が異なってくるポイントとして、以下のような点が挙げられます。
・会社員として長く勤め上げた方は比較的高額な年金を受け取れるため、必要貯蓄額は少なくなる傾向があります。
・持ち家で住居関連費用が少ない場合も、必要資金は抑えられます。
・個人事業主で厚生年金に未加入の場合は、年金だけでは足りず、多くの貯蓄が必要になることがあります。
・賃貸生活を続ける場合も、継続的な支出を補うための貯蓄が重要です。
結局のところ、老後に必要な貯蓄額は、それまでの就労形態、住居状況、家族構成、生活スタイルなど、各世帯の特性によって大きく変わるものです。
そのため、自分自身の状況を冷静に分析し、個別の条件に合った貯蓄計画を立てることが重要となります。
おわりに
今回は、70歳代・二人以上世帯の貯蓄事情をデータとともに見てきました。中央値と平均値の差や、最高ランクと最低ランクの貯蓄世帯の割合から、70歳代の貯蓄額には大きな格差が存在していることがわかりました。
しかし、老後に必要な貯蓄額は世帯ごとの条件によって大きく異なります。
大切なのは他者との比較ではなく、老後の収支状況を正確に把握し、ライフプランに合った貯蓄目標を設定することです。
漠然とした不安を解消する第一歩は、自分自身の状況を客観的に把握し、具体的な計画を立てることから始まります。ぜひ、豊かな老後を迎えるための資産計画を立ててみてください。
参考資料
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
・内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)第1章 高齢化の状況(第2節 4)」