ホンダの軽EV「N-ONE e:」に期待が膨らむ理由

軽自動車のN-ONEをベースにEV化, グレードはシンプルに2種類, 運転席やドライビングポジション, BEVとしての動力性能, ホンダ初のシングルペダルコントロール, ハンドリングについて, 航続距離は295kmを実現, 先進運転支援システム「ADAS」, 充電方法・充電設備, ホンダチャージの普及状況, 補助金の活用でガソリン車と変わらない価格に

N-ONEの利便性はそのまま、電動化したホンダの軽EV「N-ONE e:」(写真:三木 宏章)

ホンダの軽乗用車クラスBEV(以下、軽EV)「N-ONE e:(エヌワン イー)」に試乗した。

【写真を見る】ホンダの軽乗用車クラスBEV「N-ONE e:」の内外装。無限やホンダアクセスのパーツなども紹介(72枚)

2025年9月12日に発売された当モデルは、ガソリン車の軽トールワゴン「N-ONE(エヌワン)」をベースに、レトロで愛らしいフォルムなど、全体のスタイルを継承。100%電気で走るBEV化による加速フィールの向上、小粋な車体が生む抜群の取りまわし、軽EVでトップクラスとなる航続距離295kmなどが主なトピックだ。

ここでは、そんなN-ONE e:をホンダ主催のメディア向け公道試乗会で試乗。実際にどのような乗り味を体感できるのか、神奈川県横浜市内の市街地をメインに試してみた。

【写真】ホンダの軽乗用車クラスBEV「N-ONE e:」の内外装。無限やホンダアクセスのパーツなども紹介(72枚)

軽自動車のN-ONEをベースにEV化

2050年のカーボンニュートラル達成へ向け、2040年に4輪車のグローバルにおける販売比率をEVやFCEVなど100%電動車とする目標を掲げるホンダ。その戦略の一環として、国内では、まずは軽自動車など小型EVを展開する方針だ。そんなホンダの電動化戦略において、2024年に発売した軽商用EVの「N-VAN e:(エヌバン イー)」に続く第2弾、乗用タイプでは初となるのがN-ONE e:だ。

ユーザーのメインターゲットは、ベースとなったガソリン車のN-ONEでも所有者の多い40代~50代の女性層。日々の買い物や通勤など、短距離移動でクルマを使うことの多い層だ。とくに車体の小さな軽自動車規格のBEVの場合、搭載バッテリーの容量に限りがあるため、1回の満充電で走行できる距離もおのずと短くなる。そういった点で、軽EVのN-ONE e:では、街乗りなど普段使いを主とする顧客層をメインに据えるという。

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N-ONE e:の外観。ボディカラーは、新色のチアフルグリーン。このほか、プラチナホワイト・パール、ルナシルバー・メタリック、フィヨルドミスト・パール、シーベットブルー・パールの全5色を設定(写真:三木 宏章)

エクステリアでは、ベースのガソリン車N-ONEの基本コンセプトを踏襲。1960年代に大ヒットした名車「N360」をイメージしたレトロで愛らしいデザインや、軽トールワゴンとしては低めの全高などによる軽快で安定した走りなどを特徴とする。

実際に見た印象は、ガソリン車と比べ、さらにつるりとしたボディ形状などを採用し、軽EVらしいクリーンな印象としている。また、ハイ/ローのヘッドライト周辺に位置するリングライトに切れ目を入れることで、まるで人の瞳のような印象も加味。顔付きに、ちょっとした生命感を与える演出も施している。

なお、フロントグリルには、ホンダ車のバンパーをリサイクルした「バンパーリサイクル材」を採用。N-VAN e:から採用しているこの素材は、ブラックをベースに白や青、赤などの点模様が入る仕様で、ひとつとして同じ模様にはならないという。これにより、エコであることはもちろん、1台1台に個性を演出する効果も生み出している。

グレードはシンプルに2種類

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上級グレードとなるe: Lのインテリア(写真:三木 宏章)

ラインナップは、ベースグレードの「e: G」と、今回試乗した上級グレードの「e: L」の2種類。違いは、e: Gが「ナビなし」なこと。現在のクルマでは「ほぼ当たり前」についているナビゲーションのモニターを基本的に装備しない仕様なのだ。

ただし、スマートフォンと車体をブルートゥースで接続し、アプリ内の音楽などを車内で聞くことは可能。つまり「シンプルオーディオ」仕様だといえる。「ナビは愛車についているが使ったことがない」といった人に対応した設定で、欲しい人向けにオプションで8インチ・ディスプレーオーディオも用意している。

