えっ、味の素も?じつは半導体ビジネスに欠かせない「意外な半導体銘柄6選」
近年の株式市場を牽引する「半導体関連銘柄」
半導体とは、電気の伝導性が絶縁体と導体の中間にある物質で、特定の条件下で電気を流したり止めたりできる特性を持つものです。絶縁体は電気を通さない物質、導体は電気を通す物質で、半導体はその中間の物質です。
そして、私たちの生活の身近なものの多くに使われています。スマートフォン、コンピュータは言うまでもありませんが、車、家電、医療機器など、現代社会のほぼすべての電子機器に不可欠な製品です。半導体を「産業のコメ」と呼ぶことがあるのは、日本人の食生活に欠かせないお米と同じぐらいモノづくりに半導体が欠かせないからです。

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例えばエアコンを自動運転モードで使用できるのは、「特定の条件下で電気を流したり止めたりできる特性」半導体が使われているからです。
近年の株式市場のスタープレイヤーの一つが半導体関連銘柄です。日経平均株価の史上最高値更新に大きく貢献したアドバンテスト(東プ:6857)はその代表です。ちなみにアドバンテストの製品が担うのは出来上がった製品の「テスト」と呼ばれる工程です。この分野で世界No.1シェアを持つ企業です。
半導体が出来上がってテストするまでには非常に大変多くの工程があります。また、多くの材料が必要です。よって、アドバンテストや半導体製造装置メーカーの東京エレクトロン(東プ:8035)だけではなく、半導体を取り巻くプレイヤーはたくさん存在しています。この記事では、実は半導体製造に欠かせない、意外なプレイヤーたちをご紹介します。
食料品大手が半導体を製造?!
■将来の稼ぎ頭になるかもしれない半導体素材を製造 味の素(東プ:2802)
味の素と言えば、日本株の食料品セクターで時価総額第2位の銘柄です。「味の素」、「ほんだし」、「Cook Do」やマヨネーズなどで日本の食卓を支えるだけではなく、海外売上高が全体の約7割を占め、今や世界の食を支える企業です。
そんな銘柄が「半導体と何の関係があるの?」と思われそうですが、立派に関係があります。
子会社である「味の素ファインテクノ」が製造している「味の素ビルドアップフィルム(ABF: Ajinomoto Build-up Film)」は1999年に製造開始され、パソコンのCPUの絶縁材に使われています。かつてCPUの広告でよく使われたフレーズをもじれば、今やほとんどすべてのパソコンには「味の素(の製品が)入ってる」です。この素材は味の素の事業の核であるアミノ酸開発の副産物として世に出ました。現在はパソコンだけではなくAI需要が増えているサーバーのCPUにも採用されています。需要増を見込み2030年までに250億円超を投じて生産能力を5割引き上げることを公表しています。
この事業分野の売上高が味の素の売上高に占める割合はまだ数%ですが、利益率が非常に高く、将来の味の素の稼ぎ頭になる可能性を秘めています。
過去1年の株価の推移を、同業といえるキッコーマン(東プ:2801)と比較してみました。ワニが口を開けたような形状で、味の素の株価は快調です。

