政策効果が怪しい「大企業減税」に見直しの動き 企業向け「租税特別措置」 約3兆円規模の減収要因か
特定の政策目的を達成するため税優遇を設ける「租税特別措置(租特)」に見直しの動きが出ている。高市早苗首相が総裁選時から見直しを主張し、ガソリン暫定税率の廃止を巡る財源確保案の一つにも挙げられた。たびたび効果が疑問視されており、年末の税制改正に向けた議論でメスが入るのかが注目される。
◆政策上の目的のための減税、しかし効果検証が不十分で
租特は、租税特別措置法に基づいて特定の税を軽減・還付する制度。公平・中立・簡素の例外とされ、1950年代から拡大してきた。現在は、所得税や相続税などさまざまな税目にまたがり、賃上げ促進税制や住宅ローン減税、少額投資非課税制度(NISA)なども租特の一つだ。
他方、その効果の検証は長年の課題だった。政府は2010年度税制改正で、適用実態の見える化と適切な見直しを図るとして「租特透明化法」を制定。実態調査報告書などを公表してきたが、2015年には法人税関係の租特を巡って会計検査院が「検証が十分なされていない」と指摘した。
今年10月に自民党と日本維新の会が交わした連立合意書で、租特について「政策効果の低いものは廃止」との文言も盛り込まれたことで、高市政権は見直しに動きだした。
◆「研究開発税制」控除額ベースで9割を大企業が占める

焦点は、法人税関係の租特だ。財務省によると、2023年度は148万3000法人が241万件余に適用し、減収額(試算)は2兆8990億円に上る。研究開発投資の一部を法人税から差し引く「研究開発税制」は代表格で、2023年度は1万7000件余を適用し、控除額は9479億円に上った。

適用件数、控除額とも直近10年間で約1.4倍に増加したが、控除額の9割を大企業が占める。恩恵が偏る一方で、長期的には企業の研究開発費は横ばいで、財務省は「研究開発費の増加につながっていない可能性がある」とみる。
12日の政府税制調査会でも研究開発税制が議論され、委員から「イノベーション創出につながっていると示せなければ、制度継続や拡充の理由は成り立たないのでは」など厳しい指摘が相次いだ。
ただ、経済産業省は2026年度税制改正要望で制度の拡充や延長を訴えており、年末に向けた議論は難航が予想される。(高田みのり)

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