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N-ONE e:のリヤビュー(写真:三木 宏章)

一方、e: Lグレードでは、9インチのホンダコネクトナビを標準装備。本革巻きステアリングや14インチのアルミホイールなども採用する。e:Gが樹脂製ステアリングやカバー付き14インチ・スチールホイールを装備するのに対し、より高級感を演出する。

また、フロントグリルの充電ポートも、e:Gは右側ヘッドライト横に普通充電用のみを装備。対するe: Lは、左側に急速充電用も標準設定する(e:Gはオプション設定)。ちなみに、価格(税込み)はe: Gグレードが269万9400円、e: Lグレードが319万8800円。グレード間で約50万円の価格差となっている。

運転席やドライビングポジション

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N-ONE e:の運転席および助手席(写真:三木 宏章)

運転席に座った印象は、ガソリン車のN-ONEと同じ乗車位置ながら、ステアリングを37mmドライバーに近づけたことで、小柄な人でもステアリングを遠く感じないような工夫を施している。シートはホールド性がよく、座面の高さを抑えることで乗り降りもしやすい。また、運転席からの視界も良好で、フロントフードの先端や左右端が見やすいため、前の車との間隔をつかみやすく、細い路地などでの見切りはよかった。

ちなみに、N-ONE e:の室内サイズは、長さ2010~2040mm×幅1300mm×高さ1170mm。ガソリン車のN-ONEが長さ2050mm×幅1300mm×高さ1195mmだから、さほど狭くなっていないことも注目点だ。ホンダによれば、これは容量82.7Ahの走行用リチウムイオンバッテリーの形状を薄くし、床下に配置したことがポイント。室内の広さはもちろん、先に述べたとおり、着座位置もほぼ変えずにキープしているのだという。

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N-ONE e:のラゲージスペース(写真:三木 宏章)

また、荷室の広さやセカンドシートのアレンジなども同様。背もたれを前に倒し荷室を拡大できる「ダイブダウン機構」や、座面をはね上げて背の高い荷物も積載できる「チップアップ機構」など、ガソリン車と同じ機能を持たせることで、高い利便性や積載性のよさを継承している。

BEVとしての動力性能

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N-ONE e:のシフトボタンまわり(写真:三木 宏章)

パワーボタンを押すと、走行可能な状態となる。シフトを「D(ドライブ)」モードに入れ、アクセルペダルを踏み込むと、かなりスムーズな発進加速を味わえる。しかも、パワーの出方がBEVにありがちなドッカンと過度な感じではないので、ガソリン車から乗り換えても違和感が少なく、街中を普通に走れる印象だ。メインターゲットの40~50代女性などでも扱いやすい、ソフトな出力特性だといっていいだろう。

広い幹線道路などで60km/h程度の速度で交通の流れに乗って走るときも、アクセル操作に対してリニアな加速力が発揮され、余裕で流れに乗れる。また、かなり急な勾配の登り坂でも同様。ガソリンエンジンの軽自動車では、アクセルペダルをかなり踏み込まないと登らないような勾配の坂でも、パワー不足をまったく感じることなく、グングンと進んでいく。

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筆者による試乗シーン(写真:三木 宏章)

今回の試乗では、高速道路を走行していないため、80km/h以上の速度域などについてはなんとも言えない。だが、少なくとも市街地を乗るぶんには、多くの道でほぼストレスを感じずに乗れるといえるだろう。とくにN-ONE e:は、前述のとおり、市街地の走行をメインに開発されているが、出力特性がスムーズかつソフト、そしてトルクフルだ。

ホンダの開発者によれば、発進のスムーズさや登坂能力には駆動トルクが重要だが、N-ONEe:は、コンパクトカーの「フィット」と同等。駆動トルクで1720N・mというスペックを持つという。つまり、車格は軽自動車だが、走りに関してはひとクラス上の余裕を持つというわけだ。

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ボンネット内に収められたパワートレイン(写真:三木 宏章)

なお、N-ONE e:のパワートレインは、フロントフード下のコンパクトな空間(ガソリン車でいうエンジンルーム内)に、モーター、減速機(ギア)、インバーターを一体化した小型のeAxle(イーアクスル)を搭載。最高出力は47kW(64PS)、最大トルクは162N・m(16.5kgf-m)を発揮する。なお、これらスペックは、兄弟車のN-VAN e:も、e: L4やe: FUNの場合であれば同等となっている。

