ブリヂストンの次世代タイヤ技術がすごい。「空気不要」次世代タイヤ、世界初の廃タイヤ「水平リサイクル」も

さまざまな新技術を展示しているブリヂストン。

11月9日まで開催中の日本最大級の自動車イベント「Japan Mobility Show 2025」(JMS)(旧東京モーターショー)で、ブリヂストンが廃タイヤを水平リサイクルする技術や、空気充填不要でパンクしないタイヤなど先進技術を展示している。

同社の主力事業であるタイヤ事業は石油由来の原材料を使うため、新技術の開発とともに環境負荷軽減に取り組む企業メッセージを全面に押し出した形だ。

2つの手法がある廃タイヤの「水平リサイクル」

ブリヂストンが公開した技術は、廃タイヤを回収・裁断後、熱処理を加え、新たなタイヤの原料として再生する方法。同社が世界で初めて成功した。

リサイクル業界では、使用済み素材を回収して加工し、再度同じ材料(製品)を作り出すことを「水平リサイクル」と呼ぶ。ゴミの排出と原料消費の両方を削減することで持続可能性への寄与が高いことから、理想に近いあり方の1つと言える。

タイヤの「水平リサイクル」には、熱処理した廃タイヤから生まれる炭素の微粒子「カーボンブラック」からタイヤを再生するマテリアルリサイクルと、熱処理した廃タイヤを油状になるまで分解・精製した油から再生するケミカルリサイクルの2パターンがある。

廃タイヤの水平リサイクルの流れ。

前者が東海カーボン(東京都港区)、後者がENEOSとそれぞれタッグを組み、このうち、前者のマテリアルリサイクルの手法に関しては、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実証事業として採択している。

展示ブースの説明員は「どちらの技術も難しい」とした上で、カーボンブラックから再生するリサイクル法について「廃タイヤを普通に燃やすと不純物が混じり、タイヤとして再生した際、タイヤの補強力を下げてしまい、摩耗しやすいタイヤになる」と説明。そうした課題を連携する東海カーボンの特殊技術を使うことで、従来の新品タイヤに近い品質で再生可能だという。

ブリヂストンが展示している、世界初の水平リサイクルタイヤのコンセプトモデル。

現在は「技術センター/東京ACタイヤ製造所」(東京都小平市)で実証を重ねているが、2027年には関工場(岐阜県関市)にプラントを建設し、商用化に向け本格的に乗り出す。ブースの説明員はNEDOの実証事業であることから「2030年が一つのターゲットになる」としている。

使用済タイヤの精密熱分解パイロット実証プラントを建設する関工場。

“日の丸タイヤ”復権、モータースポーツは「走る実験室」

水平リサイクルしたタイヤの検証の場の一つとして、ブリヂストンが期待を寄せるのがモータースポーツの世界だ。同社は2024年から国内最大級のモータースポーツ「スーパー耐久シリーズ」にオフィシャルタイヤサプライヤーとして参画(期間は最大5年間)している。

国内最大級のモータースポーツ「スーパー耐久シリーズ」。

「スーパー耐久シリーズ」で使用するタイヤ。

加えて、2026年には2010年に世界最高峰の自動車レース「フォーミュラ・ワン」(F1)からの撤退以来、約15年ぶりにグローバルモータースポーツの世界に“日の丸タイヤ”が帰ってくる。

同社はFIA(国際自動車連盟)が主催するバッテリー式電気自動車(BEV)のレース「フォーミュラE」に2026-2027シーズンから単独タイヤサプライヤーとして参戦することが決まっている。

EVレース「フォーミュラE」。