*青:味の素 赤:キッコーマン 期間は1年
■フォトレジストで存在感増大 富士フイルム(東プ:4901)
フォトレジスト(Photoresist)は、半導体製造工程で光(紫外線など)を用いて回路パターンを基板上に形成するための感光性樹脂材料です。
「光で抵抗(resist)する」という名前の通り、光が当たった部分だけ化学反応を起こし、溶けやすくなったり(ポジ型)、逆に硬化して溶けにくくなったり(ネガ型)することで、微細なパターンを転写できます。
この分野は日本メーカーが9割のシェアを持ち、AI・自動運転向け高性能半導体の微細化需要を追い風に急成長中です。その一角を占めるのが富士フイルムです。味の素がアミノ酸製造の副産物を半導体素材にしたのと同様、富士フイルムもかつての主力事業であった写真用フイルム技術のノウハウで高純度・均一性を実現し、TSMCなどに供給しています。
2024年度の半導体分野の売上高は約2,500億円でしたが、2030年に4,000億円に成長させる計画を持っています。
1950年代から半導体事業をスタート
■粘着テープメーカーが提供する半導体素材 日東電工(東プ:6988)
創業は1918年。粘着テープやフィルムなどの材料メーカーです。
1970年代に電子材料へ進出、1980年代から半導体分野に特化。1990年代の「Global Niche Top」戦略で、ニッチ市場でのシェア獲得を加速させました。顧客の細かい要望に応えながら、半導体製造工程の「保護・固定・絶縁・接着」ニーズを支える企業です。
2024年9月:に米IBMと半導体パッケージ材料の共同開発契約を締結し、2023年からの中期経営計画に続いて2025年には回路基板・半導体分野に3年で750億円の投資を行うことを発表しています。
過去1年はTOPIXを大きくアウトパフォームしており、株価は絶好調です。
■ゲームだけではない ソニーG(東プ:6758)
イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野で世界をリードするCMOSイメージセンサー(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor Image Sensor)のトップメーカーです。CMOSセンサーは、光を電気信号に変換する半導体デバイスで、低消費電力・高速処理・高集積化が強みです。

CMOSイメージセンサー『IMX927』/ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社リリースより
この事業は子会社が主導し、スマートフォンカメラから産業機器、自動車、医療まで幅広い用途で活用されています。 iPhoneやSamsung製スマートフォンのカメラに採用されていますから、お世話になっている方が多いでしょう。
半導体事業のスタートは早く1950年代でした。1970年代にはCCDで世界No.1シェアを持っていましたが、2000年代初頭にCCDからCMOSへシフトし、現在は世界市場の金額シェア約53%を占め(2024年実績)、2025年には56%へ拡大の見込みです。
近年は株価が非常に好調で、時価総額は東証プライム市場でTop5に入ります。
露光装置でかつての栄光再び
■露光装置でかつての栄光を取り戻せるか ニコン(東プ:7731)
ニコンと言えば、50代ぐらいであればまず思い浮かべるのはカメラだと思います。
かつてカメラと言えばフィルムカメラで現在はデジタルカメラになっても、ニコンの事業の柱です。
しかし、ニコンには半導体製造装置でかつて高いシェアを持っていた事業があります。半導体露光装置です。一言で言えば、半導体チップの設計図をシリコンウェハーに焼き付ける超精密プリンターです。半導体は非常に小さくて大きい物でも人間の親指の爪程度です。その中に人間の髪の毛の1万分の1ぐらいの回路を多数埋め込みます。つまり設計図を焼き付けるプリンターはものすごく細かい作業をしてくれる装置です。
ニコンは1980年代にこの事業に参入し、80年代から90年代は世界No.1シェアを持っていました。その後、世界No.1シェアはオランダのASMLホールディングに奪われましたが、2020年代に入ってから、ASMLホールディングがほぼ寡占状態である分野とは違う領域で新製品を発表し、ニッチ市場でのシェアを獲得しようとしている途上です。
株価はTOPIXをアンダーパフォームする状態が約1年続いています。PBRが1倍を割れており出遅れ物色の対象としての投資妙味はありそうです。
■半導体製造に欠かせない超純水製造装置メーカー 野村マイクロサイエンス(東プ:6254)
半導体製造工程において、製造装置でもなく素材でもないのに欠かせないものがあります。「超純水」です。
半導体製造の各工程では「洗浄」が命とも言えます。不純物が残るとショートを引き起こすなど「欠陥品」になります。ですから、不純物が含まれない超純水で洗い落とします。半導体製造の世界では水道水は人間にとっての海水のようなものだそうで、半導体製造用にピュアな水が必要です。
野村マイクロサイエンスはこの「超純水」を製造する装置専業メーカーです。半導体製造を陰で支えるメーカーと言っていいでしょう。
2025年は5月に出した2026年3月期業績予想が前年を下回ることを理由に大きく売られましたが、その後株価は急回復しています。