また、N-ONE e:のシフト操作は、ホンダ独自の「エレクトリックギアセレクター」で行う。これは、最近のホンダ製BEVやハイブリッド車などに多いボタン式シフトだ。N-ONE e:の場合は、上から「P(パーキング)」「R(後退)」「N(ニュートラル)」「D(ドライブ)」といったボタンが並び、いずれかを押すことで操作可能だ。

加えて、セレクターの右側上には、「イーコン(ECON)」モードのスイッチも配置する。これは、状況に応じエアコンの送風量など各部の制御で、電費などを向上させるモードだ。このモードでも、先ほどの急な上り坂を登ったが、スムーズさは同様。これも、ホンダの開発者によれば、イーコン・モードにしても低速トルクなどは同じなので、登坂能力に変化はないとのこと。通常のDモードと同様、急な上り坂でもストレスのない走行を味わえるという。

ホンダ初のシングルペダルコントロール

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イーコン・モード用のスイッチの下にシングルペダルコントロールのスイッチを配置(写真:三木 宏章)

エレクトリックギアセレクターの右側、イーコン・モード用スイッチの下には、「アクセルペダル」のイラスト入りスイッチもある。ホンダの軽自動車で初採用となる「シングルペダルコントロール」のオン・オフ用スイッチだ。これは、一般的に「ワンペダル操作」と呼ばれる機能で、アクセルペダルだけで加減速から完全停車までを可能とする。

日産がハイブリッド車やBEVなどに採用する「e-Pedal Step(イーペダルステップ)」のホンダ版といえる機能だ。街中の走行におけるペダルの踏みかえの煩わしさを軽減し、日常の運転をより快適とし、疲労軽減などにも貢献するという。

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N-ONE e:のサイドビュー(写真:三木 宏章)

実際に、このモードで走行してみる。走行中に前方の信号が赤に変わったため、ゆっくりとアクセルペダルを離してみると、減速がかなりゆるやかで、ギクシャクせずに完全停止まで可能だった。ただし、この際、アクセルペダルを離すタイミングなど、コツがつかめないと、停止線などの手前で停まりそうになり、アクセルを追加で踏むことになる。

だが、サクラなどの日産車と比べると、減速度がさほど強くないため、アクセルペダルを離す操作はさほどシビアではない。ややラフにアクセルペダルの操作をしてもギクシャクしづらいのだ。おそらく、N-ONE e:に初めて乗った人や、ワンペダル操作に慣れていない人でも、その日のうちにコツをつかめるのではないかと思う。

ただし、駐車場の入庫などでバックする際は、シングルペダルコントロールの機能をオンにしたままだとスムーズに走りにくいので注意したい。通常、バックするときは、まず、アクセルペダルを踏んで後退し、速度が上がるとペダルを離し、ブレーキペダルで速度を調整しつつ、ゆっくりと後退させる。だが、このモードでは、アクセルペダルを離すと思った以上に減速するため、車体がギクシャクしやすく、車両をスムーズに後退させるのが難しい。バックする時は、通常のDモードにする方がおすすめだ。

ハンドリングについて

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N-ONE e:のリヤまわり(写真:三木 宏章)

ハンドリングに関しても、N-ONE e:は街乗りなど普段使いをメインにした設定だといえる。ホンダの開発者によれば、「電動ステアリングのレシオを街乗りに最適化」しているという。実際に、ステアリングはとても軽く、切れ角も十分にある。

また、操作に関して車体がリニアに反応し、思いどおりにクルマが進んでくれる。狭い駐車場やタイトなUターンなどでも、少ない操舵で旋回し、小まわりが利くといえる。なお、最小回転半径は4.5mを実現。このクルマのメインフィールドといえる市街地では、幅広い場所やシーンで運転しやすい仕様といえるだろう。

加えて、サスペンションは硬すぎず、柔らかすぎない絶妙なセッティングだ。凹凸のある段差などでもしっかり踏ん張るため、ゴツゴツ感や突き上げ感はほぼない。逆に、ソフト過ぎてフワフワする感じもない。乗り心地を確保しつつ、安定性も両立しているといえる。

もちろん、今回は、高速道路などで試乗していないため、より速度域の高い場所でどうなのかは不明だが、街乗りだけでいえば、かなり快適な走りを味わえるはずだ。

航続距離は295kmを実現

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e: Lグレードは、普通充電に加え、急速充電ポートも標準で備える(写真:三木 宏章)

N-ONE e:は、一充電走行距離(1回の満充電で走行できる航続距離)が、軽EVでトップクラスのWLTCモード値295kmを実現。先に登場したN-VAN e:のWLTCモード値245kmを上まわる。両モデルのパワートレインやバッテリーなどはほぼ同じなのに、なぜN-ONE e:は航続距離がより長いのか。

理由は、まず、全高がより低いこと。N-ONE e:のボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1545mmで、ガソリン車N-ONEの2WDと同じ。対して、N-VAN e:のボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1950~1960mm。全長や全幅は同じだが、全高はN-VAN e:より405~415mm低い設定だ。そのため、より空気抵抗を低減でき、優れた電費や航続距離に貢献するという。

また、車両重量がより軽いことも理由のひとつ。両モデルの車両重量は、N-ONE e:が1030kgなのに対し、N-VAN e:は1060~1140kg。最大110kgもの差がある。そして、これら理由により、WLTCモード値で50kmも長い航続距離を実現しているのだ。

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普通充電ポートでの充電シーン(写真:三木 宏章)

ちなみに、バッテリーの充電は、N-VAN e:と同様に、フロントグリルの充電口に充電コネクターを差し込む方式となる。充電時間は右側の充電ポートを使う普通充電で約4.5時間(出力6kW以上の場合で、満充電までのおおよその時間)。左側の充電ポートを使う急速充電の場合で約30分(出力50kW以上で、充電量80%までのおおよその時間)だ。

また、N-ONE e:は、外部給電機能を搭載することもN-VAN e:と同じ。オプションの「ホンダ パワーサプライコネクター(Honda Power Supply Connector)」をフロントグリル右の普通充電用ポートに差し込むことで、AC100V/最大出力1500Wの外部給電が可能だ。ホットプレートや電気ケトルなど、各種家電の電源としてクルマが機能し、アウトドアのレジャー用途や災害時などの「走る蓄電池」として使うこともできる。

こうした機能は、近年、災害が多発する日本において、「まさかの時の備え」として注目されているもの。ガソリン車のN-ONEにはない機能だけに、ユーザーがこのモデルを選ぶ決め手のひとつになる可能性は十分にある。

先進運転支援システム「ADAS」

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N-ONE e:のメーター(写真:三木 宏章)

先進運転支援システムでは、独自の「ホンダ センシング」を標準装備する。とくにN-ONE e:では、ホンダ軽自動車で初となる「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」を搭載。車速が0~65km/h未満で作動するこのシステムは、渋滞路など低速走行時に車線を維持し、車体がふらつかないようにステアリングをアシストする機能だ(高速道路などで、65km/hを超えると車線維持支援システム「LKAS」が作動する)。適切な車間距離を保ちつつ前車を追従し、渋滞時に前車が停まると自車も停止する「渋滞追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)」とのセットで、渋滞時におけるドライバーの負担を軽減する。

また、利便性の高い装備としては、独自のコネクティッドサービス「ホンダ コネクト」も、軽EV向けに最適化を図っている。会員制サポートサービス「ホンダ トータル ケア(Honda Total Care)」のIDを取得することで、スマートフォンアプリから充電状況の確認や各種リモートでの操作を可能とする。

標準機能には、バッテリー残量、航続距離、充電完了の予定時間などをアプリ上で確認できる「充電状態リモート表示」を採用。「お出かけ前タイマー設定」は、アプリで出発時間をタイマー設定すると、エアコンで車内を快適な温度に調整。充電プラグの接続時は、外気温に応じてバッテリーを最適な温度にコントロールする。とくに、外気温が低い冬場でもバッテリーが温まった状態で走行できることで、航続距離最大化に寄与するという。ほかにも、バッテリーの充電時間帯を曜日単位で設定できる「充電待機時間設定」など、全6つの機能を無料で利用可能だ。

また、e: Lグレードでは、「Hondaリモート操作」「緊急サポートセンター」「自動地図更新」が利用できる「ホンダ トータル ケア プレミアム」なども選択可能。有料のサービスにはなるが、より便利な機能を使うことができる。

充電方法・充電設備

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家庭用の充電器「ホンダEVチャージャー」による充電シーン(写真:三木宏章)

ちなみにホンダでは、N-ONE e:の発売と同時に、自宅および出先で充電できるインフラの整備にも乗り出した。

まず、ホンダ車の純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスでは、家庭用の充電器「ホンダEVチャージャー」を発売。一般家庭でも使用可能な単相200Vを利用してBEVなど電動車への充電を行う充電ケーブル搭載タイプの普通充電器だ。充電速度の速い6kW出力(車両側も対応する場合)を採用し、3kW出力のコンセントタイプ普通充電器と比べ、充電時間を約半分に短縮することが可能だ。

対応車種はN-ONE e:はもちろん、N-VAN e:や「ホンダe」などで、今までホンダが販売した主要なEV、PHEVに使用できる。N-ONE e:の場合、約4.5時間で満充電が可能だ。なお、価格(税込み)は22万2200円だ(設置工事費用が別途必要)。

また、EV向けの新たな充電ネットワークサービス「ホンダチャージ(Honda Charge)」の提供も開始した。BEVなどの充電インフラを手がける企業プラゴとの協業となる新サービスだ。

主な特徴は、急速充電を可能とする「チャデモ(CHAdeMO)規格」に準拠したものとしては日本初となる「プラグアンドチャージシステム」を採用すること。BEVに充電プラグを差し込むと自動でユーザーを認証し、充電を開始。認証用カードやスマートフォンによるユーザー認証、充電開始のボタン操作などが不要で、ユーザーの手間や充電時間の短縮に貢献する。

また、専用のスマートフォンアプリ「ホンダチャージ」の提供も開始。アプリで充電器の検索から予約、充電状態の管理や決済まで可能。対応する充電器を事前に取り置きできる機能なども有する。

ホンダチャージの普及状況

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N-ONE e:の走行シーン(写真:三木 宏章)

ホンダチャージに対応した充電器は、現時点(2025年10月22日時点)で、ホンダ車ディーラー「ホンダカーズ」の全国52店舗に設置。また、ホンダチャージのアプリ、もしくはプラゴのアプリのいずれかを利用することで、プラゴが設置する732基(2025年10月22日時点で急速充電器103基、普通充電器629基)の充電器も利用可能だという。

さらに、ホンダでは、今後、ホンダチャージ対応充電器について、ホンダカーズの設置拠点を増やすとともに、全国の商業施設などへも設置数を拡大。買い物や食事の合間に効率的に充電ができるような環境作りも行う予定だ。

なお、このサービスは、ホンダだけでなく、他メーカーのBEVでも利用可能だ。また、入会金や基本料金が無料なのもうれしい。さらに、プラグアンドチャージシステムの対応車種は、現在、N-ONE e:のみだが、ホンダでは今後、当機能を使える車種の拡大も目指すという。

こうした充電インフラ設備に関し、注目なのは、2025年10月9日より、トヨタでも同様のサービスを開始したことだ。新充電サービス「ティーモ(TEEMO)」がそれだ。SUVタイプのBEV「bZ4X」の一部改良モデルの発売と同時に開始したこのサービスは、従来、トヨタが展開していた「EV・PHV充電サポート」の後継となるもの(ティーモ開始後も当面は継続)。ホンダのサービス同様、トヨタ車だけでなく、全メーカーのクルマに対応する(チャデモ規格に対応したBEVまたはPHEVに限る)。

また、月額基本料が無料なのも同様で、こちらは全国のトヨタ/レクサス(一部を除く)のディーラーに設置している充電器を利用できる。ティーモの会員になると、EVの急速充電器インフラを手掛けるe-Mobility Power(イーモビリティ・パワー)社が設置した充電器も使用可能。専用のスマートフォンアプリを使い、充電器を予約することなどもできる。

ホンダとトヨタ、それぞれ違うサービスだが、別メーカーのBEVでも利用できるほか、基本料金が無料など、共通点も多い。どちらも、より幅広い層が充電インフラ設備を利用できるようにすることで、まずは、BEVの普及を目指していることがうかがえる。これら新サービスにより、国内のBEV市場にどのような影響がでるのかも注目だ。

補助金の活用でガソリン車と変わらない価格に

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N-ONE e:のリヤシート(写真:三木 宏章)

ちなみに、軽EVの購入を検討しているユーザーなら、補助金を使うことで、より安価に購入できることも注目だ。たとえば、国のCEV補助金を使えば、2025年度の場合、N-ONE e:は57万4000円を受けられる。また、自治体の補助金なども合わせれば、東京都の居住者などの場合、ガソリン車N-ONEなどと同等の金額で購入が可能となるケースもある。

こうした補助金制度がいつまで続くかは不明だが、しばらく持続すると想定し、先に紹介した充電インフラ設備のサービスなどがより充実してくれば、N-ONE e:をかなり魅力的なクルマと感じるユーザーもより増えるだろう。

とくに、市街地での利用がメインのユーザーであれば、一充電走行距離で295kmもあれば十分と感じる人も一定数いるはずだ。まだまだ国内では販売面で苦戦中のBEVだが、今後の動向に注視したい。